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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

マンハッタンに恋をして~キャリーの日記~ 第1シーズン:海外ドラマレビュー

海外ドラマ ジャンル:恋愛

1990年代末~2000年代初頭の傑作シリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公、キャリー・ブラッドショーが1980年代に過ごした高校生活を、2010年代半ばの今になって描くという『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』。どんなものかと思ってBS Dlifeチャネルで初回を観てみたら、なんだかすごく懐かしい気分になれた。1980年代がじゃない(子供だったし!)。1990年代末の、あの頃の青春ドラマの感触があったから。

あらすじ

1884年。コネチカットに住む16歳のキャリー・ブラッドショーは、母を亡くしたショックから立ち直りつつあった。父親のトムから弁護士事務所のインターン制度を紹介され、憧れのマンハッタンで週に一度の仕事を始めた彼女は、母親のバッグが縁でインタビュー誌の編集者ラリッサと知り合い、ニューヨークのファッションの世界へと踏み込んでいく。

感想

古き良き青春ドラマの系譜

ニューヨークで生きる多様な人々のセックスライフに焦点を当て、人の心の機微を描いて大成功した『セックス・アンド・ザ・シティ』。その前日譚となる本作、相当しっかりした基軸がないとコケるんじゃないかと思ったら、意外なことに出てきたのはド直球の青春ドラマだった。

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主人公は16歳の少女、母は亡く、包容力のある父親と反抗期の妹の3人暮らし。学校にはゲイと人種マイノリティの友人に、ビッチで嫌味なライバル、イケメンの転校生。そして彼女を大人へと成長させていく、ニューヨークでの様々な事件。その骨格は、『セックス・アンド・ザ・シティ』と同時期に観た『フェリシティの青春』や『パーティ・オブ・ファイブ』といった青春ドラマを思い出させる。

奇を衒ったような語り口も尖ったユーモアもなく、サクサク進むシナリオは王道の展開。マンハッタンを恋人に見立てたキャリーの語り口が楽しい。こういうスタンダードな、安心して観られるドラマって、連綿と続いてきたんだろう(ドーソンズ・クリークとかワンツリー・ヒルとか、あったもんね)。すごく懐かしくて、久しぶりだ。

ほの見えるキャリーらしさ

もちろん、旧来のSATCファンがピクっとくる要素も多い。同世代ファンに向けた80年代の描写ももちろんだけど、アナソフィア・ロブの演技もいい。幼さの残る顔立ちの彼女だけれど、ふとした瞬間、サラ・ジェシカ・パーカーそっくりな仕草と表情が見える。ナレーションをする息遣いも似ている。

個人的には、今作でキャリーを演じるアナソフィア・ロブの“身長が低い”(2歳下の妹より低い)というのが、けっこうわかってるなって感じで嬉しい。SATCではキャリーが高いヒールを脱ぎ、本当の自分の身長になるシーンが、何度か印象的に使われていた。今作ではこれから彼女がヒールを履いて、大人になっていく様子が象徴的に描かれるんだろう。

 

『マンハッタンに恋をして』は、新機軸でぐいぐい引き込まれる大傑作、という感じではないし、かつてのSATC世代が再びどっぷりハマれるかといえばそれも違う。でも、こういうドラマってすごく、必要とされている感じがする。STACの製作者がかつて作った『ビバリーヒルズ高校白書』と同じく、スレきった大人でなく、10台の若者がほんとうに共感して、ハマれるドラマだから。スレきった大人は、酒でも飲みながらあの頃を懐かしんで観るのが、ちょうどいいのかもしれないな。

 

吹き替え、いい感じ

ところで本作、キャリーの吹き替えが、普段テレビシリーズの吹き替えではあまり聴かないフレッシュな演技で、際立って聴こえる。台本で(笑)や、ともすりゃガヤで括られてるような、ティーンがじゃれ合う歓声なんかも、ナチュラルな“らしさ”があって、画面にフィットして聴こえる。声優は『キック・アス』のヒット・ガールをあてたかた。なるほど巧いね。

あともうひとつ言っとくと、キャリーのアジア系の友人、マウスが可愛い。演じるのはエレン・ウォン。役の上では16歳だけど、御年28歳。

セックスとニューヨーク (ハヤカワ文庫NF)

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