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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

SF映画 オールタイム ベストテン at 2013

id:washbum1975 さんの企画『 SF映画ベストテン - 男の魂に火をつけろ! 』に乗りまして、私的ベスト10、つけてみます。

センス・オブ・ワンダー” があることがポイントなので、冒険活劇が主である『スター・ウォーズ』は外れます。『スター・トレック』もTVシリーズはセンス・オブ・ワンダーに満ちているが、映画では乏しい(というか、表現のしかたが巧くない)と言わざるを得ない。

SF映画 オールタイム ベスト10(私的 / 2013版)

1. ロボコップ (1987): 人間であることを取り戻す物語

ロボットにされた警官が自分自身を取り戻していく過程を描き、人間とは何かに迫った、ド直球のSF。機械化され人であることを否定された主人公=ロボコップは、反逆し、その厚いマスクを撃ち抜かれる。そこに見えた彼の瞳は、無機質な機械のものでも、怒に燃えるヒーローのものでもなく、ただ必死に生き延びようとする一人の人間のものだった。その眼を見たとき、強烈なセンス・オブ・ワンダーを感じた。ひとりの人格のある人間として生きることがいかに困難で、そして喜ばしいことか。彼の最後のセリフが教えてくれる。

2.  2010年 (1984): 明確な答えがある喜び

やっぱり『2001年 宇宙の旅』より2010年が好き。インパクトはあるが拡散しまくって、いかようにも解釈のできる2001年の結末に、明確な意味をあたえ、「ああ、そういうことだったのか!」という納得感 = センス・オブ・ワンダーが得られる。縮退する木星、ふたつの太陽という絵も素晴らしい。空飛ぶ“くし”が無ければ完璧だった。

3. コンタクト (1997): 強い意思を持って世界を変えていく

f:id:debabocho:20131204224133j:plain“科学と信仰” というテーマは言葉にしてしまえば安っぽく聞こえるけれど、明確な意志をもってゴールへと突き進む人々に心打たれる。だからこそ、そのゴールでテーマが腹に落ち、ああ、世界は変えられるんだ、変わっていくんだという力強い予兆 = センス・オブ・ワンダーが、心の中に喜びとして広がっていく。北海道の基地の絵は笑っちゃうほどのインパクト。

4. 銀河ヒッチハイクガイド (2005): 地球製造工場!

小説はすべて好きだけど、その要素 +α のセンス・オブ・ワンダーがこの映画にはある。全編小ネタでゲラゲラと笑わかした後に、トンネルを抜けるとドカンと現れる地球製造工場。このスケール感! それを見たアーサー・デントの表情も素晴らしい。「実は地球ってこんなもんなんだよ」というシニカルな笑いだけではない。「実は地球ってこんなに美しいかったんだ!」という再発見の喜びがある。

5. ミッション 8ミニッツ (2011): 気づかれない深いSF設定

隠れた名作。テンポが速く、込み入った科学設定は字幕に収まらないため、不可解な物語と思われがちだけど、実は意外と(?)しっかりしたSF理論がある。

脳の活動は量子的な活動であるという仮説が真なら、脳に長期記憶として定着する前の短期記憶・作動記憶(8分保持されるという設定)は、量子論の観測者効果で「観測の完了していない状態」とみなせる。その記憶空間にある8分間の世界は、あらゆる可能性を含み、別の現実 = 並行世界へと広がっているのだ!

……というまさにセンス・オブ・ワンダー的な理論の拡大。そう考えるとオチも納得で、人の意識、人の想いが、世界を変えるという見事なテーマに収束する。最後の歪んだ鏡に映される人の顔の絵も意味を持つ。その歪んだ顔も、逆から見れば端正な笑顔なのかもしれないのだ。

6. ジュラシックパーク (1993): ブラキオサウルス

ほんの少しでも恐竜が好きなら、観る前に精神統一してグラント博士夫妻に思いっきり感情移入して観はじめてほしい。好きで好きで、人生を捧げるぐらい好きで、恋い焦がれて、でも絶対に会えるはずがないと思っていた相手が、ふいに目の前に現れる。見上げる巨体! それはセンス・オブ・ワンダーの頂点であり、恋愛成就の瞬間。その後始まるパニック・アクションはおまけ。

7. ストレンジデイズ (1995): テクノロジーで変容した世界の中で

f:id:debabocho:20131204224215j:plainブレードランナー』が映画版『攻殻機動隊』だとすれば、これはテレビ版攻殻機動隊。現実世界のちょっと先で、テクノロジーが変容させる人間のコミュニケーションのあり方、そしてその罪を描く。現実と地続きで描かれる未来世界描写そのものが、センス・オブ・ワンダーだった。この時代にしてはSFXの使い方も素晴らしい。派手な炎や現実に存在しない物体を描くのではなく、花火や紙吹雪など、真に“リアル"な目的で使われている。

8. 大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団 (1986) : “すこしふしぎ”からの飛躍

ドラえもん世代の金字塔。テレビシリーズの不思議の手触りが、はじめて、明確で巨大なセンス・オブ・ワンダーとなって心を捉えたのがこの作品だった。時間を超える道具だったタイムマシンが、空間も超えられる装置だと理解したときの感動。ロボットの進化の秘密、そして大規模な歴史の書き換え。見慣れたはずのドラえもんの道具で、世界全体が変わっていく感動。『2001年 宇宙の旅』と同じような表現を使ったワープ描写も子供ながらに感動だった。

9. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (1988): 実は骨太なナノテクSF

ロボットがなぜ人型をしているかといえば、それが神の次に可能性を秘めた形だからだ。巨大ロボット(モビルスーツ)の骨格全体にナノコンピューターを封入し、人の脳波に感応して演算させたら、それは人の意志を拡張し、物理的な現象として発現させる存在に進化した。そんなスケールの大きなセンス・オブ・ワンダーを秘めた作品。戦闘のなか、人の意志を紡ぐ杼のように画面を縦横に舞うサイコフレームに、その意図がうかがえる。真面目に言ってますコレ。

10. スタートレック ジェネレーションズ (1994): 哲学的な「自由」からの脱出

センス・オブ・ワンダーが乏しいとは言ったものの、やっぱりスタートレック TNGファンとして、一本は入れたい……。映画として評判が良いとは言えない本作だが、やはりSF的センス・オブ・ワンダーは含まれている。

ネクサス” と呼ばれる宇宙現象は、亜空間のなかに存在する多元現実につながっている。ここでは人間が無限の現実を縦横に転移することができ、何の制約も受けず欲求を即座に実行・実現できる。人は物理的な因果法則から解放され、哲学的な意味での自由意志が実現する世界だ。

f:id:debabocho:20131204224243j:plainこの空間にとらわれたカーク提督は、まさに天国のような幸せを永遠に経験し続ける。しかし彼は同じく迷い込んだピカード大佐に説得され、元の宇宙に戻り、彼らのミッションを果たすことになる。カークは、自由から自分を解放したのだ。これは人間の意志、生きる目的の再発見の物語だ。ま、小難しいこと抜きにときめいたのは大スクリーンで活躍するエンタープライズD、そして大好きなネビュラ級航宙艦の姿なわけだけど。

 

次点は究極馬鹿SFである『プロメテウス』。

そんなわけで、そこそこ自分らしい選択、自分なりのセンス・オブ・ワンダーの感じ方を表せたと思う。映画を観たその時々の感性で映画をどう受け入れたかの結果だから、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『アルマゲドン』にセンス・オブ・ワンダーが無いってわけじゃないんであしからず。