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Law & Order シーズン5 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使ったロー&オーダー おおよそ140文字全話エピソードガイド&感想、第5シーズン。

あらすじ

f:id:debabocho:20131002225113j:plain退職したストーン検事補に代わり、いよいよ番組の顔となるジャック・マッコイ(サム・ウォーターストン)が主席検事補として登場する。ストーンと違い声が大きく熱血漢の彼は、キンケイド検事補からさっそく過去の検察内の女性関係を指摘されるなど、個人的にもより自由でリベラルな一面を覗かせる。

そんな彼らが扱う事件には、人工授精、代理ミュンヒハウゼン症候群解離性同一性障害といった疾病・医療ぶ絡むものが増えてくる。また黒人の地位向上が進んだ結果、いままでと違う陰湿な人種差別も浮き彫りになってくる。

一方27分署の面々は、しばしば個人的な問題に直面する。ヴァン・ビューレン警部補は、自身が犯罪者を射殺したことから逆にキャリアの危機に陥り、またローガン刑事は幼少期の問題と向き合うことになる。ブリスコー刑事の落ち着いた捜査とは対照的に、ローガン刑事の正義感からくる怒りは回を追うごとに増し、終局、彼は一線を越えてしまう……。

レビューリンク

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エピソードレビュー

5-1『セカンドオピニオン

科学的根拠のない乳がん治療が患者を殺す。ジャック・マッコイ検事補初登場で、挑むは乳がんに怯える女性の心。女性医師、女性弁護士、そしてキンケイド検事補に囲まれた彼が、男性にしか判らない視点で意外な証言を得る。この転換が見事。★★★★

5-2『妻の深き眠り』

車中で撃たれ昏睡に陥った女性。疑われるのは離婚協議中の暴力夫。確実な物証は被害者の脳の中の銃弾。マッコイ検事補の執念が裏目に出て事件の傷口を広げ、救いようのない負け展開に。ラリー・ミラーの傲慢な夫の演技が際立つ。 ★★★★

5-3『女性の敵』

来日した白人クラブ歌手に売春を強要していた男への復讐殺人。このテの問題は現実にあるわけで、バブル期前後の日本が海外からどう見られていらのかがよく判る。一方犯罪を人種問題から切り離し正義を見極めようとする法廷のメッセージもまたよく響く。★★★★

5-4『虚構の家族』

痴情のもつれエピ。ただ普通とちょっぴり違うのは、痴情の相手がお父さん! 裁判で決着するような展開ではなく、最後に真相が暴かれたときの犯人の小物感もあって、なんだか安っぽいメロドラマのような印象。このテのネタは評価厳しいなあ。★★

5-5『英雄たちの軌跡』

ベトナム反戦運動のさなかの殺人が今暴かれる。当時大学生だった女性たちの表情は、時に過去を恥じ、時に過去を慈しむように見える。直接語られないがマッコイ自身も、彼の60年代と対峙していることがよく判る。良いシナリオ、良い演技。★★★★★

5-6『愛の力』

ヴァン・ビューレン警部補が射殺したATM強盗は知的障碍者の少年だった。人種問題も絡み、圧倒的に不利な状況からの共犯者と凶器探しが燃える。最後、警部補が鍵となる証拠を取りに殺した少年の部屋に入り、残された彼の息遣いを見る構成は見事! ★★★★★

5-7『私を愛して』

乳児誘拐は母親の子殺しをかばう為の狂言。ではなぜ母親は子を手にかけたのか? 代理ミュンヒハウゼン症候群による児童虐待の問題を世に知らしめるためにつくられたようなエピソード。不妊の強制といった議論も聞きどころもあるが、うーん。★★

5-8『選択の余地』

キャリアを守るため自分の体を上司に差し出すことはレイプにあたるのか? その最大の罪は女性に自らを咎める心を植え付けたことだ。恐喝窃盗罪の適用という技あり裁判に、最低の男を弁護する女性弁護士とマッコイ検事補の小粋な会話も聞きどころ。★★★

5-9『幻の隠し財産』

庶民から集めた資金による債券運用で失敗し、詐欺罪で収監された男。彼が持つという隠し財産を巡り、更に二重三重の詐欺が生まれる。誰が嘘つきで誰が誠実だったのか、見極めが難しくストーリーは飽きない。マッコイ検事補の元妻弁護士さっそく登場。★★★★

5-10『顧問弁護士』

マフィアもの。捜査編では悪行とは無縁の被害者を、僅かな気づきからマフィアに結びつける正統派の推理。法廷編ではジャックの旧友がマフィア弁護士として登場。法廷での正義を追求するが為に放たれる「正義は勝利の副産物だ!」というセリフが強烈。 ★★★

5-11『もう1人の父親』

金持ち一家の秘密シリーズ。麻薬中毒で命を落とした少女を路上に棄てたのは誰か。見えてくるのは少女を保護し一家を支えていた男の独善と傲慢。途中見える麻薬更生施設の詐欺体質も物語に繋がらず、あまり盛り上がらない。後半はすこし眠くなった。★★

5-12『ある女医の戦い』

度々取り上げられる中絶問題の事件。医師殺害をけしかけた中絶反対派のリーダーに罪を問えるかが焦点。聖書を盾に殺害を正当化する彼に、マッコイ検事補は次々と矛盾をつき、最後には彼に隠された罪の意識を明らかにする。この熱い展開に聞き入る。★★★★★

5‐13『ブラック・レイジ』

優秀な黒人が、敢えて白人社会に適応し企業のトップを目指す。その彼に向けられた同僚の醜い差別発言。それは彼の殺人を正当化するのか? マッコイが差別と犯罪を峻別し勝利を得た直後、目の前で街に溢れる黒人差別を見せつけるラストが秀逸。★★★★

5-14『レイプ殺人ビデオの真実』

アダルトビデオで出回る偽スナッフテープ(実際の殺人を撮るもの)から、高校生の性犯罪が暴かれる。性犯罪ものでは恐らく最もインパクトのある内容ではないか。暗い法廷に実際のレイプの映像、女性の切り裂くような悲鳴が流れ続ける。★★★★★

5-15『命の種』

人工授精のルールを破り自分の精子を使った医師が、膨大な不幸の種を蒔く。しかしそれを直接裁く法はない。犯罪を立証できない警察と検察の苦闘のなかで、子を望む親たちの葛藤が浮き彫りになる。家裁で珍しく証人席に座るマッコイ検事補が妙にユーモラス。★★★★

5-16『憧れ』

少年犯罪と社会格差がテーマ。子を進学校に送った貧しい父親、進学校に似合わぬ不良少年となった子、そんな彼とつるんでワルぶる金持ちの子。殺人を犯したのはだれか。最後、不良少年は罪と罰を自覚し、本当の大人へと成長する。そんな彼の姿が美しくもある。★★★★

5-17『ダイナマイトの夜』

老朽ビルの爆破事件、容疑者はふたり。決定的な証拠のないまま一人に絞って起訴・有罪としてしまえば、のちに誤審だと分かっても正すことは極端に困難だ。この現状を物語にした理由が最後に明らかになる。ニューヨークでは死刑が復活するのだ。★★★★

5-18『悪夢と現実』

弁護の常套手段といえば精神障害と心身喪失。今回の弁護士もアルコールによる泥酔時に起こった殺人を、両方の手段で弁護しようとする。鍵は催眠による心神喪失時の潜在意識の呼び起こしだけど、現実問題どうなんだとうねこの手法の信ぴょう性は。★★★

5-19『殺人ヘルメット』

全編自閉症の問題を扱うエピ。高い効果を謳う電気刺激療法は拷問か。そして介護者が患者の手を持ちタイピングを促す介助意思疎通はの手法はニセ科学なのか? 裁判に勝ち医院を閉鎖させた検察に、患者の家族のの絶望がのしかかる重苦しいエピ。 ★★★★

5-20『聖者の裏切り』

欧米では聖職者による少年への性行為強要は長年の問題。ローガン刑事の少年時代の教区の神父が、彼らに残した深い傷跡を描く。クレイゲン警部が内調のボスになって再登場。ラスト、格子窓の中に見えるローガン刑事の視線が問題の深刻さを物語る。★★★★

5-21『英雄の素顔』

殺された湾岸戦争帰りの夫は果たして善人だったのか? 『プラクティス』に出演するリサ・ゲイ・ハミルトンは見事な配役。不幸な境遇から這い上がった芯の強い女性の演技がぴったり。シフ検事に怒られスネた顔になるマッコイ検事補も見もの。★★★★

5-22『私の中の3人』

解離性同一性障害つまり多重人格の患者を主役にしたミステリー。エンタメ系のネタだが、きちんと医学的見地からその病状と、医師が逆に問題を大きくする可能性に触れているのはさすが。でも3人格いて2人が否定してりゃ、さすがに犯人は判るだろう。★★★

 5-23『怒りの拳』

男性層性愛者の市議会議員が殺され、容疑者となった保守派の議員と彼の弁護士は弁護の為に過激なゲイ活動家や違法売春、自由恋愛など、ゲイの類型を陳列しゲイ全体への不審を煽っていく。その絶望的な醜さが胸にしこりとなって残る重い作品。★★★★

シーズン5 まとめ

総ポイント数

86/115

平均

3.74

感想

遂に伝説のジャック・マッコイ検事補が登場。ストーン検事補のまさに石のように落ち着いたスタイルから一転、よりスピード感のある裁判が描かれるようになる。ただ、その戦術や思想は本質的には変わらないので、物語の展開そのものが大きく変わったとは感じない。

登場直後のシーズン序盤はなぜか負け試合になる展開が多いように感じられるが、中盤以降はやくも今後13年続く弁論と会話の掛け合いのスタイルが確立している。今シーズンは心に響く大弁論といったものはあまりなかったが、インパクトで言えば14話のレイプ裁判が凄かった。

ちょっとしたトリビア

5話で元反戦活動家を弁護するウィリアム・クンスラー弁護士は、役者でなく本人。劇中語られる通りシカゴ民主党大会で暴動を企てた『シカゴ・セブン』を弁護するなど、反戦人権派のヒーロー弁護士だったひと。本作出演の翌年、亡くなっている。

6話でヴァン・ビューレン警部補が非番時に銃を使うが、実はこのシリーズで刑事が発砲し相手を殺すのはこれが初めて。

14話で、高校生のイケメン軍団は女性とセックスするごとに1人1点の「スコア」をつけて点取り争いをしてたけど(その競争ゆえレイプまで発生する)、懐かしのアニメ『ビーバス&バットヘッド』でも同じ表現をしていたのを思い出した。当時の流行のスラングだったのかな。

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