毎度、10本も選べるほど映画を観てないので、ことしのベスト5を。
5位:007 スカイフォール
バットマン、アヴェンジャーズ、ホビットと、大作系をならべてみると、やはり007が一歩抜きんでていたと思う。アクションとミステリーのなかから、“母親からの自立”というテーマが立ち上がっていくのは見事だった。
4位:拝啓、愛しています
年末ギリギリに入ってきた韓国映画。ストーリーがどうとか撮影がこうとかでなく、ここまで徹底的な“泣ける映画”を見せられると、ベストに選ぶしかない。一本筋を通した映画には弱いのだ。重い恋愛話なのに、やたらとシリアスにさせすぎないコミカルなシーンも印象的。
ストレートな伝記モノかと思いきや、痴呆症と老いの哀しみ、そして夫婦愛を扱った、思いがけない映画だった。もちろん彼女の政治を通した英国近代史もばっちり描かれていて、美味しいところを両取りした、ほんとうに自分好みの映画だった。
どっちにしろ女性リーダーものには弱いので、この映画は好きにならずにはいられないのだ。
同じ実話をもとにした映画としては、実は『アルゴ』よりこちらのほうが上だった。『アルゴ』は現実感のあるサスペンスを造ろうとしたけれど、『デビルズ・ダブル』は逆、思い切りフィクショナルな方向に思い切り舵を切ったサスペンス。だって自分の姿をした悪魔に生活を乗っ取られるって、典型的なホラー話の構造じゃん。そりゃそうしなきゃ、もったいないよな。
事実を元にしつつも、キリスト教の罪と救済を活用することで、分かりやすく印象深い物語になってる。ニュージーランドの出世頭、リー・タマホリの映像センスが、物語を見事に飾り立てる。すばらしいエンタテインメントだった。
1位:プロメテウス
おそらく巷ではワースト1に輝いてる映画だろうが、こんな楽しい映画体験はないってば! 観たひとどうしでこの映画を語り合ってほしい。お互い悪口言い合ってるうちにゲラゲラ笑えてくるから。
“人類の起源” という壮大なコピーに、とてつもなく美しく、そして壮大な物語の幕開けを思わせるオープニング……だったのに、なんだこりゃ! 船に乗るのは上から下まで馬鹿ばっか。セックスしたせいでヘンな虫に感染するわ無線は聞きのがすわの大騒ぎ。最悪なホラー描写も早々に、ヒロインは腹をホチキスでくっつけたまま走り回り、その恋人はゾンビになってフライングボディプレスかます。やっとこ知的生命体に会えたと思ったら知性の欠片もなく殴りかかられ、そして始まるフランケンシュタイン対大ダコ。
そして素晴らしいのがそのクライマックス、円形の宇宙船がわざわざ タ テ に墜ちてきて、ごろんごろん……プチ! トムとジェリーだ! はーいま反芻しても笑える。
ここまで見事に騙してくれた映画は無いと思う。リドリー・スコットのカネ集め力と興業センスに脱帽。