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レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー シーズン3: 海外ドラマ全話レビュー(ジジイ中心)

Twitterを使った『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』シーズン3、おおよそ140文字全話エピソード・ガイド&感想(全12話)。

本シリーズはジョン・ヴォイト演じるミッキー・ドノヴァンのキャラが最高すぎるので、文章を更に140文字追加して彼の見せ場も書き出します。シーズン2のレビューはこちら。シーズン1レビューは未定です。ごめんなさい。

あらすじ

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息子たちに散々迷惑をかけ、最後にはテリーの刑務所行きの原因を作ったゲスジジイことミッキー・ドノヴァン。競馬で一山当てた彼は黒人息子のダリルとともにプール付きのアパートに居を構え、そこに住む娼婦たちと楽しい日々を送っていた。

しかし娼婦たちは、ポン引きの横暴なやり方に苦しんでいた。衝動的な正義感か、計画的な犯行か、ミッキーはポン引きから娼婦たちを救い、自分の手で売春組織を運営し始める。彼はアルメニア系マフィアから覚せい剤を仕入れ、売春とセット販売することを思いついたのだ。ところがこれがドロ沼の始まりとなる。

一方息子のレイは家族と距離を置いて独り暮らしを続け、感傷に浸っていた。とある依頼から、彼はハリウッドの重鎮フィニー一家に取り込まれ、夢と絶望を味わうことになる……。

全話レビュー

3-1『新天地』

家族を繋ぎとめていた糸が切れ、孤独を選んだレイにエズラの死が追い打ちをかける。そこに来た依頼は、息子を誘拐された父親からのものだった。家族の再生の物語を予感させるプロットは美しい絵と響くセリフに彩られ、“ドノヴァン空間”に瞬くまに引き込まれる。

今回のゲスジジイは、競馬で一山当てたカネでプール付きアパート住まい。倫理のタガが外れている彼だが、ポン引きに虐待される娼婦の事を気にかけ行動を起こす。何を考えているのか分からないあやふやな顔のまま事が進み、最後に手を下した瞬間みせる鬼の表情! 惚れる。★★★★

3‐2『衝突』

レイに近づく有力者の娘ペイジ。周囲の人間たちの物語も少しずつ動き始める。暴力に満ちた殺伐とした世界だが、セリフの一言々々にユーモアがある。バンチーがMに目覚める様は笑えるしリアル。1話の中に2回もオナニーシーンがあるのも微笑ましい。

前回の結末でちょっとした人間味を発揮したと思ったジジイは、その結果をすぐにクズすぎる金儲けに転換する。その潔いゲスっぷりは最高。またもいいように利用されたダリルの「このジジイにゃかなわねえ」という笑いも共感を呼ぶ。今回も最低な商才で周囲を大混乱に導くか。★★★★

3-3『代償』

獄中で命を狙われるテリーの釈放に奔走するレイ。今回はテーマを絞った濃密なタイムリミット・サスペンス。不運を重ね堕ちていく展開はシリーズの真骨頂。自らを最悪の状況に置きつつ涙するレイの姿に、共感と充足感を覚える。息抜きのバンチーのプロットは大爆笑。

今回はジジイの活躍も真骨頂! 彼は彼で息子のために必死だが、その行動がすべて最悪の結果となりレイを襲う。触れるもの全てをクソに変える逆ミダス王の姿ここにあり! 問題がなんとかなればそれまでの事をカラっと忘れ騒ぎ出す、病的な反省のなさも素晴らしい。★★★★★

3-4『帰郷』

フェニーの子飼いに身を落とし、一家に振り回されるレイ。一方アビーはボストンに帰る。今回はキャラそれぞれの物語が少しずつ進む。散漫といえば散漫だが、起承転結はきっちりしており、不穏の種も十分ばらまかれ今後に期待が持てる。みんなFuck言い過ぎ!

前回デタラメをやってくれたジジイ、さっそくクズらしいやりかたでテリーを迎えるが、実は今回は結構シリアスな役回り。クライマックスで異常者なりに息子を愛していることを吐露するが、それすら条件反射的なでまかせにも聞こえる。醸し出す非人間性がうすら寒く、楽しい。★★★

3-5『芽生え』

知事のスキャンダルとなる電話に入っていた音声は? 今回もフィニーの使い走りとなるレイ。観る方にも鬱積が溜まる。意外と泣かせるのがバンチーの恋物語。異なるプロットを走るドノヴァン家の面々が互いに会うシーンもあり、物語後半に向けた結節点になっている。

ジジイはまさに後半に繋がるだろう大トラブルを抱え込んでしまう役回り。金貸し因業ババアに耐え、若造の客に耐え、息子ダリルのバカさに耐えるジジイ。すっかり受動的だった彼だが、自分でも気づかず孫に童貞喪失の機会を与える大活躍!★★★

3‐6『投票日』

フィニーのもとで人生を変えられるかもしれないと期待を抱くレイだが、そうは問屋が卸さない。珍しく笑顔を見せていたレイが一転妻の前で罵倒される、胃が痛くなるようなオチは快楽。バンチーの恋は汚れきった物語の中で鮮烈な感動を呼ぶが、これも不穏に……。

ジジイはマフィアに追い込まれどんどん状況が悪くなる。まるでレイだ。ボスに脅されたあとの表情の不気味さは絶品。単に悩んでいるのか、それとも殺意を感じているのか。いずれにせよ激情を顔に出さないのが逆に怖い。テリーに射殺されかかるシーンはほのぼの。★★★★

3-7『認めがたい真実』

幸せを叶えるにはカネが要る。奔走するレイに不意打ちのように現れる過去との対峙! 後半のダイナミックな転換で物語に拍車がかかる。3兄弟が揃うシーンは、どんな酷い状況でもどこか温かみが感じられる。3年間の積み重ねがなせる役者たちの一体感。

なんとジジイは今回初のモブファイト! 追い込まれて必死のジジイ、血まみれになるジジイ、今までにないジジイの魅力がほとばしるエピソード。出来の悪い息子をほめるジジイの言葉は、天性の人たらし術とわかっていても、ほろりと来てしまう。★★★★

3-8『墓穴』

フィニーとペイジとの間で堕ち行くレイだが、ひょんなことから立場が逆転、状況は良くなりつつ見えるが……。エピソディックでおとなしめのエピ。フィニー、アヴィ、テリー、ブリジット各プロットが、癒し、救いというテーマでまとまるのは手堅さを感じる。

ジジイの出番は少ないが、優しさに包まれていくプロットの中で鮮烈なゲスさを見せつける。相手が黒人とあれば口説かずにはいられないジジイ! うまく回らない人生に自分の老いを感じる表情は巧く、黒人との愛も彼なりの癒しなのだと想像させる。★★★

3-9『結婚式』

バンチーの結婚式の裏で起こる騒動を描くインターミッション。レイの凄まじい“引き受け体質”が極まり、ついに親父から仕事を依頼されるシーンは衝撃。話を聞くレイ=R・シュレイバーの繊細すぎる表情演技! ドノヴァン家全員の掛け合いがたっぷり楽しめる。

今回は実質ジジイ主役のエピで、窮地に追い込まれるジジイの焦燥しきった顔が十二分に楽しめる。いざとなれば子供も捨てる最悪のゲスっぷりを炸裂させつつ、ギリギリ父親としての理性を残している複雑な彼の内面を、ジョン・ヴォイトが見事に表現。レイに哀願するあの目!★★★★

3-10『鎮魂歌』

レイに人生壊されたお笑い元FBI長官が奇跡の復活。アヴィもハメはずしまくり、一方でマフィアは怖く、笑いたっぷり、緊張もたっぷり。そしてエンディングに待つ、地獄の一歩手前のヒリヒリ感! テリーをレイの家庭に配置し生み出した新たな情景も見事。

レイに助けてもらえると分かるとすぐ調子にのるのがジジイのいいところ。監視の刑事に見せる侮辱ポーズの可愛いこと! そんな彼もコトが終わってしんみりと息子に話しかける。ゲスはゲスのままでいてほしいが、この落差が魅力であるのも確か。★★★★★

3-11『チェックメイト

フィニーの罠に追い詰められたレイの見事な逆転劇。アヴィやリーナとのチームワークも出て、最終回前にテンションが上がるが、サブプロットは漫然と走っており、少し集中力を欠いていたとも。コクランの情けないキャラは今回も際立っていた。

レイに助けられた恩義も忘れ、すっかり被害者気分のクソジジイ。田舎への引っ越しから逃れるアイディアを閃いたときの口半開きのマヌケ顔、そして大切な家族相手に息するように嘘をつくジイイのすっとぼけ顔! 派手な出番はないが、半サイコパスの表情演技が満喫できる。★★★★

3-12『告解』

フィニーの物語に片が付き、本当のクライマックス。ドノヴァン一家それぞれの物語が一つに集約し、レイ個人の心の問題へと落とし込まれる。守ってきた過去を捨て、守るべき家族を守る。その残酷な葛藤が、見事な演技もあいまり胸を打つ。アクションも上々!

ドノヴァン一家の最後の問題はジジイが独りで作ったもので、世界最悪レベルのトリックスターの面目躍如。ここまで間抜けな(でもカッコいい)ガンアクションの始まりはあっただろうか! 娼婦の尻からコークを吸うシーンで思わず素で笑うジョン・ボイト、可愛すぎる。★★★★★

 

シーズン3 まとめ

総ポイント数

48 / 60

平均

4.0

感想・おすすめエピソード

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