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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

海外ドラマ: HEROES 第55話『聖域』

あまりに設定が広がりすぎて迷走していたかに見えた『HEROES』だけれど、新チャプターになって設定がやキャラクターがどんどん整理されてきたようだ。僕も次第に視聴意欲を取り戻してきた。

特に最近の55話、56話では、ヒーローたちと対峙するヴィランたちに焦点を当て、ダークな雰囲気のなかでキャラクターを深く掘り下げている。56話『異変』では、愛する者の喪失をテーマに、組織に翻弄される二人のヴィラン、ベネットとダンコに焦点を当てた重厚なストーリーが展開した。しかしそれ以上に、55話『聖域』は、際立った演出で面白かった。

55話のストーリーは、メキシコに身を隠したネイサンとクレアの親子、教会に逃げ込んだピーターとアンジェラ親子、そして共闘をはじめたサイラーとダンコの3組によるプロットで構成されている。舞台は陽気なメキシコ酒場、静かな教会、そして、たぎるような躍動感を感じさせるナイトクラブ。全く異なる性質の舞台が、それぞれのプロットを際立たせ、メリハリのある展開が見られる。

ナイトクラブで悪役ふたりが共謀して行う“狩り”の描写は、強烈な背徳のカタルシスがある。一方の教会の母子は静的な緊張感。酒場でのネイサンとクレアの絡みは、ネイサンの弱さがほの見えてチャーミングだ。そして物語は、この3組がそれぞれ、あらたな道へと進むことを決意して終わる。音楽が3つのプロットの橋渡しをしており、物語をひとつにまとめいすんしている。


ところで、今回のエピソード、吹き替えで観ていて、ちょっと違和感のあるところがあった。冒頭、ネイサンとクレアが安宿にチェックインするところ。受付が「休憩か?」と訊くと、ネイサンが「親子だぞ!」と怒る。その後、クレアが受付にフォローして「といってもあの人、生物学上の父親」と言う。これはちょっとヘンだ。「親子だぞ」「といっても、確かに親子なの」と言ってるようなものだ。「生物学上は父親じゃないの」ならわかるんだけど。

たぶん原文で「父と娘だぞ」みたく言ってたのを、尺の都合で「親子」にしたら辻褄が合わなくなっちゃったのかな? と思って原文音声にしたら、なんとネイサンと受付の会話はスペイン語だった。で、クレアは二人のスペイン語に英語で返して、確かに "actually, he is my biological padre" と日本語どおり言ってる。わからん。スペイン語で「パードレ(父)」と言ってるので、そこで何かとかけて、英語的にファニーな文になってたんだろうな。パードレって、日本語で言うところの“パパ”みたいな意味もあったりするんだろうか?

ものすごい時間の制約の中で、スペイン語のスラングまで確認して意味の通る翻訳をしつらえるのは、超人的な仕事だ。こりゃさすがに無理が出たってことか。