farsite / 圏外日誌

Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

猫の泳ぐ処

八丁堀駅に隣り合った公園には、夜になると猫たちが集まる。血縁なのか、ほとんどが黒猫だ。地味なトラもいる。

猫たちは、ビルひと区画ぶんぐらい取られた芝生の上に、互いに距離をおいて伏せていたり、外周の茂みの中に座り何かを見張っていたり、おおきな樹の根元に群れて寝そべって、けだるそうに尾を振っていたり。

これは、ちょっとした自然のパロディだ。サバンナに住む豹の生態のミニチュアみたいだ。夜の公園に来る人びとは、その芝生と茂みと樹の領域を、歩道やベンチから遠巻きに観察して楽しんでいる。

いや、パロディでなく、これがまさに猫の自然なんだろう。ヒトの環境に適応した、威厳ある野生動物の生態。

つまるところ、ヒトが造った公園も、道も、建物も、みな自然そのものなわけだ。ヒトが歴史を重ね拡げきた街は、造礁サンゴによって形成された珊瑚礁と何ら変わりはない。その存在理由においても、美しさにおいても。

ヒトの珊瑚礁に住む、黒猫たちは美しい熱帯魚なのだ。

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