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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

『マグニフィセント・セブン』ヴィンセント・ドノフリオのきちがい演技!

『荒野の七人』のリメイク作品。当然ながら日本では『七人の侍』とも関連付けられるけど、実のところ『オーシャンズ11』のようにバラエティ豊かな面々が活躍する、よりスタイリッシュで今風の娯楽映画って感じ。

 

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なんせ主人公がデンゼル・ワシントン。黒人カウボーイ。仲間もメヒコ、サイコ、アジア人、インディアン。それぞれキャラが立ってて、戦い方も個性があってすっごく楽しい。残りの2人の白人(クリス・プラットイーサン・ホーク)は客寄せのおまけだおまけ。いや実際物語のいいところはこの2人が持っていくんだけど。

そしてこの新たな七人のポイントは、全員が馬に乗った対等の存在ということ。アメリカのあの時代、マイノリティ中心に組まれた七人が、フェアな立場で語り合い、共闘していた。そんなのはファンタジーだとは思いつつも、西部のどこかでそんな状況があったのではと思うだけで、なにか幸せな気分になれる。

 

内容はといえば、演技力を活かせる重厚な内容にも、肩の力を抜き切ったあっ軽いクション映画に振り切ることもできず、苦労したんだろうなあと思う。いい役者を揃えたもののそのコストに見合った脚本や美術が得られていないようだ。

特に西部の街のハリボテ感は、ちょっと興ざめだ。実際当時の街がそんな感じであったとしても、もうすこし見せ方で、今の時代にあった映画的な密度を出してほしかった。キャラクターの衣装は緻密であか抜けているので、すこし浮いてしまう。

 

それでも、この七人の個性、魅力には抗えない。デンゼル・ワシントンのカッコよさは言うに及ばず、イ・ビョンホンのナイフ裁きと、心に傷を負ったイーサン・ホークへの優し気な視線は忘れられない。イ・ビョンホン、すごくいい役者だ。男勝りのヒロイン(ヘイリー・ベネット)も出てくるけれど、恋愛要素を切り捨て、友情と信頼に絞ったのは素晴らしい。

そしてやっぱりヴィンセント・ドノフリオ! 愛嬌のある"ちょいサイコ"を演じさせたら彼の右に出る者はいない。『フルメタル・ジャケット』から『ロー&オーダー:クリミナル・インテント』の主役ゴーレン刑事、近年では『ジュラシック・ワールド』と、毎回違うタイプのサイコっぽさを見せてくれる。

今回の役柄も過去のトラウマで脳のネジが少々飛んでしまった、巨漢のサイコ。聖書の一節を唱えながら敵に馬乗りになって手斧で殺す姿は最高。敵のいる建物に飛び込んで、画面に見えないままドタバタやって敵を外に放り出すギャグ、更にヤラれざままで、バッチリ巨漢キャラの定石どおりで最高だった。

 

そして、七人のもと街の面々がひとつになって戦いだす高揚感。無辜の人々をまもるため、敵の前に立ちふさがる七人の献身。この感動は、今作でもしっかりと息づいている。決して器用な展開とは言えないけれど、泣ける。映画館ではびっくりするほどボロ泣きしている人もいた。自分もラスト、あのテーマ曲がながれて思わずほろりときた。いいじゃないか、泣けるって。

その名を受け継ぐすごい作品とは言い切れないけれど、愛すべきキャラクターに彩られた、楽しく、泣ける、良い映画だった。

 

余談。この映画で泣けた人は、きっと『スター・ウォーズ ローグ・ワン』でも大感動できるはず。K2! 

スター・ウォーズ K-2SO 1/12スケール プラモデル

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