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Law&Order クリミナル・インテント シーズン3: 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー:犯罪心理捜査班(クリミナル・インテント)』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第3シーズン。

あらすじ

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ジェームス・ディーキンス警部率いる重大犯罪捜査班で、卓越した洞察力を持ち犯罪を解明していくゴーレン刑事。彼のパートナーであるエイムズ刑事は代理母出産のため内勤となり、代打のビショップ刑事が配属される。ゴーレンのユニークな捜査手法に実直なビショップ刑事は戸惑うが、二人は着実に犯罪者を検挙していく。

 

エピソード・レビュー

3-1『執着の行方』

9.11跡地の再建計画にまつわる陰謀。シーズン初回はデカい話から始まったと思いきや、話はシリーズ屈指の規模の痴情のもつれに。騙し絵を見せられてるごとき展開だが、建築と創造というテーマはしっかり貫いてる。クライマックスはまさに泥沼。★★★★

3-2『ゆがんだコンプレックス』

メガネ店員連続殺人事件を負うと、人種の容貌と美容整形に関わる問題が……。事件の展開はさらに2ひねりあるが、今回は少し安っぽい方向にひねった感じ。いったん興ざめするとクライマックスの役者の演技も物足りなく思えてしまう。★★★

3-3『天の恵み』

家族間の殺人がいつの間にやら透視能力者(サイキック)の能力を暴く話に。英語圏だとこのサイキックによる電話占いは結構ポピュラー(沖縄のユタみたいなもの)。ネタとしては盛り上がりに欠けるまま流れていった。少し哀しい結末も心に響かず。 ★★

3-4『執念』

税務署の書類から脚がつくプロの殺し屋。彼の正体は? 女は怖いテーマのエピは多々あるが、今回はかなりの出来。アリシア・コッポラの端正かつエキゾチックな顔立ちが、女の執念をよく表している。証拠不十分な刑事をくさすカーバーの写真芸も楽しい。 ★★★★

3-5『記者のプライド』

人種差別を乗り越えた教養深い父親と、差別なき新聞社で働く息子。世代間の意識の差が事件の闇を濃くする。最後の罵り合いは両俳優とも良い演技。エイムズの産休で代打ビショップ刑事登場。頭の硬さがゴーレンとの良い対比になって楽しい。★★★★

3-6『すべては愛のため』

惨殺された銃の売人、そして更に被害者が。弱さを抱えた男と女の依存関係による、怨嗟を晴らすがごとき犯罪。相互の信頼を崩す結末は一種悲劇的ですらあるが、本当の悲劇は命を奪われた人々にあることを、最後の最後で思い出させてくれる。★★★★

3-7 『秘められた憎悪』

死の間際彼女は何を思ったか。夫の過去が妻の秘密と交差するとき、醜い現実が暴かれる。憎悪犯罪を思わぬ形で密室殺人の推理ドラマに取り込んだ意欲作。事実を知った男の絶叫が耳に残る。だがさすがにこの動機でこの犯罪は派手すぎでは。★★★★

3-8『恐るべき子供たち

小さな島で起こった毒殺事件。教会をめぐり醜い対立を続ける大人たちをよそに、子供たちもまた醜い関係を持っていた。閉鎖的コミュニティで起こる事件だが、子供たちの性感染症問題など切り口が新しい。最後に犯人の見せる子供っぽさも良し。★★★★

3-9『哀しい歌声』

ルーマニア孤児院の兄弟の養父が殺される。犯人は何から子供を守りたかったのか? 推理によく筋が通っていて納得感がある。関係者が一堂に会しゴーレンが真犯人を落とす場面はクラシックな様式美を得つつ被虐待児の心理がリアルに表現されている。★★★★

3-10『仮想世界への執着』

キーロガー、ATMスキマー、オンラインゲームbotによるアリバイ作りに、コードの癖による人物特定。当時のハイテク犯罪の見本市的な内容。しっかり物語になってるのが凄い。犯罪の規模に対し矮小な動機は、ある意味リアルと言えるか。★★★

 3-11『孤独な男の夢の果て』

本家シリーズでもよくあったスポーツモノ。お題はバスケットボール。ミステリアスな出だしが興味を引くがとんだミスリード。犯人に驚きはないが、鍵となる人物と犯人との関係性が意外で驚いた。終わってみれば邦題どおりの展開。★★★★

3-12『欲望の渦』

金に困った男と名声を求めた女。騙しあうことで成立する共犯関係が浮かび上がる。一種のコメディだがL&Oのリアリズムがふたりの哀しい渇望を描きだしてしまい、それが痛々しい。ラストを本物の劇場のにしちゃったのには、笑うしかないが。★★★

3-13『身代わり強盗犯』

人をたらしこみ犯罪への道へ誘うナルシスト。彼の最後の誤算とは? 冒頭の控えめな爆弾描写は逆にリアルでショッキング。共犯者が罪へと堕ちていく過程も面白く、物語に引き込まれる。ただ最後のゴーレン落としはさすがに詐欺だよこれ。 ★★★★

 3-14『付け替えられたラベル』

タイから始まるミステリー。製薬汚染という重い社会犯罪が、意外な原因で殺人事件を引き起こす。二つの犯罪ともよく練られていて引き込まれる。ただ腕時計に男の陰毛がついてたから同性愛者だって、それは短絡的すぎるような……。 ★★★★

3-15『秘かな敵意』

患者を見下し互いに騙しあう近代史上稀に見るサイテーな精神科医夫婦をブレント・スパイナーとM・コリンが熱演。狂気のなかに置かれた真の狂気を暴き出したゴーレンの最後のトークも、まさに悪魔的で魅せる。真犯人による視線誘導トリックも巧い。 ★★★★★

3-16『ルイーズの奇跡』

毒殺犯と宗教団体の関係は? 奇跡認定のかかる大量の古文書の成否を賭けた、おそらくTV史上最大の筆跡鑑定ミステリー。最後、犯人の家に押しかけるゴーレンとエイムズはまるでコントの迷惑な隣人のよう。犯人には辛い話だが笑ってしまう。★★★

3-17『叶えられた意思表示』

昏睡状態の女性を救おうとした医師。彼女が殺された理由を知っているのは……? 中盤コップをシャッフルするシーンはあまりにも作りすぎで笑っちゃうし、最後の自白はさすがにうーん、良くて不当捜査悪くて詐欺罪じゃないのかなあ……。★★

3-18『野望を秘めた妻』

お馬さん殺人事件。厩舎で馬と獣医が殺されて……。麻薬取引に絡むトリックはなかなか面白いと思ったが、結局は例によって痴情のもつれ的な展開に。キャラの葛藤を作るためだろうが、どうも単調になるんだよな。ゴーレン落としも迫力が足りない。★★★

3-19『生まれ持った宿命』

覆面捜査官を狙ったのはマフィアか警官か。このシリーズの悪人の生まれながらの弱みや障碍に塩を塗り込んで自白させるような展開は、悪趣味さと面白さのスレスレ。今回もそんなエピ。ゴーレンの演技は良いが犯人役に迫力が今一つ。★★★

 3-20『神のモルヒネ

邦題ネタバレシリーズ。亡き母の指輪を探す女性の怪死。彼女と母はなぜ死んだのか? 本件まともに捉えればものすごい大量殺人犯なんだが、いつもどおり落ち着いたテンションで物語が進む。冒頭のひき逃げシーン同様もう少し迫力があれば。★★★

3-21『復讐は灰の味』

夢遊病患者の犯した連続殺人、オリジナルならここで難しい裁判編に入るが、このシリーズはその裏にもう一段犯罪を用意する。しかしそれが巧く繋がっているかというと、うーん。作為的すぎるしオチも弱い。ケイマン諸島の名前は聞き飽きたよ。★★★

まとめ

総ポイント数

73 / 105

平均

3.48

感想

全体的に点数を甘目につけたかな、と思うぐらい、実はのめりこめないエピが多かった。どこかオリジナルシリーズで見たような設定で、しかもオリジナルシリーズるより深みにかける、そんな印象のお話も多い。★5をつけたエピソードも、出ている役者が好きでのめりこめた、という部分が大きい。マンネリを感じてしまうシーズンだった。