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Law & Order シーズン16 全話レビュー

Twitterを使ったロー&オーダー おおよそ140文字全話エピソードガイド&感想、第16シーズン。

あらすじ

NY市警27分署、ヴァン・ビューレン警部補の率いる刑事分隊では、凶弾に倒れ戦線を離れていたグリーン刑事が復帰。ファルコ刑事に代わってフォンタナ刑事とともに再び捜査に就く。フォンタナ刑事の強引な捜査は度々問題を起こし、彼に辛い現実を突きつけていく。

NY地方検事局は引き続きブランチ地方検事のもと、マッコイ主席検事補とボルジア検事補がマンハッタン地区の殺人事件を担当。巧みな詐欺や宗教を盾にした欺瞞の裁判を裁く彼らの前に立ちふさがるのは、組織犯罪の恐怖。陪審員を恐怖でねじ伏せ、また彼ら自身がターゲットとされるなかで、正義を貫き通すことができるのか? その結果は、あまりに悲惨なものとなる……。

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全話レビュー

16-1『渦中の裁判』

幼児の誘拐犯と対峙する警察と検察。目の前の命のために、すべての影響を無視して犯罪者と交渉すべきか。政治も絡む展開は白熱。そして裁定を下す女性判事の力強い正義の声には拳に力が入る。マッコイ検事補が地方検事選を意識する一話でもある。★★★★★

16-2『因縁の対決』

L&O性犯罪特捜班7-2話『オーダーメード』からの引き継ぎエピだが、事件そのものは独立して楽しめる。詐欺師母娘を追い詰める物語。人生を嘘で固めたふたりが仲間割れをし、互いに本性をだしていく姿が印象的。判決後のどんでん返しも強烈な展開。★★★★

16-3『10年目の真実』

過去の事件の真犯人が見つかり、警察と検察は冤罪を着せた犠牲者の親と向き合う。いつもの物語と違い、フォンタナ刑事、マッコイ検事補が自らの過ちに向き合っていく非常にエモーショナルな展開。ふたりの心の混乱と焦燥がこちらの胸をも焦がす。 ★★★★★

16-4『汚れなき罪人』

妻の安楽死を行おうとした夫が爆殺されるという衝撃のオープニング。刑事編では人命尊重を謳う過激な宗教右派のネットワークを見せ、裁判編は神の御名のもと罪を擦り付け合う人々の醜悪さを描く。黒幕の牧師の信仰と狡猾さの入り混じった表情が見事。★★★★

16-5『塀の中の真実』

今期深刻なテーマとなる組織犯罪がテーマ。命を賭した父子の対話シーンが、静かにその恐ろしさを物語る。本作の真の主人公は傍観者=視聴者に近いボルジア検事補で、マッコイやブランチ検事の危機感のなさや、彼女にすら忍び寄る恐怖が実感できる。 ★★★★

16-6『虐待の連鎖』

貧困と虐待の中出産を繰り返す女性たち。彼女らに不妊処置を施すことと、子の虐待の再生産を許すこと、どちらが悪なのか? 順守問題や優生学信奉が問題を複雑にする。ルビネット弁護士が再登場。悪役ともいえる弁護を敢えて行うその覚悟の台詞は、胸に落ちる。★★★★★

16-7『砂上の楼閣』

ずるずると墜ちつづける蟻地獄のような悪夢を見る感覚。母親を殺した上での幼児誘拐事件が見せる、人の絶望から生まれるどうしようもない狂気、そして薄汚い欲と嘘。原因を作った人間は無罪となり、最大の被害者が逃亡者へとなる。悲惨な行く末には胸が詰まる。 ★★★★

16-8『血塗られた愛国心

当時社会問題化していた不正移民に対する自警団。彼らの心に巣食う人種優越心が、大量殺人をも厭わぬ歪んだ愛国心を萌芽させる。この米国の暗い現状を見せつけられる。ラスト、保守派ブランチ検事に茶を届けるラテン移民の絵が強烈な印象を残す。★★★★★

 16-9『法に罪あり』

受刑者の再審理にあわせ始まる無差別殺人。マッコイ検事補の命も狙われるスピーディーで非常にスリリングな展開。元弁護士の犯罪者の法を駆使した悪行が恐怖感を煽る。「シロワ審理」「一応有利な証拠」といった聞きなれない法廷用語も興味を引く。★★★★★

16-10『警部補の執念』

親友の娘が顔に酸をかけられ自殺、まさにヴァンビューレン警部補怒りの追跡エピソード。敵は久々の本格的クズ野郎でこちらも警部補に思う存分怒りを共有して観れる。ラスト、被害者の娘の行為は少々無理やりな感じもするが、溜飲の結末で満足。 ★★★★

16-11『偽りの形見』

ナチの時代を潜り抜けたユダヤ教聖書が破られ、その犯人が殺される。宗教絡みのエピとしては屈指のでき。信心深い移民の子と、閉鎖的な教会を憎む従弟の対立。宗教犯罪に関する検事たちの議論。そして聖書の正体が暴かれたとき、宗教の本質が語られる。★★★★★

16-12『友情の証し』

オチを言ってしまえば報復殺人の話なのだが、マフィアが絡み話が膨らむ。怒りに燃え殺人を犯した元警官の脅迫めいた法廷戦術は、まさにマフィアの戦術に近いものがあり、主題には現れないものの犯罪組織の怖さ、根深さが物語を飾る。★★★

16-13『心の闇』

うつ病患者の自殺を装った殺人。彼を殺したのは誰か、或いは何か。音楽も相まって哀しさが全編を覆うエピソードで、推理ドラマとしても後半の意外な証拠の発見が目を引く。それにしてもボルジア検事補はサウザリン検事補以上にマッコイに楯突くね。★★★★

16-14『責任の行方』

学校にはびこるカンニング問題が焦点。ITを使ったカンニング契約や向精神薬が生徒の心理を異常にし、殺人をも起こす現状。法廷編では弁護側の新型の向精神薬の影響を訴える強い戦略にたちむかうマッコイ検事補の弁論に聞き入る。★★★

16-15『犯罪の遺伝子』

犯罪傾向は遺伝するのかという問題と、他人や社会の為の正当防衛殺人は可能かという問題。どちらも以前のエピで出てきたが、今回は親子殺人でエモーショナルに展開。落としどころのないなんとも辛い話。ラスト、エレベーターの閉まる音が重く響く。★★★

16-16『キャリアの代償』

女性経営者の罪を、父と夫がかばい続ける。彼らをそうさせる被告の強さの源はなにか? 立身出世の容疑者と、その娘の表情の対比が巧い。真相が娘の口から語られるのは唐突な感もあるが、彼女とボルジア検事補の目の演技がそれをカバーしている。★★★★

16-17『営利企業アメリカ』

イラクで仲間を見殺しにした民間軍事企業の傭兵への復讐殺人。裁判で明らかになる過激派の残虐行為もさることながら、傭兵自身の行った悪行も衝撃的。それが国内の法まで乱していくおぞましさ。メルニック弁護士登場で討論も聞きごたえあり。★★★★★

16-18『葛藤』

不正に得た証拠から導かれた二次的証拠も不正とみなす“毒樹の果実”理論。誘拐犯を拷問し被害者を救ったフォンタナ刑事の行いを巡り、マッコイ検事補とドワーキン弁護士の公平性と正義を巡る葛藤を描く。本音を押し殺し法廷で戦うプロ意識に深く共感。★★★★★

16-19『医者の正義』

復讐殺人を謀る少年。その妹の死因はエイズなのか、エイズ治療薬なのか?『シカゴホープ』でも熱血医師を演じたヴォンディ・カーティスホールが、自らもエイズを患う小児科医を静かに演じ、皺の奥に正義と欺瞞が入り混じった表情を作る。巧い。★★★★

16-20『政界を操る者』

警官の覆面捜査がバレた理由は、政争の為の新聞記事に写真が出た為。さすがにやりすぎ感のある責任追及だが、そこはマッコイ検事補の飽くなき正義追及。政治家からの圧力がかかった次の瞬間に逮捕を決める彼のアツさが見もの。★★★★

16-21『仮面の裏』

先シーズン終盤のレギュラー、ファルコ刑事が事件の容疑者に。美人局泥棒から奇妙なマフィア連合、過去の事件の謎にあやしい証拠。謎が二転三転四転し、容疑者のキャラも手伝い飽きない。最後の事件解決方法も突飛でエンタメ色の強い快作。★★★★

16-22『最後の手段』

組織犯罪の恐怖。集団の力が個の倫理の歯止めを壊し、無関係の人々の命をいとも容易に奪っていく。ボルジア検事補にまでその手が及んだ時、マッコイ検事補の壮大な、そして虚しい復讐劇が始まる。終わったと思ってもまだ終わらない、濃密なエピ。★★★★★

シーズン16 まとめ

総ポイント数

 94

平均

 4.27

感想

 ★5点のエピソードが多く、平均してかなり高ポイントのシーズンになった。中盤にマッコイ検事補やヴァン・ビューレン警部補など、メインキャラクターに焦点をあてたエピが多く、エモーショナルな感想を持ったのが要因。

メインキャラクターが殺されレギュラーを降板するのも久々。次シーズンからはキャストの更なる若返りが図られる。

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