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Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

Law&Order シーズン8 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第8シーズン。

あらすじ

f:id:debabocho:20131212172123j:plainNY地方検事局、27分署とも、人員の転換もなく始まるが、検事たち、刑事たちは、それぞれが抱える個人的な問題に直面することとなる。

27分署で見事な手腕をふるってきたヴァン・ビューレン警部補は、警部への昇進人事から外されたことに人種差別を感じ、NY市警を訴える。これに対する本部からの圧力が刑事分隊の捜査にも影響する。

かつてアルコール依存症を患ったことが、たびたび事件にも影響してきたブリスコー刑事。ドラッグに手を出した娘を助けることで、破壊された家族の絆を取り戻そうとする彼を、悲劇が襲う。またカーティス刑事は、妻が多発性硬化症を発病。家族のための辞職を考え始める。

検事選に臨むシフ検事のもと、アグレッシブな法廷戦術で幾度となく正義を勝ち取ってきたマッコイ検事補。かつてカーマイケル検事補を飲酒運転事故で喪ったマッコイの怒りは、同様の犯罪を前にいよいよ暴走寸前となり、彼は、ついに査問会議にかけられることとなる。そんなマッコイを冷静に支えつつも奮闘してきたロス検事補にも、愛娘との関係を考えなおす時が来る……。

レビューリンク

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全話レビュー

8-1『スリルを求めて』

2人の若者が起こした殺人の動機は「殺してみたかったから」。モラルなき世の犯罪が、逆に教会の手で護られる。検察側の量子論の観測者問題みたいな法廷戦術が楽しい。珍しく最後に量刑審理を映し、そこで再び神と許しを語って終わる構成も巧み。★★★★

8-2『否認』

ホテルの一室で見つかった出産の跡。流産だったのか、それとも出産後の殺人だったのか。子殺しを自覚しない無責任な若い親の為に繰り広げられる司法戦術が見もの。まっすぐでテンポ良いプロットで見応えあるんだけど、反面特筆すべきところも少ないな……。 ★★★★

8-3『軍服のクールビューティー』

長い邦題だ。海軍女性士官が殺人容疑者、それも軍内不倫というテーマ。当然JAGも出てきて、白い軍服相手の所轄の引っ張り合いも燃える。しかし最後の証拠で、流れが女性に軍務は務まるのかという性別問題になってしまい、観るのが辛い。★★★★

8-4『生死を操る男』

男のささやかな欲が生んだ妻への銃撃。彼女は病院で更に医師の欲の犠牲となり殺されたのか。臓器移植が医師の評価に繋がるおぞましい実態。20世紀中葉のSFが実際になった世界だ。医師と検事の類似性を指摘した終わりにもニヤリとする。★★★★

8-5『法と自由と正義』

突然の銃乱射から始まる国の根幹に関わる大事件。自由の国アメリカの内部で、自由の為政府と戦う自称軍隊が裁かれる。陰影の深い撮影、自らの過去とも対峙するマッコイ検事補と彼を見つめるシフ検事。自由と法と正義を語る究極の最終弁論に打たれる。★★★★★

8-6『孤独な天使』

不可解な死を遂げた少女モデルから出たレイプ痕。弁護士に作られたメディアスクラムに対抗する刑事・検事の面々が熱い。そしてボルチモアからマンチ刑事(+他1名)登場!少女を取り巻く闇とは何なのか、知りたいが完結編はホミサイドでしか見られない。★★★★

8-7『悲しい素性』

上階から突き落とされた会社役員の若い妻。その原因は養子に出された子の素性にあった。思わぬ形で明らかになる人種問題も、その後の真犯人探しも驚きがある。もう少し見応えのある演技があれば、黒人差別の議論ももりあがるのに。★★★★

8-8『法廷に罠あり』

身内の問題、検察編。保釈金ローン会社という訴訟社会に特有のビジネスに関わる殺人から、芋づる式に法曹関係者の不正が明らかに。ロス検事補の個人的な想いも入った厳しい調査、尋問時に高角でぬっと容疑者に迫る彼女の顔、瞬きのない瞳、迫力がある。★★★★

8-9『殺しの告白』

精神疾患の中でも双極性障害は、男性に遺伝性があると考えられている。双極性障害の激昂で殺人を犯した少年が裁判に正面から挑む理由は、名士である祖父のため。ロバート・ヴォーン演じる名士の性格付けに納得感があり、抑えられない怒りの演技が光る。★★★★

 8-10『儀式』

アフリカに残る女性割礼の習慣。エジプト系移民の少女の陰核の除去は、犯罪か、性の氾濫からの保護か。文化描写の正確性は措くとして、対立する父母の価値観をめぐる検察の苦悩が伝わり、家裁での論争に胸が詰まる。これほどまでに哀しい親権争いがあろうか。★★★★★

8-11『飲酒運転の波紋』

ブレーキ痕もなく轢き殺された3人の遺体。飲酒運転常習の男が受けるべきは、極刑適用の連続殺人罪か、酩酊による心神喪失での故殺罪か。許しを請う犯人の醜さ、過去に同僚を交通事故で失ったマッコイ検事補の抑えられない怒りが胸を締め付ける。★★★★★

8-12『専門家証人』

被告人の心理状態を見極めるため証言台に立つ精神科医。彼らの怠慢や知識不足、そして彼らへの過度の要求が、裁判の行方を歪める。悲劇に見えてその実ひどい話だった。どうでもいいが容疑者役ヴェラ・ファーミガの金髪おかっぱヘアーが印象的。★★★

8-13『もてあそばされた殺人者』

SMクラブの殺人を弁護するのは、テレビの暴力描写の影響を主張する学者弁護士。テレビ番組が自身の暴力性を問うメタな議論は興味深く、影響に反論するマッコイ検事補の「人間には自由意志があり道徳的選択ができる」との言葉が胸に落ちる。★★★★

8-14『昏睡患者の妊娠』

同意のないセックスは、すべて強姦罪にあたるのか? 昏睡に陥った娘の母親の悲しみと孫を得たいとの欲求が、奇妙な事態を引き起こす。抜け出せない倫理の泥沼という言葉がすべてを表す、哀しいが不気味な物語。解離性障害の女性の演技も目を引く。★★★★

8-15『対峙の時』

マフィアの暴露本出を出版しようとしていた男は、誰に殺されたのか。騙し騙され交渉合戦の楽しい展開。その奥にあるマフィアのヒーロー化への警鐘も響く。痴呆を装う大物マフィアの存在感が面白いが、このパターンほかにもあったな。★★★★

8-16『離婚裁判』

殺人事件の裁判に刑事弁護士だけでなく離婚弁護士が参加、検察をひっかきまわす。ブリスコー刑事も検事2人も離婚してる設定なので、妙にニヤニヤせきるシーンが多い。終盤の意外な真実は、まあなんとなく予想がついた。★★★

8-17『身勝手な男』

自分のHIVを故意に広める身勝手な男。彼を殺人罪で公に訴追すれば、エイズはゲイの病気という偏見に晒されている無関係の同性愛者を更に苦しめる。正義をなす為の葛藤が響く。上訴審の判決文も非常にセンシティブで字幕翻訳も大変だったと思う。★★★★

8-18『幻のストーカー』

陰謀めいた手段を繰り出すストーカーは女性の妄想だったのか? 事件を甘く見たブリスコー刑事の後悔、カーティス刑事の苦悩が、法廷に映る彼らの瞳にあふれ心を打つ。一見軽微に見えて実は深刻なストーカーの恐怖、民間刑務所の問題も良く伝わる。★★★★★

8-19『死刑への道』

精神疾患の妄想で殺人を犯したものの、プライドがゆえに法廷で疾患を認めない男。彼を極刑から守りたい兄の苦しみがじっくり描かれ、その最後の手段が激情を生む。マイケル・メデイロスの憤怒と絶望の演技に圧倒される、精神疾患ものでは屈指のエピ。★★★★★

8-20『命の値段』

全身まひの障害児を抱える家族。彼らの永続する悲しみからの解放を願い続ける限り、白衣を着たサイコキラーはその存在を許容される。医療保障の削減とも絡んだ悲しい社会の現状。ただ殺人ほう助を装った快楽殺人犯の不気味さが、いまいち出ていない。★★★

8-21『悪女』

ヴァン・ビューレン警部補の訴訟、ブリスコー刑事の娘の犯罪、そしてシフ検事の選挙、各キャラの問題が少しずつ絡む。そんな中起きた警官殺しの死刑囚は、物語を通じて、人の外見や信仰が良ければ法を超えて罪を許してしまいがちな我々視聴者の心理を試す。★★★★

8-22『傷ついた天使』

マンモス校で広がる安易なセックス。特殊学級の精神遅滞の少女が3人の男子生徒と乱交に及んだそれは、レイプなのか? 被害者側の自由意志という問題が、これ以上なく鋭敏に描かれ涙を誘う。親の娘を思う姿は、ブリスコー刑事の喪失にも繋がる。★★★★★

8-23『悩ましきタブロイド

セレブを殺したパパラッチを殺したセレブの守ろうとした家族の醜聞。なんだか筋の追いづらい展開で辟易したが、マッコイの尋問で思いがけず表現の自由という問題の本質が現出し、ハッとさせられた。続く最終弁論は雄大で聞き応えあり。★★★

8-24『窮地』

黒人少女の暴行事件。ヴァン・ビューレン警部補、ブリスコー刑事、マッコイ検事補それぞれの個人的問題が重なり、容疑者自白のプロセスが少しずつ歪んでいく。加えて地方検事選も絡み、あまりにも多くの状況がクリフハンガーになって尻すぼみな印象。★★★

シーズン8 まとめ

総ポイント数

97 / 120

平均

 4.04

感想

感情を揺さぶられる良質のエピソードが多く、非常に出来の良いシーズン。19話、22話と、精神に問題を持つとみなされる人々の心情を表現したエピ2本が、特にインパクトがあった。

また、アフリカの文化を扱った10話は、シリーズを通して何本かある異国の文化を扱うエピのなかでも屈指のでき。なお、その表現の妥当性は、日本を描いたエピにどの程度違和感を感じたかで推し量れるだろう。

ジェイミー・ロス検事補演じるキャリー・ロウエルは、今シーズンで降板。若手美人キャラの多い女性検事補の中で、シングルマザーでショートカットの彼女は、独特の視点でシリーズの中期を盛り上げてくれた。個人的に最も思い入れのある女性検事キャラだったので残念。どうでもいいけど彼女、劇中「美人だ」と言われた回数はトップではないだろうか。

シーズンフィナーレでは、シフ検事の選挙結果、マッコイ検事補の査問結果、ヴァン・ビューレン警部補の訴訟結果、ブリスコー刑事の殺人依頼、それぞれがクリフハンガーのようになって終わるが、続く第10シーズンプレミアではその結果は一切語られない。いつも通りに物語が始まることで、その結果を推して知れということ。これもまた Law & Order らしい。

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