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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

グッド・ワイフ シーズン4 - 海外ドラマ全話レビュー

海外ドラマ ジャンル:法廷 ジャンル:社会派

 

Twitterを使った『グッド・ワイフ』おおよそ140文字全話エピソード・ガイド&感想。突発的に第4シーズンからつけ始めました。1-3シーズンもやるかどうかは未定。

あらすじ

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アリシア・フロリックの働くロックハート・ガードナー弁護士事務所は、ウィル・ガードナーの弁護士業務停止処分明けも早々、負債が膨らみ管財人による再建支援を受けざるを得ない状況となっていた。大規模なリストラが断行されるなか、アリシアの働きはより重要性を増していく。

一方アリシアの夫ピーターは、夫婦としての信頼関係を遂に取り戻し、イリノイ州知事選に出馬する。しかし彼の女性問題は尾を引き、選挙戦に意外なライバルを呼び込む。

弁護士事務所の調査員として汚れ仕事を引き受けるカリンダのもとには、彼女の“元”夫が戻ってくる。闇社会に身を置き、カリンダを求めてやまない彼の存在が、弁護士事務所にも少しずつ影を落とす。自分自身と友人たちを守るため、カリンダもまた隠していた牙ををむき、彼に立ち向かっていく。

様々な案件をこなし、なんとか倒産の危機を乗り越えていくアリシアと事務所の面々。しかしその中で生まれた亀裂は大きく、ケイリー・アゴスら若手パートナー弁護士は独立を考え始める。そしてアリシア自身も、いまだ断ちきれないウィルとの秘めた関係に苛み続け、州知事選の投票日、彼女はある決断をする……。

全話レビュー

4‐1『マディソン郡の道』

小さな物語を子気味よく転がしつつ全体の状況を俯瞰する構成。物語の爽快感はいつも通りで、今回も交通警察への不満を巧く代弁してもらえた感じ。カリンダが前シーズンから持ち込んだサスペンスは意外な方向に……なんだかクリンゴン人じみてきたぞ。★★★

4-2『デモで消えた命』

陪審員の証人への直接尋問という新制度が裁判を引っ掻き回す。なんとモーラ・ティアニー登場でERの前期後期ヒロインそろい踏み。エロス&バイオレンスを一手に引き受けるカリンダも絶好調。仕草ひとつに情念が乗り、爽やかな絵作りなのに確かにエロい。★★★★

4‐3『第三の道

検索エンジンアルゴリズムの恣意的な調整をめぐる裁判。このシリーズ、IT絡みのネタがちゃんとリサーチされててめっぽう面白い。カリンダの不穏な夫婦関係の描写が他のプロットともシンクロして、基本的に明るく楽しい裁判を盛り上げる。★★★★

4-4『憎悪犯罪

邦題からハードな内容になるかと思いきや、ゲイ差別を弁護技巧に使う敵との応酬をコミカルに描き、いつもと同じ爽やかな印象。選挙戦プロットも事務所経営プロットは、本筋のテーマにはそれほど絡まないものの、こちらも駆け引きが明るく楽しい。 ★★★★

4-5『ノックを待ちながら』

麻薬実業家が逮捕されるまでを内側から描く。のっけからサスペンスフルで、心地よい緊張感が全編続く。各キャラの状況と個性が絶妙なバランスで絡みあう見事なシナリオ。これが観たかった! 麻薬王であり父親である男が闇に消えていくラストが美しい。★★★★★

4-6『法律の壁』

民間軍事会社職員の女性軍人へのレイプ。軍法では裁けず、では民法では? 文字通り法の隙間を利用する容疑者側と丁々発止の駆け引き。アリシアと被害者の女性大尉、上官の女性大佐の静かだが強い連帯感がキチンと伝わり、少し寂しい結末の画面にほろりと来る。 ★★★★★

4-7『ジョークの解剖学』

善意も下ネタでしか表現できない不器用な女性コメディアンを通じ、コミュニケーションのあり方を描く。サブプロットのテーマは人脈と信頼。夫と分かり合えるアリシアと、親と分かり合えないケイリーの対比が良いアクセントになり、本筋を支える。見事。★★★★

4-8『判事の偏見』

酒の席での判事の発言が招く混乱。冒頭の判事に敢然と立ち向かうアリシアにぐっと心を掴まれる。ただ裁判そのものはそこまで盛り上がらず。サブプロットのアリシアの子供たちの物語も細切れだけど、1シーン1シーンが印象的で飽きず、満足感は十分。 ★★★

4-9『結婚防衛法』

ダークなケイリー・アゴスが帰ってきた! と思ったら出だしだけ。ついでにイヤーなママも帰ってきた。夫婦とは異性間のものと規定する法のせいでゲイが不利益を被る問題を、自己顕示欲の強い正義の弁護士と絡めコミカルに描く。ラストシーンはびっくり。★★★

4-10『代理戦争』

シカゴの裁判に勝つため地方の法廷に介入する検察と弁護士たち。一方サブプロットでも、会社や選挙を代理にした暗闘が。代理戦争というテーマは明確なのに、それぞれの描き方がいまいち踏み込みが足りず、ワクワクはするが観終わった後の満足感が低い。 ★★★

4-11『新しい債権者』

まずミネソタの美しい紅葉の映像に心奪われ、そこで織りなす駆け引きに現れるのは難病患者、ガン患者、パーキンソン患者。この自然と病める人間たちの対比が何とも言えない感慨を引き起こす。サブプロットではケイリーとヘイデンの亀裂もぐっと来る。 ★★★★

4-12 『スポーツ仲裁裁判所

事務所の存続問題はいったんお休み。赤毛のエルズベス弁護士久々登場で、普段より更に風変わりな論戦へ。二つの法廷どちらも躁的テンションで、ちょっと度を越してガチャガチャしすぎ。★★★

4-13『パートナーの条件』

大企業のCEOと恋人の結婚契約書交渉と、アリシアの昇格をめぐる問題のダブルプロット。結婚のチャンス、昇格のチャンス、どちらも綺麗事で割り切れない事だけど、最後、アリシアとダイアンの女同士の会話が、その向こうにあるものを見せてくれる。★★★★

4-14『赤組VS青組』

クライアントが法廷で勝てるかをはかる模擬裁判。最初は和気あいあいだったのに、事務所内のパートナー昇格問題が原因で本気の勝負に。なんといってもアリシアとウィルの口喧嘩! 思わぬ結果(というかある意味予想通りの)に大爆笑。 ★★★★

4-15『狙われたイーライ』

伏流水となっていたピーターの州知事選に、彼の腹心イーライの買収疑惑裁判をかけてがっつり描く。選挙戦の現場と裁判の現場、二人のプロットは終盤1本の電話でがっちり結びつく。ラストは抱き合う二人のブロマンス! 女の友情との対比もあり巧い。★★★★★

4-16『悪魔のささやき』

マフィア弁護もので、レギュラーもゲストもうさん臭さ全開の回。唯一うさん臭くない主役アリシアがそれに振り回される立ち位置なんだが、ちょっと踏み込み不足か。ウィル&ダイアン、カリンダ&ケイリーの共謀者的な丁々発止は観ててウキウキするな。 ★★★

 4-17『死因審問』

保険の支払いに関する小さな調査審問が例によってどんどんエスカレート。サブプロットも親子喧嘩に子供の恋愛と、エモーショナルな展開が多いエピ。父親登場で急に見た目も子供っぽく見えてしまうケイリーの逆転劇は見事だけど、爽快感が今一歩かな。★★★

4-18『依頼人の死』

殺された奇特な依頼人の回想を挟みながら、パーティ会場と警察署で様々な人間模様が繰り広げられる。起承転結のつく裁判シナリオではないが、小さな物語や断章的表現の集合体はまさにパーティ的で楽しく、最後にすっとテーマがまとまるところも見事。★★★★

4-19『史上最速の裁判』

形骸化していた迅速裁判権を逆手に取った超高速裁判が繰り広げられる。そも状況に至るオープニングは歯車が嵌るような筋書きで見事。惚れた相手を前に少女のように振る舞うダイアンや、『ホームランド』モリーナ・バッカリンの珍しく明るい演技も見物。★★★★

4-20『匿名の支援者』

ハッカー集団アノニマスによるサイバー自警団的な行動が、逆に法廷で弱者の勝利を阻んでいく。この現実で起きている状況そのものをメッセージとして見せた感が強く、物語としてはカタルシスに欠け、シーズンフィナーレの展開の下地作りといった感。 ★★

4-21『労働争議

顧客の労組設立を助けつつ、弁護士事務所内の労組設立の動きに対処しなければならないアリシアたち。組織内の人心分裂を描くダブルプロットは、夫婦の絆の再生で終わる。見事な展開。そして交渉するカリンダのエロさと言ったら! ただ喋ってるだけなのに!★★★★

4-22『疑惑の投票箱』

ピーターの知事選不正疑惑の裁判と事務所の分裂問題を、投票日前夜の夜通しの出来事として見事なテンポで描く。生きたキャラの思惑が絡み合う先の読めないシナリオ。アリシアの心裂かれる想いが、狂乱の展開の中でずっしりと存在感を示す。見事、見事! ★★★★★

シーズン4 まとめ

総ポイント数

83 / 110

平均

3.77

感想

『グッド・ワイフ』は複数エピソードに跨って走るシノプスのウェイトが高いので、『Law & Order』のようにエピソード単独で点数をつけづらく、若干厳し目の結果になってしまったかもしれない。とはいえ、それを差し引いても、今シーズンは感覚的に、前シーズンより少しパワーダウンしたように思える。

今シーズンはとにかくカリンダの印象が強烈だった。前半のほとんど別番組みたいな(でもキッチリ作品のトーンとマッチしてる)エロス&バイオレンス展開のおかげで、それ以降も言葉やしぐさの一つ一つに、エロさとアブなさ、そして可愛さが同居して見える。特にケイリーとの会話は、ビジネス的な僅かなものであっても、そこに「お互いの体を知ってる」感じが、ものすごく出ている。 

よく物語の人間描写の良し悪しについて「単なる悪人が出てこない」なんて言われ方があるけど、このドラマは「単なる善人が出てこない」物語だ。カリンダやケイリーは言うに及ばず、主役のアリシアでも、一見した雰囲気とは裏腹に、不倫や裏切りをやってみせる。その二面性が際立っている。だからこそ、『グッド・ワイフ』だ。グッドとバッドを常に一体のものとして見せ、視聴者の天秤にかける法廷ドラマなんだと思う。

 

それにしてもNHKの吹き替えキャストの豪華さ、演出の良さ、そして吹き替え翻訳の巧さには、もうひれ伏すしかない。カリンダとケイリーのあの雰囲気も、米倉紀之子・茶花健太両氏の深い声の込め方があるから、原語版を凌駕してその良さが伝わってくる。

 

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