Twitter使った『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』シーズン2おおよそ140文字全話エピソード・ガイド&感想(全12話)。
本シリーズはジョン・ヴォイト演じるミッキー・ドノヴァンのキャラが最高すぎるので、彼中心にレビューします。なお、シーズン1はまとめておりません。いつか気が向いたらやります。
あらすじ
ムショあがりの天然極悪ゲスジジイことミッキー・ドノヴァンは、ハリウッドでトラブル解決人を営む息子レイのもとに押しかけ好き放題やらかし、息子に暗殺されかける。結果的にその実行犯サリーを殺し、レイを助けることになったミッキーは、メキシコに逃れ酒と女の日々を過ごしていた。
ビーチで喋るイルカに出会ったミッキーは、レイとともにハリウッドに戻る。そこで待っていたのは薄汚いアパートでの保護観察生活だった。となりの肺がん死にかけジジイと友情を交わしたミッキーは、ハリウッド映画の脚本を書いて一発逆転を狙う。
一方FBIの支局長らと共謀してサリー殺しをもみ消したレイは、新聞記者に付きまとわれ、立場が危うくなってくる。妻との仲は悪化し、娘は犯罪に巻き込まれ、その間にも顧客のハリウッドセレブたちは次々ろくでもないトラブルを起こし……事態をなんとか収拾しようとするレイだが、ジジイの斜め上を行く行動がそれを阻むのだった。
全話レビュー
2-1『キャプテン』
メキシコの海で喋るイルカの白昼夢を観たゲス爺ミッキー、俺はキャプテンだと意味不明なことを口走り、ボクサーの息子をブルテリアの擬人化みたいな相手と戦わせたうえ敗けに賭けてひと儲け。いやーゲスい! 出るたびにぱっと画面が華やかになるゲスさ。★★★★
2-2『奔走』
息子レイの手でメキシコから連れ戻されたミッキー。孫に卑怯になるなと諭しながら拳闘を教え結局彼の暴力性向を焚きつけちゃう天然ゲスっぷりを見せるも、レイにはめられ保護監査の身に。ダリルにボクシングを語る時の目が完全にイっちゃってて素晴らしい。★★★
2-3『保護観察』
メキシコ料理屋の雑用係の仕事に就いたどん底ミッキー。人情が身に染みる彼に代わってゲスさ炸裂なのがプロデューサーのスチュー。ポルノ女優をカネで買い、その夫にしばかれる。セリフ一言々々が腐ってて、ハリウッドって素敵。FBI支局長役でハンク・アザリア登場!★★★★
2-4『ほころびた筋書き』
たいへん不穏な展開、不穏な演出で、ジジイのにこやかなゲス顔もまったくなし。物語的には目が離せずワクワクだが、ジジイ的には物足りないエピ。救いはFBI支局長もゲス野郎だったということか。★★★★
2-5『手に負えない男』
ゲスな本性を表したFBIのコクラン相手に、俺は息子を守ると本気で正義面するクソジジイ。実にタチが悪い。記者を前に下手な嘘をつきまくり、俺に任せろとウィンクするジジイが今回のハイライト。これで物語が平和に終わるから逆に不安でワクワクする。★★★★
2-6『欲情の行方』
右も左もセックスまみれのエピ。FBI局長は夫婦そろってクズ丸出し、レイの新しい依頼人もクズ、その犠牲者もきっちりカネをせびるグアテマラ・クズ。ところがジジイは相棒の肺がんジジイとダラダラ馬鹿話をするだけという、妙な逆転現象が微笑ましい。★★★
2-7『招かれざる客』
コナーの誕生日にジジイと黒人妻含む家族全員が大集合。あらゆるコミュニケーションが失敗し、文字通り家族が崩壊していく様は、痛々しくも楽しくて仕方ない。久々のゲスいジョークで先陣切って空気をぶち壊すジジイは健在! 演出もキレキレの傑作。★★★★★
2-8『失われた光』
息子の周辺がズタボロになっていくなか独り上機嫌なゲスジジイ。ハリウッドへの道を掴んだと思いきや、サクッと転落、コスい泥棒に。完全にコミックリリーフ役。いっぽうドノヴァン一家は驚愕につづく驚愕でてんやわんや。衝撃のエンディング。★★★★
2-9『白雪姫』
ニセのブランドバッグとマリファナで昔の女とよりを戻そうとするゲスジジイだが、あっさり振られて次の悪事へ。いっぽうドノヴァン家は大惨劇の収拾に努める。ところがこれが家族の団結にならないのがドノヴァン家。バンチーもどぎつい事実と直面、これは辛い。★★★★
2-10『絶望の暴走』
どいつもこいつも散り散りに崩壊していくなか、唯一息を吹き返したように悪事に走るゲスジジイ。周りを次々と巻き込み、「触れるものすべてをクソにする」という逆ミダス王のごとき存在感。物語は1分進むごとに最悪を更新する展開。盛り上がってきた!★★★★★
2-11『裏切り』
ありとあらゆるものが悪い方向に濁流のように流れる。最悪の結果に終わったジジイの悪行が、逮捕を覚悟したレイを斜め上後方から襲う。呼吸器ジジイは渾身の爆発ギャグ! 警察に拘禁されたレイの目の前で孫に手をかけるゲスジジイ。無自覚な悪魔! 最高。★★★★★
2-12『大勝負』
進退窮まったジジイ、最後の復讐かと思いきや、競馬場で人語を喋るウマと出会い大逆転! すさまじい馬鹿オチだ。よたよたの取っ組み合いも輝かしい。一方レイは自らの手を汚し愛を封じて、首の皮一枚で家族を守る。最後、暗く沈んだ彼の瞳がすべてを物語る。★★★★★
シーズン2 まとめ
総ポイント数
50 / 60
平均
4.16
感想
シーズン2はジジイが物語の主線から少し外れた感があるが、考えてみればメインストーリーもレイが次から次へと脈絡なく襲い掛かる災難にボロボロになっていくストーリーなので、主線もへったくりもないのかもしれない。ジジイは狂言回し件コミックリリーフとして最強の存在感を示してくれた。ジジイの脈絡のない行動は、彼本人が何らかの人格障害を持っていることを如実に示しており、それ故、これまでにない「悪魔」のリアリティを獲得している。
2-6話は本作でも久々に突き抜けて良くまとまっていたエピだった。ラストの踊りは、『母なる証明』を思い出す。これが踊らずにいられるか! の感覚は洋の東西を問わないね。そして後半の物事が土石流のように悪い方向に落ちていく展開は、1秒たりとも目が離せない。レイは最悪の状況を、ジジイの意図せぬ妨害を跳ね除けてフィックスできるのか? 実に見事なクライマックスだった。