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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

食い意地:落合南長崎『じゆうさん』の天せいろ蕎麦

春の豪雨が過ぎ去って、風の吹き荒れる暖かい日曜日。散歩がてら落合南長崎の蕎麦屋『じゆうさん』で昼食を取ってきた。

新目白通り沿いの、駅から少し離れた場所に、目立たない店がある。以前来たときは古い提灯が掛かっていたと思ったけれど、きょうは強風のためか掛かっていなかった。中はそれほど広くなくカウンター5席に、椅子席、ちょっとした上がり卓。カウンターには暖簾がかかっていて、大きな釜のある厨房で忙しく動く手だけが眺められる。

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ビールに生ゆばと豆腐を、そして天せいろをいただく。豆腐は箸で切ってちゃんと持てるほどの密度のあるもの。しっとりと重い歯ざわりが楽しめる。そして上にのったゆばは、はっきりと甘い!と感じられる。ただ、味が繊細なのでビールのつまみにするには合わなかったかもしれない。

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お昼時はかなり忙しいので、しばらく蕎麦は出てこない。ビールをちびちびやりながら松と、厨房の換気扇の音に紛れて、よく衣のついた天種を揚げるささやかな音が聞こえてくる。

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蕎麦は細切り、のど越しがいい(蕎麦自体の説明って、よほど微に入らないと同じような書き方になっちゃうよな)。一方の天ぷらは、根菜が多く歯ごたえの楽しめるものばかり。まっすぐなエビ2本に、ひとくちの九条ネギ、ほくほくと甘みの強いニンジン、水分のあるしゃくっとした歯ごたえのキューカンバ、そして珍しい、粘り気の豊かなサトイモ。このサトイモが、白身魚かと思って食べたら意外な噛み応えで楽しかった。

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デザートは季節の一品、オリーブブランマンジェ。これが出色の出来だった。薄い象牙色のブランマンジェに、たっぷりのオリーブオイルと、塩が少々かかっている。オリーブの濃密な香りと、とろりとした酸味、そして塩味が、やわらかな甘さをよく引き立てる。

蕎麦の野趣ある香りが感じられる蕎麦湯をのんで、お昼はおしまい。練馬のこの近辺は、ちょっと歩いていける美味しい蕎麦屋が多い。なかなか引っ越す気になれないのは、この蕎麦屋のせいかもしれない。

この近所の江古田、東長崎の春の草花については、こちら