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Law&Order シーズン11 おおよそ140文字レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字全話エピソードガイド&感想、第10シーズン。

あらすじ

ニューヨーク地方検事アダム・シフが任期中にその職を辞し、次期地方検事選挙までの代理としてノーラ・ルーウィンが地方検事に指名される。リベラルな理想主義の法学者として直前まで大学で教鞭を取っていた彼女は、その実務能力を示さなければならなかった。マッコイ主席検事補、カーマイケル検事補が、彼女を支えていく。

一方ニューヨーク市警27分署では、ヴァン・ビューレン警部補のもとブリスコー刑事とグリーン刑事のコンビが、差別と憎悪、精神疾患、銃犯罪、メディアの暴走、はては選挙に絡む不正まで、さまざまな理由で起こる殺人事件の捜査に取り組んでいく。

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エピソードレビュー 

11-1『聖母の告白』

ホンモノのジュリアーニ市長がシフに代わる新検事ルーウィンを連れてくる。事件は母親による障がい児殺しで、マッコイの判断が情と法の狭間で試される。母親役ミーガン・フォローズの嗚咽の演技が素晴らしい。★★★★

11-2『第2の犯人』

精神異常者の起こした2度目の殺人。1度目のときに彼を適切に治療しなかった精神疾患施設の責任が問われる。間接的に、アメリカの保険制度、利潤追求の医療ビジネスとなったHMOの問題点を突く。久々に両社正々堂々の最終弁論で見応えがある。★★★★

11-3『不倫の代償』

邦題ネタばれシリーズ。今回の餌食はオーケストラの指揮者。裁判の最後でどんでんがあるんだが、それも何となく見え透いていた感がある。ルーウィン検事がタフネゴシエーターであることが明かされるけど、まだ役がモノになってないような……。 ★★★

11-4『堀の中の特権』

刑務所の中で刑務官の企てた懲罰処刑で、警官犯罪ものの変奏と言える。珍しいストレートな負けパターンで、陪審=視聴者の正義新が試される。シナリオとしては前半の覆面捜査が後半に巧く絡まず、散漫な印象。★★★

11-5『帰還』

単純な殺人事件、犯人はユダヤ系。憎悪犯罪系のエピかと思えばなんとイスラエルの”ユダヤ人帰還法“を盾に問った裁判逃れと戦う物語。法廷はシナゴーグのラビ裁判所に移り、国籍とは、宗教とは、そして民族とは何か、を突きつける。トリッキーで見応え十分。★★★★

11-6『裁かれる殉職』

イスラム系黒人権利団体ブラックパンサー。現在は地域奉仕に徹する彼らもかつては急進武闘派で知られ、対する白人警官の目はいまも厳しい。しかし過去を理由に現在の行き過ぎた取り締まりが許されるのか。終わらない憎悪を描いた重い物語。★★★★

11-7『20年前の償い』

検挙率の低さをカバーする点数稼ぎに20年前のコールドケースを捜査することになった殺人課。不純な動機での正義の遂行は、糾える縄のように身内の恥も暴いていく。正義のための不正義か、不正義のための正義か。考えさせられる。★★★★

11-8『怒りの発作』

久々アーチャー弁護士(デニス・ボウトシカリス)登場。この人の場合犯罪なのか犯罪でないのかが曖昧な事件が多い。今回も原題『薄氷』が示す通り、殺意の有無が際どい裁判となる。問われるのは大人としての責任。描かれるのは大人の醜さ。 ★★★★

11-9『傲慢さの報い』

ファム・ファタールものの変奏で、男性が性的魅力で犯罪をかき乱していく。グッド・ワイフでも独特の存在感を見せるティム・ギニーの不気味な優男っぷりが見もの。ただ物語のオチは唐突で、やはりこの手の物語は女性を主人公にしたほうがいいのかと。★★★

11-10『野生動物は誰のもの』

実験動物の解放を求める”自然の権利”問題を描く。動物を解放した被告が「動物を守ることは正当防衛」という奇妙な理論を持ち出し、それが弁護士の力で真実味を持ち始め……。このアクロバティックな法の解釈こそ法廷ドラマの神髄。楽しめた。★★★★

11-11『日曜日の公園で』

無法地帯と化したプエルトリコ人パレードの中で起きた殺人。それは白人の犯行か、ヒスパニックの犯行か? 無法化を許した警察側のメンツと人種攻撃に繋がる危うさが捜査をミスリードする。シナリオとしては、結果的に内容が薄くなっている。★★★

11-12『線引き』

十代の子供たちが遊びの延長線上で犯した凶悪な殺人。ひとりだけ18歳の誕生日を迎えていた少年を極刑に課すべきか? 検察局内で白熱する議論、ルーウィン地方検事の重い記者会見、最後の最後で少年の欺瞞を暴くマッコイ検事補の顔。見どころ満載。 ★★★★★

11-13『嫌悪の果てに』

ゲイカップルのが取った養子を、実の父母が奪い返そうとする。そこに同性愛嫌悪はあったのか? 前半にスピーディーな誘拐事件が来たので後半とのバランスが良く舌戦も楽しめる。だが憎悪犯罪を暴くプロセスは少し物足りない。★★★

 11-14『寵児の陰り』

恵まれない環境から這い上がったスポーツのスター選手。自らに子供ができたことを知ったとき、彼は……。スポーツ界特有の問題を描くが、事件の核心に至るまでがだらだらと長く、シナリオを通してテーマが判りづらい。★★ 

11-15『特別エピソード』

リアリティ番組で起きた殺人を描く。建前上”やらせ”の無い番組内で、殺人が起こりうる状況を創り出したのは誰なのか。責任の所在がエスカレートしていくのが面白い。当時リアリティ番組に押されていたドラマ制作者の抵抗とも取れる内容。★★★★

11-16『意義ある越境』

市民の代表たる陪審員が罪を裁く米国司法制度では、誤審の指摘は市民自身を責めることになり、抵抗がある。今回の事件は、一つの事件でふたつの管区で別の有罪が出たことから、司法の自浄能力が試される。久々の控訴裁でなかなかの見応え。★★★★

11-17『大いなる自信』

検察官自身が犯罪者となる物語。しかも相手は州検事局の切れ者ときたら、大舌戦を期待するもそうはならず。多少トリッキーな戦術があっただけだった。その自信ゆえに支配欲求の強い男性の心の闇を描くまでにも至らず、ちょっと欲求不満。★★★

11-18『白い粉の誘惑』

1件の殺人が、軍やコロンビア人組織を巻き込む大きな疑惑となり、裁判は一人の女性の麻薬中毒へと集結する。ドラッグ問題の様々な側面を重ね合わせて描いた意欲作だけど、それゆえに少し散漫な印象となったか。★★★★

11-19『仕組まれた事故』

不法移民を雇った当て逃げ。その裏にあるのは医療制度の穴をねらった複雑な保険金詐欺。日本でも同様の事件があった。マッコイと黒幕の弁護士との論戦はストレートでなかなか聞きごたえがある。★★★★

11-20『父への想い』

金持ち一家の秘密、隠し子編。隠し子問題と思わせて、その裏の裏にある事実。トリッキーな裁判はないが、刑事編・法廷編が1本の道で繋がれ、親を越えられない子の歪んだ憎しみと、それをどうすることもできない無力な親の愛情が最後によく伝わる。★★★★

11-21『兄そして弟や友』

原題はカインとアベル。容疑者と結託したFBIの不正疑惑の裏から、兄弟の葛藤が浮かび上がる。FBI捜査官も、邪悪な兄も、気弱な弟も、誰もが自分の守るべきなにかを守ろうとしている。演技を通してその感情が良く伝わる好エピソード。★★★★★

11-22『父親の決断』

銃乱射事件を題材としたエピ。派手な刑事編に対し、法廷編は11-19話と対をなすように、少年凶悪犯に大人の法を適用すべきかの問題がじっくりと描き出される。ジェイミー・ロスも再登場で見応えのある議論。★★★★★

11-23『判事嫌い』

身内の問題モノ。今回は不正ではなく、判事の姿勢が問われる。犯罪を憎むあまり、行き過ぎた判断をしていないか。今回はそれが生んだ復讐犯罪を通して、正義の倫理が一線を越える様子が映し出される。ただ描かれかたは歯切れが悪く、オチも弱い。★★

 11-24『保護された不正』

大統領選挙でも記憶に残る接線投票と不正疑惑。このエピでは州議会選での不正を殺人と絡め、法廷が票の再集計をするシナリオを描く。例によって高裁までどんどんエスカレートする展開は子気味良い。ラストの余韻もよし。★★★★★

シーズン11まとめ

 総ポイント数

90 / 120

平均

3.75

感想

重鎮のシフ検事がいなくなったことで、シーズン10より少しパワーが落ちたかな、と観ているときは感じていた。ところが終わった後にあらためて各話を思い出してみると、突出したエピソードはないが安定してクオリティが高い、といった印象。ただルーウィン検事では押しが足りないことは確か。シフ検事は毎回一言しゃべるだけだったのに、ずいぶんと存在感があったのだなあ。

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