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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

海外ドラマ: アグリー・ベティ シーズン2 最終回『明日へのジャンプ』

やっぱりこの絵づくりは凄い! 実は久々に観たこのエピソード、屋外で野球のシーンがあるんだが、芝生の緑や空の青、遠景の金色に照りかえる超高層ビルの質感が、まるでおとぎ話の絵のように輝き美しい。どうやって撮ってるんだろ? そういうフィルターがあるのか、撮った絵をデジタルで加工しているのか、それともマットペインティング!? ひと昔前、『スチュアート・リトル』という、NYを舞台にした喋るネズミが主人公のファンタシー映画があったけれど、あそこで描かれた風景に似てる。ただ、こっちに出てくるのは俗にまみれたモデルたちだけど。

このシリーズ、実は第2シーズンはほとんど観ていない。第1シーズンを観て、なんとなく満腹になってしまっていたのだ。

もとはコロンビア産の、安い(けど天才的にノリが良い)テレノベラ。これをリメイクしたアメリカ版は、ソープオペラ的な楽しみはきちんと保ちつつも、演出はポップで物凄く洗練されており、また物語もさりげなくアメリカ在住ラティーノの社会事情を盛り込んだりして厚みを出しており、アメリカテレビ界の作品作りの底力を見せ付けられた気がした。

特に画面作りは素晴らしい。舞台は白基調の超モダンなインテリアに囲まれたオフィス。そこに現れる女優俳優は、服装や立ち位置、ライティング、メイクの乗り具合まで、計算されつくされ、一部の隙も感じられない。チープさのつきまとうソープオペラから、画面をどれだけ遠くに持ってこれるかという、制作者の意地のようなものを感じた。

そんな高い完成度を18話分観ると、続きの物語も確かに気にはなるけれど、じゅうぶん元は取ったかな、みたいな気になってしまった。で、今回ずいぶん久々に観たけれど、残念ながらシリーズのストーリー展開を追っていないので、物語については何もいえない。ただ、画面(とモデルの)の美しさは堪能した。それからベティの吹き替えも相変わらず絶好調。役者の冠野智美さんは舞台女優専門で、大抜擢だったそうだけれど、36話経ったいまも物凄く丁寧に絵とあわせてる。脇役の吹き替えは定番の声優さんなんだけど、こなれた演技で“吹き替えっぽい”ぶん、彼女の演技が引き立つ。

さて、ベティは第3シーズンで“変身”するのかな? 今のノリだと、この物語は奇麗に“ならない”ことに価値観を求めようとしているようにも感じる。

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DVDは最初の1枚がお試しのバラ売り、続いて第1シーズンBOX、第2シーズンBOX。しかしこの顔が並ぶとやっぱり迫力あるな。