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刑事フォイル: 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った NHK BSプレミアム放送中のドラマ『刑事フォイル』の全話レビュー。

各話視聴後に追加していきます。

あらすじ

第二次大戦さなかの1940年、イギリス南部の町ヘイスティングス。軍務を希望しながら人手不足を理由に赴任してきた警視正ジョン・フォイルは、この町の刑事として犯罪を取り締まっていく。男性不足の折手配された女性運転手サマンサ(サム)・スチュワート、自らのアシスタントとして採用した傷痍軍人、ポール・ミルナー巡査とともに、複雑な殺人事件に取り組むうち、フォイルは戦争が人々の心に落とす深い影が、犯罪と不正義を生み出すことに気づいていく。フォイルは刑事として、また人として、社会正義を貫くことで、戦争と対峙していく。

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全話レビュー

1話『ドイツ人の女 前編』

1940年、第二次大戦中の英国の片田舎ヘイスティングで、一軒のパブがドイツ軍から爆撃される。村の名士のドイツ人妻の殺害は、憎悪故の復讐か? フォイルの捜査が始まる。平凡な日常と戦時統制の表裏一体が物語に深みと驚きを与え、引き込まれる。★★★★

2話『ドイツ人の女 後編』

ドイツ女殺しは連続殺人に。実に手堅い捜査と推理が展開する。中盤、フォイルのコミカルな強情張りかと思いきや強烈な社会不正義の告発となるシーンは素晴らしい。しかしドイツ軍機の精密爆撃殺人なんてネタになんなくて安心したような残念なような。★★★★

3話『臆病者 前編』

ヒトラーに心酔し破壊工作を行った村娘。彼女を変えてしまった反ユダヤ主義者の集まりで銃声が……。典型的な洋館型ミステリーの状況劇も、戦時中という強力な舞台設定と、時間をとった導入部のおかげで展開にリアリティが増す。サムが相変わらずキュート! ★★★

4話『臆病者 後編』

浅薄な人種差別主義者の母親を持った青年の苦悩、差別を恐れるユダヤ人の娘、そして正義のため戦地へと漕ぎ出す漁師の親子。戦争という状況が生み出す悲しみが、謎解き以上に重い印象を残す。ヒトラーの起こした人種差別的社会のおぞましさがリアルに感じられる。★★★★★

5話『兵役拒否 前編』

良心的兵役拒否が通らず収監され自殺した男。その判断をした判事が狙われる。獄舎での暴行シーンは短いながらも戦時の闇を描き出す。疎開児童問題も絡めて重い社会問題を前に出しつつ、骨格は純度の高い推理劇になっている。被害者一家の個性が少々薄いか。★★★★

6話『兵役拒否 後編』

散在する証拠を一つ一つ検証し、事件の真相を突き止める正統派ミステリプロット。だがその行く先々で、戦争の及ぼす影響がみっしりと描かれる。それは感情的な描写でなく、虚無感あふれる一種のハードボイルド。エピローグの音楽とトニーの一言が痺れる。 ★★★★★ 

7話『レーダー基地 前編』

フォイルの息子がレーダー基地のテスト飛行士に。息子が知ったレーダースポッターの死と、父フォイルの追う美術品運搬員の死は結びつくのか? 刑事ドラマなのにスピットファイアの橋梁くぐりが見せ場。軍なのに女性ばかりのレーダー運用室描写も面白い。★★★

8話『レーダー基地 後編』

フォイルの息子の思いもよらぬ逮捕などで盛り上がるが、少々盛りだくさん過ぎで物語が散漫になっている。基地の事件と画廊の事件の関係性が貧弱で、推理に説得力がない。最後の「鷲の日」爆撃の描写も設定に絡むだけでテーマに入ってこない。勿体ない。★★★ 

9話『50隻の軍艦 前編』

火事場泥棒の消防団員、アメリカの名士と殺された町工場の経営者、浜辺に着いた亡命オランダ人。それぞれ思惑を持ったキャラたちが物語の中にばらまかれ、結び付けられるのを待っている。サムとポールはまさかの不倫劇へ。フォイルの微妙な恋心も楽しい。★★★★ 

10話『50隻の軍艦 後編』

火事場泥棒と亡命者を手引きした者、それぞれに待つ悲惨な結末。特に後者は身を切る辛さがある。推理劇はまたも正統派で腹落ち感がある。亡命者とのからめ方もドラマチックで盛り上がる。タイトルの意味が判明する終盤、フォイルの言葉の強さにも共感。★★★★

11話『エースパイロット 前編』

燃料泥棒の潜入捜査でサムがアンドリューの基地に。戦時中の石油政策に絡んだミステリはロジカルで楽しいし、アイルランド人やIRAの問題まで絡んだ話は歴史モノ的面白さが強い。アンドリューが意外とプレイボーイで微笑ましいかと思いきや……。★★★

12話『エースパイロット 後編』

女性が殺されたのは仕事の為かプライベートの為か? 戦時中の北アイルランド独立運動と絡めた爆弾サスペンスはそれほど盛り上がらず、却ってフォイルらしい。最後の最後の謎が解け、悲しい恋と定めのような死が現れるのは、推理劇の醍醐味。★★★★

13話『軍事演習 前編』

お題はホームガード(国防民兵)。大企業の社長の秘密をめぐり、彼の土地で小作農をする前科者、フォイルの友人の弁護士、フォイルの元部下の男が、演習の場で絡んでいく。階級社会の問題もにじみ、状況に深みが出ている。敵内通者の会話の雰囲気も良し。★★★

14話『軍事演習 後編』

殺された青年が国際企業の社長宅から盗んだものは? 戦争とビジネスの倫理問題をストレートに告発する。結末はこれまでにない厳しさ。鍵となる怪しげな弁護士の正体もインパクトが強く、つくづく戦争の描き方が巧い。子供から証拠を得る展開は少々出来すぎ。★★★★

15話『隠れ家 前編』

備蓄食料の強盗を追い、富裕層の疎開用ゲストハウスへ。住人は秘密まみれ。ところがフォイルが突然停職となり……。停職になる経緯が少々唐突。フォイル不在で緊迫感が出るはずが、物語の歯車が回り始めるのが遅く感じる。後編で物語が収束することに期待。★★★

16話『隠れ家 後編』

前編でばらまかれた糸がどうまとまるかと思えば、なんと見事に一本に! 停職事件はフォイルを安楽椅子探偵にするための設定かと思ったら、こう来るか。戦争描写は多少薄目だが、久々に推理ドラマの醍醐味を満喫できた。しかしアンドリューめよくもサムを!★★★★★

17話『丘の家 前編』

陰謀を巡らせる諜報機関の存在が示され、フォイルたちが謎めいた証拠を手掛かりに、その機関に少しずつ近づいていく。シナリオに迷いがなく、点と点が線で結ばれ先に進む快楽が明快。オープニングの落下傘兵のシーンも雰囲気があり、本編とどう関係するのか楽しみ。★★★★

18話『丘の家 後編』

実在した秘密組織、特殊作戦執行部を舞台に、殺人事件の大掛かりな隠ぺい工作を鮮やかに解き明かす。しかしスパイ技術を使った隠ぺい工作が周到すぎてちょっとできすぎの感も。ほろ苦いラストはもう少し余韻が欲しい。フランス語訛りの吹き替えはやりすぎ。★★★★

19話『癒えない傷 前編』

退役軍人の屋敷が戦時病院に。一方アンドリューの基地では戦闘機の整備不良が問題になり……。スピットファイアの実機が飛び回り、墜落シーンもあるミリタリファン垂涎のエピ。基地と病院、ばら撒かれた謎が一つの殺人を機に結ばれる構成には納得感あり。★★★

20話『癒えない傷 後編』

病院のパーティで、だれが殺しをやったのか。推理も戦時病院の描写もよし。しかし見どころは戦争神経症でサムに泣きつくスケこましアンドリュー! 色男め! スピットファイアも格納庫の様子や印象的なラストフライトを見せてくれる。満足感の高いエピ。★★★★

21話『それぞれの戦場 前編』

爆撃機が被弾し脱出したドイツ兵たち。彼らに目的は? 農場の殺人と関係はあるのか? 例によって2つの異なるミステリが進行し後編への期待を持たせる。史劇としては戦時下の農場の女性のありかたが見どころ。激しい空襲と春の森の対比も良い。★★★★

22話『それぞれの戦場 後編』

殺された農場主に2丁の拳銃、数の合わないドイツ兵捕虜。それぞれの点はどう結びつくのか? 銃後の女性たちの暮らしと苦悩を見せるのだが、肝心の話が盛り上がらない。ラストのアクションは緊迫だが、落下傘の謎は話ができ過ぎで少々落胆。★★★

23話『不発弾 前編』

今回のお題は空襲の不発弾処理工兵と、資材背窃盗団。処理の現場で意外なものが見つかり……;。日本のドラマの「悲惨な空襲」と違ったセンスで、空襲が日常となった英国の様子が描かれる。珍しく前半で殺人が起きない展開で、逆に興味を惹かれ期待が膨らむ。★★★

24話『不発弾 後編』

造船工場から見つかった不発弾をめぐり事態は錯綜する。戦時中の格差が通底するテーマになっているが、共産活動家のプロットが本筋に巧く絡まなかったのは不満。結末もフォイルによる問題解決とは程遠い衝撃的なものだけに、きちんとした余韻がほしかった。★★★

25話『侵略 前編』

アメリカ軍がやってきた! 駐留部隊が田舎町で引き起こす軋轢の裏にある、ある女の陰謀。彼女は何を引き起こすのか……? 米軍に対する英国人の心理がまた興味深い。フォイルと米軍司令官の紳士的な関係は上出来。それにしてもアンドリューめよくもサムを! ★★★★

26話『侵略 後編』

ダンスパーティの場でサムは幸せなひと時を過ごし、その裏で一人の女が殺される。その生き方ゆえに多くの男たちから恨まれた女もまた、人生を戦争に狂わされた被害者と言える。犯人推理のパートはどんでん返しがあるわけではなく多少退屈だが、良い脚本だった。★★★★

27話『生物兵器 前編』

隣の管区で起こった殺人、消え去る家畜たち、そして始まる謎の流感……。フォイルたちの捜査の傍らで、謎めいた事態が進行する。まあサブタイトルでネタが割れてるんだが、少しずつ進行する感染は不気味。平和主義者との対立ネタはまたかという感も。★★★

28話『生物兵器 後編』

正義のための蛮行もまた正義なのか? 悪の上に成り立つ名誉は名誉たるのか? 生物兵器開発と船からの脱出、二つの状況でテーマが呼応する。生物兵器開発者の詭弁にぐっと息を飲むフォイルの表情やよし。最後のサムとフォイルの静かな掛け合いにほろり。★★★★★

まとめ

総ポイント数

105 / 140

平均

3.75

感想

追って追記します。

 

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