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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

Law & Order シーズン20 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第20シーズン。

あらすじ

f:id:debabocho:20131210114135j:plainついに最終シーズンとなるシーズン20。NY地方検事局、27分署とも、前シーズンからレギュラーの変更はない。しかし27分署では、ヴァン・ビューレン警部補の癌が発覚、ルーポ刑事、バーナード刑事を指揮しつつも、1年にわたる辛い闘病生活を続けることとなる。

地方検事選で劣勢を強いられていたマッコイ検事は、対立していたシャルボイNY州知事を辞任し追い込んだことで形勢を逆転、勝利を手にすることができた。彼の変わらぬ庇護のもと、カッター検事補とルビローサ検事補は、ますますセンセーショナルになる様々な犯罪に挑んでいく。

レビューリンク

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全話レビュー

20-1『人の闇を映す文書』

殺されたイラク帰還兵の訴えていた、拷問をする側のトラウマ。その責任を問い、マッコイ州検事が久々の超絶裁判に挑む。起訴するのは拷問を制度化した連邦政府の高官たち。自国の闇を糺す彼が“敵”と呼ばれた時の緊張感が忘れられない。★★★★★

20-2『甘い誘惑』

ファム・ファタールもの。今回は露骨に下世話な"アジア人の魔性の女”。トラブルメーカー・ルーポ刑事があっさり罠に落ちてしまう。ニヤニヤエピとして楽しいんだけど、オチの矮小さもピカイチでさすがにげんなり。しかしカーティス刑事は偉かったなあ。★★

20-3『愛する国に忠誠を』

ド直球のテロ犯罪もの。L&Oには珍しい特撮で爆弾が派手に爆発するシーンは、ちょっとしたユーモアも感じられ印象的。警察編で活躍した内通者が、裁判編では正義を試されるおちゃらけた彼からにじみ出る本当のアメリカへの愛情が良く伝わる。★★★★

20-4『リアリティ番組の裏側』

知的障がい者絡みかと思えばまたもリアリティ番組がやり玉に。物語としてはすっきりしないが、成り行きで番組に出演するルビローサ検事補が最大の笑いどころ。思わぬところでブランチ前検事の名が出てポカーンとするマッコイ検事の顔も爆笑。★★★

20-5『命を問う法廷』

中絶問題エピの総決算。後期中絶が米国で大問題となる、その本質がよく見える。それは自由と信仰という単純な対立ではない。犯されざる命の権利とは何かという根源的な問いだ。汝殺すなかれ。その道徳律が刑事・検事を揺さぶり、共感を呼ぶ。傑作。★★★★★

20-6『人肉検索』

ネットでの炎上が殺人までも引き起こす。叩かれる理由は運転中の携帯使用。米国も日本も抱える問題はまったく変わらないな。 ネットに個人の過去を暴かれる辛さが、バーナード刑事を通してして描かれる。精神鑑定担当のオリベット博士は今回が見納め。★★★

20-7『殺しのバラード』

マフィアに狙われる女性検事、怯える少年の証拠にかかる裁判、どちらも記憶にあるプロットだし、それぞれの元エピを超えているとも思えず残念。ラティーノの歌文化を使ったトリックは興味深かったけど。★★★

20-8『仕組まれた処方箋』

7人が犠牲となった交通事故。その衝撃を描く序盤はこたえる。事故の真の原因が善意とささやかな欲であったというのもまた悲劇。製薬不正という意外なネタを描きつつも、あくまで交通事故問題として遺族の声を聞かせた結末には納得感がある。★★★★

20-9『消える証人』

身内の問題・ヤメ検編。これまたスキャンダラスな内容。ルビローサ検事補の過去の恋人が、見事な悪役演技で登場、カッター検事補は微妙な恋心が見え隠れ。ふたりの表情が巧くて楽しいんだが、逆に周辺のキャラや状況の作り物っぽさも気になってしまう。★★★★

20-10『英雄』

強盗を撃ち小さな店を守った老人。街の英雄になった彼からにじむ僅かな欲、わずかな偏見が、正義と悪の境目を濁していく。その過程を落ち着いた展開でじっくり見せるが、名優エリオット・グールドの演技が感じられるシーンがなかったのは残念。★★★★

20-11『それぞれの思惑』

社会活動家の殺人。当代のギスギスした政治事情を映し、マッコイ検事は左右両派から板挟み。物語の芯はガン治療中のヴァン・ビューレン警部補で、旧友カーティス刑事の妻の死を目前とした彼女の不安が、執念の捜査に昇華する。キャラものとして→★★★★★

20-12『恐喝』

殺されたゴシップ記者と、ゴシップで脅されたセレブ。真の恐喝犯は誰だ? ワイドショー司会者がターゲットでマッコイ検事も意外なところで登場。ノリは楽しいが、展開は緩急乏しく、音楽に乗ってずるずると小難しい事件の構図が語られるのはいまひとつ。★★★

20-13『冷血の殺人』

ゴス狂いの少年少女が犯した猟奇的な多重殺人。異常性を煽る音楽と撮影、謎の記憶喪失に9.11の記憶と、話がどう転がるかと思えば、ルーポ刑事がトラウマを乗り越えるエモーショナルな話に。小ネタがちりばめられたぶん、話の踏み込みが浅い。★★★★

20-14『不可解なアリバイ』

底辺の公立校を舞台にした犯人捜し。単なる貧困層の社会問題かと思いきや、終盤、それが学校を守ろうと苦悩する女性校長にうまく仮託され、重苦しい終局が響く。捜査編はシーンごとにふたりの刑事の所作にユーモアが見え楽しい。★★★★

 20-15『一途な女』

性風俗で働く女性をいたぶり、女性の人格を支配するサイコパスをどう追い詰めるか。支配された側の女の異常性も激しく、音楽も大仰な感じ。ドラマチックにしたいんだろうけど、逆に他の番組との差別性がなくなっているような気がする。★★★

20-16『証拠なき犯罪』

犯人逮捕から始まる変則エピ。カッター検事補の恩師が敵弁護士になり、師弟の報復合戦が彼の過去の問題に終着する。酒に酔い、また激高して犯人を問い詰める彼の表情が見もの。一方ルビローサ検事補はいつにもましてポカンとした表情。 ★★★★

20-17『夢と野心と』

シーズン毎度の警官殺し。今回は同じ署内の巡査が4人も殺されマンハントにも緊迫感がある。冷静なヴァン・ビューレン警部補のカッコよさが際立つ回。テーマは警官、犯罪者、それぞれの向上心=野心に収束するが、ガツンと来るものがなかった。★★★★

20-18『ただ1つの願い』

殺人に至る親権争い。高位裁判所での裁判が家庭裁判所に阻まれる展開で、見慣れない家裁の描写は興味深い。離婚があらゆる人間を不幸にするという展開は、ありきたりといえばありきたり。冒頭の地球温暖化国際会議はぜんぜん物語に絡まなかった。★★★

20-19『僕の優しい人』

シーズン好例変態性欲エピ。今回は年齢を超えた愛をグロテスクに描く。推理を重ねた結果異形の愛が現れるんだけど 、それを見世物にするのみで、ストーリーもいろいろ粗が目についてしまう。このテのエピはどうしても評価下がりがち。★★

20-20『税金のカラクリ』

相続減税のため殺される末期がん患者たちを、同性婚の相続を絡め描く。かつては大ネタだった同性婚問題も、今や単なるトリック扱いで隔世の感がある。最後はカッター検事補の大岡裁きならぬソロモン王裁きだけど、ちょっとえげつないなあ。★★★

 20-21『虐げられた細胞』

前世紀半ば黒人女性から採取され培養され続ける"HeLa細胞"を題材としたエピ。女性の一族の置かれた貧困状況から、巨大な搾取と無数の倫理問題を浮かび上がらせるダイナミックな展開。ヴァン・ビューレン警部補の絡め方も巧い ★★★★

20-22『ソウルメイト』

これまたエンタメ系の派手なエピ。デスパレートな夫たちが、妻たちから資産を守るために組んだ同盟。犯人を探るミステリはなかなか楽しませるが、第一容疑者の無茶苦茶な設定は、当時の時事ネタを知ってればもっと楽しめたんだろうか。★★★★

20-23『報復へのカウントダウン』

ブログで学校爆破を予告した容疑者を、全編通し追い詰める。サイバー捜査と現場捜査のミックスから、浮かび上がる教員制度の悲惨な現状が、クライマックスのアクションに重みを与える。ヴァン・ビューレンの現状との対比も響く。★★★★★

まとめ

総ポイント数

85 / 115

平均

3.70

感想

最終シーズンである。20年の米国犯罪史が、ここに締めくくられる……んだけど、まあ正直のところ、パワーダウンは否めないシーズンであった。

レギュラーキャラの演技はもはや円熟の域といった言葉を超えたところにあるし、ゲスト俳優もかなりのレベルを維持してる。シナリオもトリッキーなものが多い。でも、なんというか、全体的にガツンと来るものが少ないのだ。やはり、見慣れすぎてしまった、ということなのかもしれない。このシーズンから観始めた人は、そんなことは感じないだろう。

前述の通り、新奇さを維持するためにトリッキーなシナリオが目についたのも本シーズンの特徴。ルビローサ検事補を弁護士役にしてカッター検事補と戦わせたり、過去の人気キャラ、カーティス刑事をゲスト出演させたりだ。楽しいのだが、リアルでハードボイルドな物語は減ってしまったように思える。

なかでもシーズンを通して、ヴァン・ビューレン警部補の癌治療を描いたのは、1話完結を貫いてきた本作の20年目の大胆な挑戦だった。これも視聴者離れを回避するための施策なんだろうが、毎回1シーンぐらいこの抗がん治療描写に割かれるだけでは、ぶっちゃけほとんどの場合1話完結物語の夾雑物にしかならない。彼女の心情が、本筋に絡む料シナリオもあるのだが……。

ともあれ、完結は完結。★5をつけたエピは過去のシーズンに劣るということは全くない素晴らしいものだったし、最終話も、緊迫感があった。シリーズは今後、SVU(性犯罪特捜班)やクリミナル・インテント、各海外版などのスピンオフに引き継がれていく。シリーズは終わっても、Law&Orderワールドは終わらないのだ。

 

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