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シカゴ・ファイア シーズン1 海外ドラマ全話レビュー

AXN放送中のドラマ『シカゴ・ファイア(CHICAGO FIRE)』の、Twitterを使ったおおよそ140文字エピソードガイド&感想、第1シーズン。

あらすじ

ウォレス・ボーデン大隊長率いるシカゴ消防局51分署には、3つの独立した部隊がある。火災や事故に立ち向かうはしご第81小隊、人々を救い出すレスキュー第3小隊、そして被害者の命をつなぎ病院へと送る救命第61小隊。これは、彼らの物語だ。

はしご小隊のマシュー・ケイシー小隊長は、部下を失ったショックから立ち直りつつあった。正義感の強い彼は、ある事故で警官の悪事を指摘したことから、トラブルに巻き込まれていく。

一方レスキュー小隊のケリー・セブライド小隊長は、腕の痛みを止めるために使い始めた薬の中毒になっていた。薬からの脱却を、ルームメイトにして救命小隊のレズリー・シェイが支える。しかし、ゲイの彼女がセイブライドと同居していることは、様々な誤解を引き起こす。

 

エピソード・レビュー

1-1『シカゴ消防局51分署』

仲間の殉職を経験した51分署に、補充の候補生がやってくる。はしご車隊、救助隊、救急隊各面々の顔見せのため出だしはコラージュ的。それが1本の劇に集約していく。群像劇のツボを押さえた作風に安定感を感じるが、同時にどこか古臭さも感じる。★★★

1-2『愛しき人』

同僚を失ったショックの続くセブライト。彼hが建設現場でのレスキュー中に託されたものは……。アクション-メロドラマ-アクションの構成は安定しているが、シリーズ序盤なのに登場人物が多くプロットもぶつ切りで続くので、キャラもテーマも把握が難しい。★★★

1-3『信念』

警官の息子が起こした交通事故。隠蔽を図る父親に、ケイシーが立ち向かう。明確な悪役が出てきて、今後の連続ストーリーが立ち上がる。ヒーロー、悪役、色男、コミックリリーフと、 キャラの立ち位置がクリアで分かりすい筋書き。分かりやすすぎるのも問題だが。★★★★

1-4『1分の重み』

倉庫火災で救えなかったホームレス。その責任はどこに……? 話の主体のボーデンとミルズ、どちらも葛藤の描き方が不十分で、物語はいまいち盛り上がらず過ぎ去ってしまう。サブプロット含めテーマに一貫性が見えてこず、キャラ中心の薄い描写の連続体。★★

1-5『痛みと忍耐』

ケイシーに対する悪徳警官ボイトの嫌がらせはエスカレート。一方ガブリエラは感情に任せた逸脱行為が重なり……。ケイシー対ボイト編が主軸。まっすぐなシナリオは面白味が無いとも言えるが、クライマックス直前らしい盛り上がり。次回への期待は高まる。★★★

1-6『裁きの時』

ケイシーと悪徳警官ボイトとの戦い、ドーソンの不当医療行為の裁定、両プロットが同時にクライマックスを迎えるが、結果的に印象が軽くなってる。火災のアクションシーンとボイト編の解決策がとってつけたように絡むのには落胆。初のお色気シーンがないエピ。★★★

1-7『2つの家族』

ドラッグ工場の事故対応で薬物検査が行われることに。鎮痛剤中毒のセブライド大ピンチ。ほかにも火災あり、銃撃あり、出産ありで見せ場が多いが、最後に2つの家族の意味が語られ、各キャラの物語がひとつのテーマに収束する。しっとりと感動させる良エピ。★★★★

1‐8『試練』

電車の人身事故現場にショックを受けるミルズ、虐待事件に首を突っ込むドーソン、そしてカナダからの客人。どの物語もそれほど盛り上がらず、相互作用も強くなく。火災アクションが無いのも締まらない原因か。最後のとってつけたようなお色気は微笑ましい。★★

1‐9『つらい運命』

火火災でバーガスが負傷。ボーデンは容疑者の少年を追うが……。今回は恋愛エピ。ケイシー、ドーソン、セブライドも、蓋が壊れたみたいにフェロモン垂れ流し。深刻なはずのバーガスの物語も添え物にしか見えない。締まらない物語は悪い意味で「軽い」。★★★

1-10『不穏なクリスマス』

火事場泥棒の容疑で内調を受ける51分署。それが思わぬ問題をシェイに投げかける。弟をめぐりギャングと対峙するクルースの火災救出のシーンは火の粉が美しく、ドラマ的にも見応えがあった。複数のキャラに転機が訪れ、次回を期待させる。★★★★

1‐11『神の裁き』

救急車の事故で重体となったシェイ。それがセブライドに決断を促す。地面陥没のSFXは迫力があったが短め。その分各キャラの物語がテンポよく繋がった。しかしキャラ同士がこうも簡単にくっつくと、将来の性感染症エピの伏線かと思ってしまう。★★★★

1-12『決意』

腕の治療に必要な休職期間の長さに、セブライドの決意は揺らぐ。恋人との別れが迫るなか、彼は何を決意するのか……。レスキューアクションと各キャラの物語が全く絡まず、相互に挿入されるだけ。スタンダードな構成だが物足りない。ドーソンお前は落ち着け! ★★★

1-13『それぞれの決断』

腕の画期的な治療法に決意が揺らぐセブライド。よくも悪くもストレートな山場なんだが、なにしろ恋人が数話出演のゲストキャラなので感情移入が今一歩。ここ数話すっかり忘れられていた放火少年が出てきて、あ、放置じゃないんだとほっとした。★★★

 1-15『悪魔との取引』

麻薬組織に撃たれた兄のため、悪徳警官と取引するドーソン。ハーマン達のバー開店の計画も取引を迫られる。細切れのプロットが並んだだけの散漫な展開。テーマは見えず、誰が物語の軸なのかすら分からない。役者の表情も平坦。何も残らないエピだった。★

1‐16『許し』

クルーズの自暴自棄なレスキューがマウチを危機に陥れる。一方セブライトは元恋人の心を解きほぐそうとするが……。2つの許しが描かれる。キリスト教の隠喩を持たせたクルーズのプロットは絵的にも見応えある。シェイがいきなりHIV感染危機ってのは軽すぎ。★★★

1-17『優しい嘘』

殉職したミルズの父とセブライドの父、ボーデン大隊長。3人の因縁が署に影を落とす。そんな重めの話でも結局愛だの不倫だのに落とし込む。その手法はいっそ清々しい。アクションは肩透かし気味だが全体のテンポは良くも悪くも軽やか。するすると観られる。★★★

1-19『小さな消防士』

ケイシーとセブライトの間で嫉妬の嵐。このドラマ色恋沙汰になるとまともに会話できんやつらばっかや。メインの2つの死にまつわるプロットは今一歩まとまりきらないが、伏線はきちんと回収され、最後のシーンは雪の演出もあいまり感動的。★★★★

1-20『野心』

人工受精用のホルモン注射でキレキレのシェイ、金髪とイチャつき精子提供を忘れたセブライトに怒り爆発! 毎回よくもこれで主役が務まるというクズ人間ぷりに逆に感動。どうせならマリファナ工場火災のプロットもギャグに振れば良かったのに、見所がない。★★

1‐21『報復の始まり』

セクハラ訴訟で窮地のセブライド。遂に開店したハーマンのバーに現れたのは……。化学消防のアクションは全員の連携の見せ方が巧く、久々の見応え。復活のボイド刑事は役者がよく、消防署の軽い面々と対峙させると画面がぎゅっと締まり、期待が持てる。★★★★

1-22『孤独なリーダー』

セブライドは裁判で勝つため奔走する。出動続きで疲れ切った隊長には小さな訪問者が……。セブライド編のオチのつけ方はあまりに安易。相手を単純な悪役に落とし込んだせいで逆にすっきりしない。ラストの火災シーンは炎の演出が派手で観応えあり。★★★

 

以下、レビュー中……