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Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

Law & Order シーズン9 - 海外ドラマ全話レビュー

ジャンル:警察 ジャンル:法廷 ジャンル:社会派 海外ドラマ

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第9シーズン。

あらすじ

f:id:debabocho:20131212172123j:plain娘との生活を優先させるために退職し、再び弁護士として活動をしていくこととなったロス検事補。彼女に代わり、麻薬犯罪専従で手柄をあげてシフ検事に買われたカーマイケル検事補が、マッコイ検事補のパートナーとして着任する。若さゆえの剛直さを持つ彼女は、極刑もありうる凶悪犯を裁く現場で、容疑者、弁護士との駆け引きに戸惑いつつも、その手法を次第に学んでいく。

27分署では市警本部の昇進差別で訴訟を起こし、敗訴したヴァン・ビューレン警部補への風当りが更に強くなっていた。ブリスコー刑事との関係もずいぶんと円滑になってきたカーティス刑事だが、彼の妻の多発性硬化症の病状は更に悪化。彼は辛い決断をすることになる。

レビューリンク

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全話レビュー

9-1『愛しい我が子』

新任検事補カーマイケル、幼児殺しをめぐる冒険。暴かれるのはまるで欠陥品を売りつけるような国際養子縁組の暗部。冒頭の虐待で精神異常をきたした子供が強烈だが、後半に繋がらないのは残念。若いカーマイケルはロス検事補に比べ更に強気な印象。★★★

9-2『職務質問の末路』

黒人の犯罪率に関する恣意的解釈が警察署にはびこり、無実の黒人へのリンチを引き起こす。裁判編では連邦検察を相手に正義を貫くマッコイ検事補の戦術にワクワク。極刑のかかる裁判、最後に新人カーマイケルの見た法と正義の秘密が、何とも……。★★★★

9-3『ゆがんだ信念』

身内の問題、麻薬捜査編。成果をはやる捜査官が未成年の内通者を持ったが故、惨劇を生む。告発されるのは未成年に対する責任だが、同じような題材のパターンで、なにか飛びぬけて面白いというところがない。マッコイとブリスコーには微妙な不協和音が。★★★

9-4『逃避者』

子供に細菌を注射した父親が陥る現実否定の心理状態。刑事編はバイオハザードという緊迫した展開が、痴情のもつれに終わるのはなんとも。法廷編では菌を保有する製薬会社と戦うアクロバティックな展開。消化不良で終わるが、傑作10-1話の原型ともいえる。★★★

 9-5『おさまらぬ怒り』

SMプレイの陰に潜む本物の異常殺人犯を追う。謎の凶器が後から効いて、裁判編を一層盛り上げる構成はL&Oらしい。その裁判編は女性への支配欲むき出しの連続犯をいかにやりこめるか、カーマイケル検事補の鋭い視線が印象的な熱血展開。 ★★★★

9-6『打算』

死んだ男性の体外受精精子は生命として残されるべきか、所有物として処理されるべきか。中絶問題と並ぶ新たな生命倫理問題。事件への取り組みを巡り刑事も検事もすぐさま口論になり、どこか滑稽ですらある。出口のない議論のオチは、一捻りある大岡裁き。★★★

9-7『敵意の根源』

まっとうだがこれといった見どころも感じられないミステリー。見えてくるのは近親相姦に支えられた母子の業と絆。描かれ方は非常にマイルドだが、カーマイケル検事補の「キモい(Yuck)」という発言がすべてを言い表してる。 ★★★

9-8『過ちが生んだ悲劇』

女性刑務所内で横行する男性看守による連続暴行に復讐した女性容疑者と、かつて彼女を刑務所に送ったカーマイケル検事補。それぞれ背負った傷が女の意地を生み、感情的な法廷が観られる。メルニック弁護士やマッコイ検事補は今回は傍観者。★★★★

9-9『カナダから来た小悪魔』

凄い邦題。その小悪魔が実はシリアルキラーだと判り、死刑に反対するカナダからの犯人引き渡しが問題となる。が、それほど揉め事にもならず、陪審の極刑判断の描写も迫真性に欠ける。 動機もありがちな社会格差問題で、どこか浮ついた物語。★★

9-10『言論の自由

少女を吊るし撲殺したネオナチ少年たち。彼らを洗脳し行動を起こさせた思想家に責任はないのか。様々なエピで取り上げられる差別発言と言論の自由の問題。言論とは何か、暴力とはなにかを、一歩々々定義していく。ただ今一歩インパクトが足りない。 ★★★★

9-11『消えた学生運動家』

川底から上がったワーゲンバスをめぐるミステリー。ベトナム反戦運動の時代を過ごしたリベラル学生、公安、兵士の親、立場の違いが生み出した悲しい誤解。マッコイの複雑な表情もよし。だがこの題材すら類似エピがあるというL&Oの物量……。 ★★★★

9-12『狩人たち』

保釈中に逃亡した容疑者の奪還を請け負う通称“賞金稼ぎ”たち。民間ゆえにあらゆる手法を許された彼らの活動の問題を告発する。本来護るべき相手を殺されたブリスコー&カーティス刑事の怒りが熱い! 負け勝負の裁判は、もうひとひねり欲しかった。 ★★★★

9-13『行き過ぎた親切』

黒人貧民街から出た初のアイビーリーグ大学生。彼の成功を願う人々は、彼に何を与えたのか? 逆差別だといわれる黒人優遇処置、その実情は簡単ではないと分かる。公教育では地図も読めない圧倒的な教育格差のまま、地域を背負う彼の焦燥は痛烈。★★★★

9-14『連鎖するスキャンダル』

『ホミサイド』とのクロスオーバー。ブリスコー&マンチのワシントン珍道中。渋いオヤジ二人がやりたい放題、楽しすぎる。検察官までオヤジオンリーで、4人が追うのがゲイ女性というのも面白い。悪役も悪役らしく、後編に続かないのが残念。★★★★

9-15『悪魔払い』

宗教もの。信仰による善意が殺人に至るとき、人は自らの責任を放棄し、行いを正当化する。繰り返された題材だが、神と人の行いの差を見極める最終弁論は見事なマッコイ節。困難な事件に彼は呟く。「咎めるべきは誰だ?」それは神だと言いたいのだろう。★★★★★

9-16『強欲のツケ』

離婚弁護士の殺人の裏に浮かびあがる産婦人科での医療過誤。裁判編はカーマイケル検事補の独り舞台。敵は悪徳医師なんだが、彼女の手法、そして殺人罪の追及は正しいのか、どうもすっきりしない。医師を自殺に追い込んだ検事補の倫理はどうなんだ。 ★★★★

9-17『見えない壁』

身内の問題もの。警察にはびこる女性警官蔑視に基づいた暴力と、現場でペアを組む同僚を守ろうという心理。ふたつのせめぎあいが、精神鑑定をも交えたよい推理ドラマの中で描かれる。が、展開はもうひとひねりほしい。色々と既視感ありすぎ。★★★

9-18『青春時代の陰』

20年前の誤審によるやり直し裁判。真犯人が当時未成年だったため、中年の少年犯罪者と家裁で戦う。久々の文字オチ(裁判の結末がテロップで出る)だったけど、裁判過程に凄く引き込まれるということもなく、単に消化不良だったたように思える。★★

9-19『過去のない男

旧知の女性を駅のホームから突き落とした男。その捜査が、父親による実娘の完全な支配という異常性を明らかにする。寄り道がなく牽引力のあるシナリオ。犯人の罪が確定しても溶けることのない洗脳で、寒々しい法廷に響く娘の鳴き声が胸に迫る。★★★★★

9-20『法と権力』

当時ベンジャミン・ブラッド(カーティス刑事)の恋人だったジュリア・ロバーツが登場、カーティス刑事を誘惑する妖婦としてすべてをかっさらう。モーテルで二人きりになり「あなたに魅かれてるの」のセリフで爆笑。実に楽しい演技でした。★★★★

9-21『野心』

マフィアもの。店の回転時にちょっと手を借りたら、そこからズルズルと付け込まれ……という日本の暴力団ネタにしてもまったく通用しそうな展開。オチも悲惨で、カタルシスのない暗い教訓だけが残る。暴力団と関わったらアカン。以上。 ★★★

9-22『キャンパスライフの末路』

地道なアリバイとりが、目撃者の人種偏見で歪められる。真犯人逮捕の困難な作業を追体験させる、地味だが良い展開。ただテーマも真犯人の動機もクリアに伝わらず残念。友人をかばう学生に対する父親の一括は、音効も巧くけっこう強烈。 ★★★

9-23『小さな目撃者 Part1』

シーズンクライマックスは前後編でロシアンマフィアとの対決。国を超えはびこるマフィア組織とその手口が微細に描かれ、力強い音楽が大勝負を盛り上げる。証言のため米国に嫌々移住する“法廷用難民"など、ちょっとしたユーモアも楽しい。★★★★

9-24『小さな目撃者 Part2』

マフィアとの対決、後編は打って変わって闇金融取引が焦点。前編を活かしつつ単独でも物語が成り立つのが見事。普段と違い組織犯罪がメインで、捜査・裁判ともに極上の緊迫感とダイナミズム。仲間を失いつつも前に進む強さが胸にしみる。★★★★★

 

まとめ

総ポイント数

87 / 120

平均

3.63

感想

Law&Order随一のイケメンキャラ、レイ・カーティス刑事ことベンジャミン・ブラッドがこれにて降板。真面目キャラなのににじみ出る色気という設定も相まって、地味なドラマに華を与える良いキャラだった。彼とブリスコーのコンビがシリーズ中もっともしっくり来ていたので、残念な限り。

で、ポイントのをつけてみると意外なことに、他シーズンに比べ平均点は高いほうじゃない。ざっと読み返すと色恋沙汰エンドのエピが目立っていて、好みに合わなかったようだ。10年目を前に、マンネリズムを肌で感じていたのかもしれない。

ただ決してつまらないシーズンだったというわけではなく、むしろこの辺がシリーズの円熟期にして頂点だったのかな、と思っている。後半はマンネリに陥るのを打破しようとして、インパクト重視のエピが増え、結果ポイントが高くなってくる。最終話、刑事課がなぜか国際経済犯罪を追うエピは、まさにその前兆。さすがにあり得ないと感じつつも、ダイナミックで面白い。

ちょっとしたトリビア

9-20話: このエピに限らずしょっちゅう使われる表現だけど、"(meet / know) in the biblical sense" = 聖書的な表現で「会った/知ってる」= セックスした / してる間柄

9-23話:「オーメン・フォーメーション」子供のPTSDの一種。トラウマとなる恐怖体験を事前に夢で見ていたと信じこみ、自分が恐怖体験に遭ったのは夢のせいだと思うことでショックを緩和させ乗り越えようとする。……という解釈でいいのかな?

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