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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

映画『スター・トレック』を観るときに知っとくとほんの少し得すること。

なんにも知らずに観ても楽しめる映画だけど、設定をちょっと知っとくと理解がスッキリするかもしれない事柄を。

舞台設定
時代は23世紀(2200年代)中ば。地球人は既に150年以上も前に異星人とのコンタクトを果たしており、地球に異星人がいる光景は当たり前のものになっている。地球人も積極的に宇宙に進出し、多くの星を訪れ、殖民を果たしている。だから人間の隣に怖い顔のクリーチャーがいても、それは基本的に仲間であって敵じゃないんだな。

惑星連邦
地球人やバルカン人、アンドリア人などが中心となり、2161年に成立した、まあ言ってみれば異星人どうしの国連みたいな組織。いや国連だとちょっと弱いかな、EUに近い。それぞれの惑星国家が主権を持ちつつ、全体の大統領も憲法に近いものもある。それが宇宙規模で成立してると思うとイイかも。もちろん、この惑星連邦に加盟していない異星人文明もある(クリンゴンとか、ロミュランとか)。あと、異星文明の組織と言いつつ、構成員は地球人が主体。本部も地球。

宇宙艦隊
英語で言うところの "Star Fleet"(スターフリート)の日本語定訳。惑星連邦が、宇宙探査や外交、救助や防衛のために成立させた艦隊。海軍のような組織体系だし、宇宙艦には兵器も積んでるけど、基本的に“軍”じゃない。NASAJAXAが軍じゃないようなもんだ(月面探査が自衛隊の任務じゃヘンでしょ?)。だから、「惑星連邦軍」と訳すのは基本的にNG(……なんだけど、けっこうオフィシャルの文でも惑星連邦軍て出てきちゃったりするのね)。艦隊所属の船も、軍艦じゃないから乗組員の家族が乗ってたりする。

バルカン人
異星人。人間に似た姿だけど、とがった耳と真っ直ぐな眉毛で見分けがつく。流れる血は緑。そして非常に長寿(200年以上生きる)。はるか昔から宇宙に進出しており、地球人と初めてコンタクトしたのもバルカン人。文化的には過去の歴史の中で“論理”を重んじるようになり、それが今のバルカン文明の基礎になっている。弱いテレパシー能力があり、触れあうことで互いの思考や記憶を共有したり、相手を昏倒させたりできる。

ロミュラン人
大昔にバルカン人から別れた種族。バルカン人が論理を身につける過程で、それに離反していった人々が先祖だと言われる。いまはロミュラン帝国という強力な星間帝国を築いており、人類を含む惑星連邦とも対立しているが、この映画の時点では直接的な接触が無いためいまだ謎の多い種族となっている。

ワープ
何光年も離れた星と星のあいだを移動するには欠かせない、光より早く移動する技術。ワープ5とか6とか、速さの単位がある。ワープというと、日本だと『宇宙戦艦ヤマト』のイメージが強くて、どこでもドアのように離れた地点に一瞬で跳躍することを指すことが多い。でも英語圏では、warp といえば基本的にスタートレックで使われるワープ。すなわち、特殊な理論と技術で宇宙を光より早く“進む”こと。移動速度は物凄く速いけど、瞬間移動するわけじゃない。だから warp speed という表現も英語で定着してる。速さの限界もあり、それを超えたワープを、トランスワープと言う。

転送
スタートレックの世界で瞬間移動というと、どっちかと言えばこちら。物質(人間含む)を素粒子に分解、ビームにして、異なる地点に飛ばして実体化させる技術。ただ、星と星のあいだのような長距離は基本的にムリ。惑星の軌道上の宇宙船から、地表に降りるときに使われるのが普通。

フェイザーと光子魚雷
どちらもスタートレック世界の兵器。フェイザーはレーザーっぽく見えるけど、別の原理を用いた兵器。出力によって相手を麻痺、死亡、原子レベルで分解できる。大きさも携帯銃から宇宙艦の砲門までさまざま。光子魚雷は純粋に宇宙艦の装備。ま、宇宙の魚雷ですな。

言語
バルカン人をはじめとする異星人は異星の言葉を使ってるけれど、まあ画面上ではみんな英語で喋ってるわな。これは…… (1)宇宙艦隊に乗る異星人は、基本的に英語を標準語として使ってる。(2)宇宙翻訳機という発明があるので、“実際は”異星人とはこれを通して意思疎通をしている。……のどちらか、ということ。要は画面じゃみんな英語なのに、「相手の言葉がわからない……」という状況も、演出として受け入れてネ、ということ。