全20シーズン・456話あるLaw&Order。どこから観ていいかわからないかたのために、各シーズンベスト3を独断で選びました。今回はシーズン5~10の計118話から、15話を選んでいます。
もしここに列記したエピにハマれなくても、選択肢はまだ103話あります。いろいろ観て、お気に入りの犯罪を探してみよう! Let's watch Law & Order!
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ロー&オーダー 第2クォーター(1995 - 2000) ベスト15
シーズン6 ‐ ベスト3
6-3『残酷な罰』★★★★★
米国では州ごとに死刑制度の有無が別れ、また制度上存在しても適用するか否かも、政治的趨勢によって短いスパンで変わることがある。このエピはNY州で復活した死刑制度に向き合う検事たちの苦悩が描かれる。重苦しくどこか空虚な議論が印象的。
6-8『天使のために』★★★★★
どんな宗教も基本は善のためにあり、善と悪の倫理を定義し、信徒を導く。しかし、その教えに盲目的に寄り添った結果は……? 事実が明らかになったときの衝撃がすごい。刑事の捜査も、法廷での論戦も、真っ向から信仰というものに向き合い、キリスト教徒でなくても、その本質に触れることができる。
6-14『子を盗む』★★★★★(傑作!)
シーズン1-4までのレギュラー検事、ロビネットが、弁護士に転職して再登場。ある民族・人種を、別の民族と「同化」させ人種差別を「解消する」方法が、実際は究極の差別であることを鋭く指摘する。単に差別は悪いと言うのではなく、その本質は何かを突いていく、アメリカ社会派ドラマの真骨頂。
そのほか
21話、23話が★5つをつけている。23話は通常のフォーマットを離れ、死刑執行に揺れる刑事・検事の心を描いた名作。他のエピソードを多く観てキャラを理解しているとインパクト大。
シーズン7 ‐ ベスト3
7-14『ワーキング・マザー』★★★★★
意外な事件から、女性の権利の核心に踏み込んでいくエピ。弁護士役のエレイン・ストレッチが語る弁論のロジックは驚くほど説得力があり、検察とどちらが主役かわからなくなってしまうほど。
7-18『執念の追い討ち作戦』★★★★★
Law&Orderには、警察・検察が単純に正義の味方でないだけでなく、むしろ悪を為したのではないかと思わせるエピも多い。その筆頭がこの小児性愛を描いたエピ。司法は、そして社会は、スケープゴートを求め暴走しているのではないか? 善や正義を示すのではなく、観終わった視聴者に考えさせるエピ。「主役は正義だ」って固定観念で観ちゃうと「アメリカって怖い」って印象しか残らないかもしれない。違うのだ。
7-20『善人マイクの災難』★★★★★
犯罪そのものではなく、一般市民と司法との関わり合いを描く。ここでも検察は独善的で迷惑な存在として描かれる。巻き込まれ、うんざりしながらも、自分の中にある善意を捨てることができない、普通のひとの物語。地味といえば地味な話だけど、役者の等身大の演技に引き込まれ、勇気づけられる。
そのほか
5話、17話、23話に★5つをつけている。17話は16話から続く連続エピの最終回で、3話分のエンタテインメントとしての評価。最終23話は死刑制度絡みでシフ検事個人に焦点を当てた物語なので、他のエピをたくさん観ておくと重みが増す。
シーズン8 ‐ ベスト3
8-10『儀式』★★★★★(傑作!)
移民の国だけあって、海外の様々な文化風習が問題となるエピは多いが、これはその極北。アフリカのある風習にまつわる女性の自由と権利、そして性倫理にまつわる問題が、法廷に立つ少女に託され、激論が交わされる。観終わってみれば、とても哀しい物語。
8-19『死刑への道』★★★★★(傑作!)
精神病患者が焦点となるエピは多々あるが、そのなかでもベストと言える物語。精神を病んでしまった苦しみ、病気によって人生を奪われてしまったどうにもならない怒りが、クライマックスで視聴者の胸に突き刺さる。
8-22『傷ついた天使』★★★★★(傑作!)
8-19話と対をなすように、先天性の精神遅滞の少女が主役。彼女を取り巻く学校、親、そして警察と法廷が、本当に見過ごしているものはなんだったのか? ままならぬ人生のもどかしさを抱える彼女の感情、彼女の意志を表現する素晴らしい演技が胸を突き、涙を誘う。
そのほか
5話、11話、18話に★5つをつけている。また13話のトリッキーな法廷の論戦も印象深く、インパクトがあるエピが多い、個人的にも思い入れのあるシーズン。
シーズン9 ‐ ベスト3
9-19『過去のない男』★★★★★
犯罪者とその家族の関係性を扱ったエピ。まず推理ものとして非常によくできていることに加え、法廷編で明らかになる真実の不気味さ、やりきれなさも心に残る。ウェルメイドな一作。
9-20『法と権力』★★★★
カーティス刑事役ベンジャミン・ブラットと当時恋仲だったジュリア・ロバーツが特別出演したスペシャルなエピ。彼女にチョイ役でなくがっつりメインゲストとして、こんな役を与えてしまったのも、テレビならでは。彼女の演技、表情を堪能して、最後は笑おう。
9-24『小さな目撃者 Part2』★★★★★
23話からの連続モノだが、単独でも楽しめる(もちろん23話も観たほうがいいけど)。殺人事件を扱う刑事のはずが、なんと国際金融犯罪の捜査を行うというノリノリの物語。設定上のおかしさはさておき、捜査描写、裁判描写ともにスピーディで緊張感があり、画面から目が離せない。
そのほか
15話に★5つをつけている。そのほかにも、以前扱ったモチーフをよりクオリティアップしたようなエピが多く、シーズン8に続き全編通して充実している。刑事の活躍を観たいなら12話、14話もおすすめ。14話は別作品『ホミサイド』とのクロスオーバーだけど、まあボルチモアの面白い刑事さんたち、と思えばOK。
シーズン10 ‐ ベスト3
10-1『銃乱射』★★★★★(傑作!)
日本の報道でもほぼおなじみとなっている米国の銃問題。学校での銃乱射の何が問題なのかを追及していく捜査と法廷弁論は、それだけで銃問題のレクチャーにもなる。そして裁判のインパクト言ったら! 陪審員制度があるゆえの、底知れぬ衝撃。
10‐12『母乳の温もり』
育児問題が焦点。容疑者は母親、検察官も弁護士も判事も女性とし、育児の「義務」を押し付けられた若き母親の行いを、シンパシーと冷徹さをいり交ぜながら解き明かしていく。BGMを排した静かな法廷で語られる絶望に目が離せない。女性だけの裁判劇の結果は、逆説的に、男性の当事者性のなさという問題をも提起する。
10-24『正義の行方』★★★★★(傑作!)
アクロバティックなシナリオで、過去の「戦争犯罪」を、マッコイらNY地方検事たちが裁く。法と正義とはなにか、その根幹を雄弁に表現し、魂を揺さぶるマッコイ検事補の大弁論! 10年のシリーズを通して語られた様々な法と正義の、究極の終着点といえる。
そのほか
8話『悪行の終局』も、ユダヤ人差別/ホロコーストものとして傑出の★5。このほか特色があるのは、移民の性奴隷化とネット犯罪が描かれる21話、アートと表現の自由が語られる20話、マッコイが正義を欠き裁判で負ける7話など、どれもレベルが高い。
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