farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

映画

キングスマン:格差社会の怨嗟を込めたからこその傑作

ある意味すっごくしんどい映画だった。傑作であることは間違いなくて、とってもフザけた内容で、スタイリッシュに描かれたスパイアクションだ。だけど、その毒に満ちたファンタジーは、劇中挿入される現実のイギリス下層社会に鬱積している感情の発露だ。イ…

ピエロがお前を嘲笑う - とても誠実なドイツのハッカー文化映画

なんとも人を喰った邦題になったけれど、単館上映でひっそりやってるドイツ映画『ピエロがお前を嘲笑う』は、びっくりするほどリアルに、ハッカーの生態を描いた作品だ。いやどこまで現実に即しているかはわからない。だけど、映画の中のハッカーたちの行動…

ジュラシック・ワールド: 戸田奈津子氏は誤訳をしたのか?

なんだかもやもやしている。たいへん面白かった映画『ジュラシック・ワールド』で、字幕翻訳の戸田奈津子氏が「また誤訳をした!」というツイートが、何件かRTされてきた。言われているのはクライマックスの「歯が足りない」という字幕だ。 これ、誤訳なんだ…

『コングレス 未来学会議』 / 『泰平ヨンの未来学会議』: 自由意志とはなにか

『コングレス 未来学会議』は、原作の『泰平ヨンの未来学会議』を驚くほど忠実に映画化している。主人公は独り者の宇宙飛行士、泰平氏から、女優ロビン・ライト(本人役!)に変えられているし、ほぼ全編アニメーションになっているけれど、レムの描いた世界…

マッドマックス 怒りのデスロード:一度でも精神を患ったことがあるなら、もう一度見るべき映画

『マッドマックス 怒りのデスロード』はいろいろ驚きのある映画だったけれど、一番驚いたのは、女性の解放という物語の骨格でなく、主人公マックスのキャラクターだった。メル・ギブソン版マックスのマッドは「怒りでなにをしでかすかわからない」ぐらいの意…

『チャッピー』キリスト教の倫理観

個人的にこれを『ロボコップ4』と呼ぼう! ロボットの在り方はロボコップとほぼ同じ、ただ違うのは、ロボコップがロボットから人間への回帰だったのに対し、本作が新しい知的種族の発生を描き、テーマが外に広がっていくことだ。 あらすじ 荒廃した南アフリ…

『海にかかる霧』映画レビュー: これぞ韓国映画!

韓国版極悪タイタニック。漁船の密室空間でおこる惨劇、そして登場人物がどんどん狂っていき、人間の持つ本性が明らかになっていく。冒頭で緻密に描かれた日常が、終盤の圧倒的な異常空間と見事な対比となっている。

ショートフィルム "Wanderers"

エリック・ワーンキストによるショートフィルム、"Wanderers" (ワンダラーズ、放浪者)。 Wanderers - a short film by Erik Wernquist from Erik Wernquist on Vimeo. 素晴らしい映像表現! ぜひ高速回線・大画面・高音質でご視聴を。 ナレーション翻訳 劇中…

『猿の惑星 新世記(ライジング)』映画感想: 神なき世界の猿と人

“進化”を真摯に描き、評価の高いリブート版『猿の惑星 創世期』の続編。こちらも猿と人の違いを逆説的に描いたSF性の高い傑作だけど、そこで感じたのは、妙な話、「神の不在」だった。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』映画感想: なぜ寝たか

すっごいイイ映画だったけど、寝てしまった。 制作者の方々にちくっと心が痛みつつも、まあ1,800円払ったら寝るのも権利のうちと堂々としてはいる。で、問題はあの映画、あの内容で、なぜ寝てしまったのか。 あらすじ 銀河のかなた。子供のころ異星人の盗賊…

『サード・パーソン』映画レビュー - 反芻感動映画

映画『クラッシュ』や『L.A.ロー』の脚本、早すぎた傑作TVシリーズ『EZストリーツ』で有名な(でもないか)ポール・ハギスのつくる、三組の男女の見せる人間模様の映画。人の心を抉り出す描写を期待していて、確かに堪能したんだけれど……この構成はズルい! …

『パークランド - ケネディ暗殺、真実の4日間』映画感想

ケネディ暗殺を描いた映画の中でも、本作はよくある陰謀論から一歩引いて、『ER』のように事件のパニック的な状況に関わる“普通の人々”を描いた群像劇だ。硬派でいい映画なのに、もうひとつ足りないのは、(ない物ねだりだと判っていても)ユーモアなんだと思…

『オールド・ボーイ』(米国版)映画感想

日本の漫画を原作とした韓国版『オールド・ボーイ』(パク・チャヌク監督)は、衝撃的な結末と引っ掛かりの多い演出、「餃子は完全栄養食」というイメージが記憶にこびりついてる。今回スパイク・リーの更なるリメイク版でどうなるのかと思ったら、意外なこ…

『それでも夜は明ける』映画感想: 美しい絵、醜悪な現実

ド直球に社会問題を描く映画はテーマ性が先だってしまいバランスが悪かったりするよなあ……と薄っぺらい皮肉を考えながら観に行ったらごめんなさい。飛び込んでくるのは絵の美しさ、編集の巧みさ。そして、絵に込められた様々な比喩の説得力。上手い。すごく…

『オンリー・ゴッド』 映画感想 - レフン&ゴスリンクのやりたい放題!

ライアン・ゴスリンク主演。タイを舞台にしたクライム・アクションなんだけど……ヘンな映画! 極端な色の画面、なりっぱなしの重低音、蝋人形みたいな役者たち。この極端な美意識が、現実と妄想が入り混じるあやふやなプロットに一貫性を与えている。

SF映画 オールタイム ベストテン at 2013

SF映画 オールタイムベスト10:『ロボコップ』人間性取り戻す物語『2010年』明確な答えがある喜び『ミッション 8ミニッツ』気づかれない深いSF設定『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』実は骨太のナノテクSF etc.

『キャプテン・フィリップス』映画感想 - ストイックなミリタリー・スリラー

ヒューマンドラマと思いきや、物凄くリアルでストイックなアクション・スリラー。だからこそトム・ハンクスの演技が活きる! ミリタリーファン、『スター・トレック』や『パシフィック・リム』のSFメカ好きにもおすすめ。

『キャリー(クロエ・モレッツ版)』映画感想 - 女は獣だ

クロエ・モレッツがいじめられる様を見て喜ぶ変態アイドル映画かとおもいきや、女性監督ならではの性のグロさと思春期の怒りへの共感がうまく出ているんじゃないかと思う。傑作なんだか珍作なんだか。

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』 映画感想 - スポックとハリソンという鏡像

えー、様々な想いがあるんですが、1点に集中して書きます。 『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は2009年の『スター・トレック』の続編となるリブート・シリーズ第2作。今回も60年代~2000年代まで続いた“旧シリーズ”(この表現が適切かどうか…)の…

映画感想『悪いやつら』 ほんとうに悪いだけの、素晴らしい映画

韓国のやくざ映画。90年代という意外なほど近い時代、釜山で、やくざが生きる風景を描く。もうこれぞ韓国映画! といった暴力映画。 “良さ”がないやつ まあヘンな映画といえばヘンな映画なんだ。全編ずーっとダラダラ、やくざと、やくざになり切れない小悪い…

映画感想『パシフィック・リム』 誰もが夢見たのに、誰も観たことのなかった絵

『パシフィック・リム』は、太平洋から次々と現れ沿岸を襲う100mはあろうかという巨大怪獣(Kaiju)と、人類文明の破滅を防ぐため開発された巨大ロボットの闘いの物語だ。 とても面白くなるとは思えないと、思ったんだけど 正直、気に入らなかったのだ。だっ…

2012年 映画ベスト5

毎度、10本も選べるほど映画を観てないので、ことしのベスト5を。 5位:007 スカイフォール バットマン、アヴェンジャーズ、ホビットと、大作系をならべてみると、やはり007が一歩抜きんでていたと思う。アクションとミステリーのなかから、“母親からの自立”…

『レ・ミゼラブル』映画感想 - アン・ハサウェイとヒュー・ジャックマンの凄まじい顔芸

アン・ハサウェイが出てるから観に行った『レ・ミゼラブル』だけど、ド迫力の顔面アップの連続で、2時間40分の長さも忘れる怒涛の展開だった。 顔を撮れ! とにかく顔。顔が命。アン・ハサウェイのたれ目がうるんで、くちびるが震え、娼婦に身をやつす境遇の…

映画『拝啓、愛してます』 暴力的なまでの泣かせ映画

最近は大作ばかり観てたので、たまには単館系をと思ってシネスイッチに足を運んだのだけれど、『拝啓、愛してます』……恐ろしい映画を観てしまった。観終わって泣きすぎでホントに胸が痛くなってしまった。 涙腺破壊兵器の恐ろしい威力 原題は ″クデルル サラ…

映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』最初の9分観た!

せっかく日本で最初にプレビューされたのに、関東圏では 土 浦 でしかやってないという悲惨な状況の『スター・トレック イントゥ・ダークネス』冒頭9分の映像だけれど、こんなもの深夜『新スタートレック』を明日打ち切りになるのではとヒヤヒヤしながら観て…

『ロックアウト』映画感想 - リュック・ベッソン堂々のダメSFっぷり!

リュック・ベッソンの、宇宙刑務所からの脱出を描くSFアクション。いやーダメ映画だった! いくらユル系アクションったって限度があるわよ。 なにが Based on Luc Besson's Idea だ! いや、ちょっと面白いかな、と思ったんですよ予告編観て。2079年という近…

『サイボーグ009』映画感想 - 立派なSFなのに、どうすりゃいいんだコレ……。

『希望の国』を観た鬱気を払おうと、気軽に観たんだけれど、これが凄まじい……なんというか……凄まじかった。 よくわからなかった。でも面白かった! 映画が終わったとき、となりの席に座っていた女性ふたりから聞こえてきた第一声は、「よくわからなかった。…

映画:スターウォーズ、ギャラクティカ、そして『アルゴ』

1980年のイラン・イラク戦争を前に起こったアメリカ大使館人質事件。映画はこの裏で起こった極秘の人質脱出作戦を描く。 ウソのようなホントの話を、徹底的にホントに見せるウソ この実話をもとにした映画では『ニセモノの映画の制作』を軸にした人質救出作…

『ソーシャル・ネットワーク』 映画感想 - 強烈な負の感情

facebookのイノベーションもザッカーバーグの成功も、愛も成長も関係ない。この映画は徹底した人間の会話と感情のコラージュだ。人々の生の感情の接点が、別の意味でのソーシャルネットワークを生み出していく。

『アンストッパブル』 映画感想 - 極上のシンプルさ

あらすじ:列車が暴走したので止めることにした。以上。 これがムチャクチャ面白い。冒頭いきなり暴走が始まり、あとはずっと止めるだけ。ありがちなロマンスやちょとしたミステリーなんかは無く、明確な悪役も出てこない。ウィットの利いた(その実中身のな…