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Law & Order シーズン19 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第19シーズン。

あらすじ

f:id:debabocho:20131106172957j:plainNY地方検事局、27分署とも、人員の転換もなく始まる。27分署では先シーズン後半のグリーン刑事引退を受け上級刑事となったルーポが、バーナード刑事と組んでヴァン・ビューレン警部補の指揮下で殺人捜査を行う。

NY地方検事局では、州知事との対立が明確化したマッコイ検事のもと、カッター主席検事補とルビローサ検事補が、法廷で彼らの正義を追求していく。

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全話レビュー

19-1『報復の乱闘』

ファイトクラブ殺人。警察と検察の凡ミスが犯人を逃し、復讐の大乱闘・多重殺人を引き起こす。砂のように指を流れ落ちる正義の無力感、そして悪の跳梁を許さぬマッコイ検事の取る、恐るべき「対テロ法」という手段。エスカレートする戦いに戦慄する。★★★★★

19-2『障害』

ストレートなタイトルだが、知的障碍者の問題を扱ったエピ。40年前の障碍を持つ子に対する“処置"が、亡霊のように家族を苦しめる。しかし難しいのは、知的障碍者を何人も出すとどうしても演技のリアリティに問題が……。 ★★★★

19-3『迷子の若者たち』

カルト宗教エピ。ビルの一角で集団生活する奇妙な少年たちが救いたかったひとりの少女。カルトものも多すぎて新鮮味がないが、彼女が運命を受け入れるシーンは美しい逆光で悲劇性が際立つ。コルム・ミーニーの、顔からにじみ出る悪辣さも見もの。★★★

19-4『幸せのかたち』

冒頭の、カーテン越しに窓の外を崩れるクレーンの特撮がアイディアもの。その事故の陰に、殺人と異常な医療問題が浮かび上がる。名作16-6話でのマッコイ検事の断罪が、カッター検事補の強引な正義を呼ぶ。二層の葛藤、思い空気が沁みる。★★★★★

19-5『消えた事件』

小さな村でおきたレイプの復讐殺人と思しき事件の裏に巨大な陰謀が。閉ざされた村、巨大な政治の世界、未知の領域で苦闘する警察・検察、そしてマッコイ検事の姿は見応えあり。前半強烈な個性を放ったケイティー・サッコフが後半消えるのが惜しい。★★★★

19-6『時代の寵児

児童買春を自著で告発したゲイ売春婦。彼を殺したのはもう一人の彼? ゴシップ系のネタだが容疑者が次々と変わり、最後まで巧い推理ドラマになってる。児童買春問題を誰が本当に告発したかったのかが、力強く伝わるラストが印象的。★★★★

19-7『エコと老兵』

都会の真ん中で自然派生活を貫く女の嘘と死。堅い容疑が、老いた判事とその書記の手で歪んでいく。まさかこういう形で老いの悲哀が描かれようとは。痴呆の恐怖も書記の必死さも良い演技で胸に落ちる。犯罪自体も面白いが法廷の物語に霞むのが惜しい。★★★★

19-8『悲しき子供たち』

ハイチ災害後の人身売買問題を描く。NYの家庭に引き取られた子らを待っていたのは、まさに奴隷労働。逮捕され署内にあふれる親たちの数、犯罪に巻き込まれ鎖を付けられるハイチ人の子の姿、現代に甦った奴隷制の寒々とした光景が目に焼き付く。★★★★★

19-9『偽証による殺人』

航空機事故の集団訴訟を支えるやり手弁護士が勝つために起こした殺人。弁護士も判事も個性豊か。法を学ぶルーポ刑事の設定を活かして、追いつ追われつ法曹界のシステムの泥沼の底へと潜っていく見事な脚本。感情がぶつかり合う演技もよし。★★★★★

19-10『学生社交クラブ』

子を殺された美人学者につきまとうなんとも怪しい自称記者。彼が求めていたものは何か。容姿や家柄という自分ではどうしようもない問題が生む巨大な屈辱感が、心をえぐり正視が辛いエピ。ひとつ幸いなのは強く育った容疑者の子供の描写だ。★★★★

19-11『詐欺と偽善』

まさにタイトル通りのエピ。代用ガソリンをめぐる環境詐欺から、年端もいかぬ息子と娘の相続金詐欺が浮かぶ。しかしやはり演技力に不足があった。締めはマッコイ検事のいぬまに詐欺的証拠を繰り勝訴したカッター検事補の狼狽した顔。★★★

19-12『ケネディの髪の毛』

ナイジェリア人メール詐欺を枕に始まる、大統領グッズ蒐集家たちが絡む奇妙な連続殺人。まさかケネディ家の都市伝説までL&Oネタになろうとは……。突飛な展開も味わいだとお楽しめたが……しかしこの終わり方はあんまりだ! ★★★

19-13『クライム・バスターズ』

爆破テロの巻き添えになった赤ん坊殺し。身勝手で感情的な自警団の先行捜査が、容疑者を逆に不透明にする。"市民の怒り"の問題点が良く見える。後半戦はマッコイの検事選も絡んで更に混迷。結局政治より正義を選ぶマッコイにニンマリ。★★★★

19-14『主の再臨』

黙示録の携挙という救いを求めるキリスト教信者。彼が巻き込まれた殺人をめぐり、イランは出るわウズベキスタンわでるわの大騒ぎ。さすがにやりすぎで笑ってしまう。終盤の信者の心をつく描写もカッコつけすぎだが、その表情には染み入るものがある。★★★★

19-15『見果てぬ夢』

庶民から託された投資を銀行破たんで消し飛ばした傲慢な投資家と、恵まれない少年たちに施設を約束しながら資金難で実現できなくなった真面目な篤志家。感情的な善悪判断が、法の正義を曇らせる。社会と法、偽善について示唆に富んだエピ。★★★★

19-16『スパイ事件の真実』

中国とのスパイ合戦が生み出した家族の悲劇。一見派手な国際スパイというテーマを、地味な捜査と弁論で描き、信じるが故の罪というテーマに落とし込むのはさすが。とは言え今回は刑事も容疑者をあっさり銃殺したりして、やっぱり軽い感じも。★★★

19-17『ニュースリポーターの悲劇』

殺人の動機はテレビ業界の出世争いかと思いきや、メインは巨大投資詐欺のマドフ事件をモデルがメイン。老投資家の問題がテレビ業界ともうまく絡みあい、全編通した真犯人探しは派手だし飽きない。最後に見える歪んだ愛もよし。★★★★

19-18『越境者たち』

不況下で過激化する中南米移民差別。子供たちがゲームのように楽しむ移民いじめを通して問題を俯瞰する。正規移民による同族嫌悪のような反応や右派番組による扇動など、見どころは多い。逆に散漫とも思えるが、情緒的な音楽がそれをフォローしてる。★★★★

19-19『英雄たちの闇』

ある消防士が見つけた大金を巡って起きる連続殺人。なぜ殺され、カネはどこへ行ったのか。わりと純粋なミステリーだが、似たような消防士キャラ揃いで少々一本調子、退屈な面も。マッコイの選挙戦との結び付けも飽きがきた。★★★

19-20『敵討ち』

どこかで観たような精神病患者による犯罪、そこにとってつけたような真相、それも状況として突飛なうえに、検察側の推論ベースで語られるだけで腹落ち感がない。うーんどうしよう、物語に入り込むひっかかりが無い辛いエピだった。★★

19-21『スパイを殺せ』

シリーズ終盤の派手なエピの一例。何が派手ってサイケなファッションで走り回る精神疾患スケートローラー相手に大捕り物やるんだから(これでも他の番組よりは地味だけど)。模倣犯の謎も突拍子もない展開で、面白いけどさすがにやりすぎ感が。★★★

19-22『溺れる者と生き残る者』

地方検事選に絡むシャルボイ州知事との対決、完結編。事件は権力の座をめぐる裏取引だが、これで殺人が起こるにはスケールが小さいような。清廉なマッコイ検事の魅力全開なエピだけど、最後に見せるカッター検事補のダークな手業にニヤリ。★★★★

まとめ 

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総ポイント数

84 / 110

平均

3.82

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