第13シーズン、ラスト2話を今頃見た。新キャラクター ドクター・モレッティがすばらしい。ロマノが消え、ウィーバーも去ったいま、こういうキャラを待っていた。遅すぎたぐらいだ。
患者の末期を看取る場となるICU部長で、医療に確固たるポリシーを持ち、常に現状に満足しない、そしてとんでもない皮肉屋。第22話の一連の登場プロットで思いっきり引き込まれた。またアテた声優、小川真司の演技もすばらしい。
物理学者の患者を相手にほとんど無感情にしゃべり続け、周りのレギュラーたちの手法や手腕をいちいちけなしながら的確な治療を続けてゆく。そして最後、患者の生存率の低さはシステムの欠陥だと言うプラットに対し、そっけなく返す言葉。「まず現状の自分がベストを尽くしていると信じないことからはじめろ。まだ余地はある」。カッコよすぎるよお!
一瞬、ICUで感情の吐露が見えるパートがあり、そこが演出のポイントだったんだろうけど、僕はそのシーンまで淡々と医療技術と医療のありかたについて語り続ける声で、涙ぐんでしまった。この声の説得力はすばらしい。
各キャラクターのストーリーについてみれば、22話はどれも23話への橋渡しで、単体としては完結しない。そしてラスト23話、ほとんどのキャラクターがそれぞれ不幸に見舞われ、21話までとは逆に、はじけるように離散してゆく。複数の「希望が奪われる」プロットが、メインプロットであるイラク帰還兵患者の問題と絡み合い、戦争に対する強烈なメッセージを打ち出した良エピソードだった。
さて、モレッティの出てくる14シーズンも楽しみだ……と思ったけれど、どうもトータル10話程度しか出ない模様。人気なかったのかなあ。まあシリーズ全体としてもコストパフォーマンス劣化してるみたいだし。ほんと、2シーズン早く出してほしかったよこういうアクの強いキャラは。