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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

新スタートレック シーズン4: 海外ドラマ全話レビュー

海外ドラマ ジャンル:SF スタートレック
Twitterを使った『新スタートレックスタートレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション)』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第4シーズン。シーズン5以降も続けますが、シーズン1~3のレビューはどうしようかな……見飽きるぐらい見たもんな……。

あらすじ

機械生命体ボーグの地球への侵攻は、惑星連邦と宇宙艦隊、そしてエンタープライズ号のクルーたちに大きな傷を与えた。戦いを終え地球に戻ったクルーたちは家族との時間を過ごし、彼らの人生を見つめなおす。データ少佐も生みの親との再会で、また一歩成長する。一方ウェスリー代理少尉はついに艦隊アカデミーへの進学が認められ、艦とピカードに別れを告げる。

再び外宇宙にでたエンタープライズは、多くの謎めいた異星人、そして未知の天文現象と遭遇する。局所的亜空間ワープ・バブル、位相的欠陥現象「宇宙ひも」、エネルギーを吸収する空間断層、そして艦は銀河の核へ……。様々な謎を解き明かし、新たな知識を得ていくエンタープライズ

そのころクリンゴン帝国では、総裁クンペックの死によって政情不安が高まり、新総裁ガウロンと有力氏族デュラス派の間で内戦の危機が迫っていた。家族を殺されたウォーフ中尉は、弟とともに闘いに身を投じていく。クリンゴンの危機はロミュラン帝国の勢力拡大に繋がるが、ボーグ戦役で疲弊した連邦に選択肢は少ない。エンタープライズはこの外交危機を乗り切ることができるか……。

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全話レビュー

4-1『浮遊機器都市ボーグ 後編』

前編の凄いラストがいきなり肩透かし。それでも艦体分離してのピカード奪還作戦の高揚感はすごい。最後の撃退方法もひと捻りあるが、多少のご都合主義感が。前編が凄まじかっただけに、風呂敷を畳むのに必死で物語のパワーダウンは否めない。★★★★

4‐2『戦士の休息』

ボーグ戦役後、地球で休暇をとるクルーたち。オムニバス的にクルーの家族に焦点があてられる。どれも良い話の運び。特にピカードの兄との交流は彼に新しい光を当て、人物にぐっと奥行きを与えた。このエピをして、ボーグの物語に真の結末がついたと言える。★★★★★

4-3『永遠の絆』

アンドロイドの父親は何のために彼を開発したのか? 豊かな比喩で語られるその理由は心に染み入り、まさに人間とは何かが伝わってくる。データの兄ローアとの感情表現の対比が素晴らしい。ブレント・スパイナーの一人3役で魅せる珠玉のエピ。吹き替えも見事。★★★★★

4-4『宇宙孤児ジョノ』

戦争で拾われ異星人に育てられた地球人の孤児。彼が戻るべき処はどこか? 子供嫌いのピカードが孤児の父親役をやるという状況が劇に更なる葛藤を与え、子の抱える心の問題を浮かび上がらせる。優れた主題だが、今季の他のエピに比べると一歩力不足。★★★

4-5『恐怖のワープ・バブル』

ドクターの周囲から人が消える。この恐怖から脱出できるか? シリーズ屈指のSFサスペンス。手に汗握る知的興奮。「私が正常なら異常なのは……」のセリフはガツンと来る。解決策を過去キャラに頼ったのは玉に瑕だが、それを含めても大傑作。★★★★★

 4-6『革命戦士イシャーラ・ヤー』

無政府状態のコロニーにいたターシャの妹に心を開くクルーたち。友情、信頼そして裏切りは、人の心をどう動かすのか。それを感情のないアンドロイド、データが表現する。序盤のポーカーシーン含め、ブレント・スパイナーの表情演技が魅せる。★★★

4-7『勇者の名の下に』

ウォーフ、ケーラー、そして息子アレクサンダー。クリンゴン帝国という巨大な”家”の承権問題が、この小さな家族を引き裂く。外交・陰謀と家族の愛の物語がうまく絡み、儚い幸福と悲劇が引き立つ。新キャラガウロンの印象的な目つきもよし。★★★★

4-8『悪夢のホログラム』

ライカーが目覚めた16年後の世界。彼の息子は何を知るのか? タイムトラベルの原因がウイルスによる記憶喪失という設定は面白い。裏の裏をかく展開も飽きず、最後の「本物がほしかった」というセリフは上出来だが、いまひとつ決め手に欠ける。★★★

 4-9『ファイナル・ミッション~新たなる旅立ち』

アカデミーに進学するウェスリーとピカードを乗せたシャトルが墜落し……。二人の父子のような関係性を描き出そうとしたのはわかるが、そのための設定が非常にご都合主義的でどうにも。ウィル・ウィートン最後のエピだけに尚更。★★

4-10『失われたテレパシー』

美しき二次元生命体に巻きこまれ漂流するエンタープライズ。能力を失ったカウンセラーは救うことができるのか? 宇宙ひもというハードサイエンスなネタと、障碍を負った者の絶望と再生という物語が最後に融合する。もう1歩深く融合してほしい。★★★★

4-11『ヒューマン・アンドロイド:データ』

人気キャラデータ、たっぷり1時間見せましょう! という詰め合わせ的エピ。物語がコラージュ的なため、逆に大きな感動は得づらい。しかしシリーズを通しての彼の成長という視点を得ていれば、最後のモノローグでじんと来る。★★★

4-12『不実なる平和』

旧敵国の船を襲う連邦航宙艦。真実をのみこんでも守るべき平和とは? 初登場のカーデシア人の人物造形、予算不足を隠す戦略マップでの戦闘シーン、そしてオブライエンの目を潤ませての対話と、見どころは多いがシナリオはいまいち盛り上がりに欠ける。★★★★

4-13『悪魔の契約』

千年前の契約通り惑星の支配を求める伝説の悪魔。はたして彼女は本物か? 神話的存在との交流を描くエピは多いが、今回は契約があるなら裁判もできるはずだ! という展開がまたこの時代らしい。コミカルだが、科学と理性に関わる洞察もあり奥深い。★★★★

4-14『空白の一日

ワームホールの影響で失われた24時間、それは真実なのか? データ少佐を軸にした正統派ミステリー。誰が何のために犯行に及んだのか、SFでしか味わえない見事な結末が待っている。作品がレギュラーキャラの艦内撮影のみで成立しているのも凄い。★★★★

4-15『ファースト・コンタクト』

宇宙開発に成功し時代の転換点を迎えたある文明。彼らに接触してきた「エンタープライズ」とは……? 普段の視点を逆転させた展開は、SF的な驚きと洞察に満ちている。変化を望まぬ人々の心を汲みつつ、希望に満ちた結末は心にしみる。★★★★★

4-16『ギャラクシー・チャイルド』

ラフォージが個人情報からホログラムで再構築し、恋心を抱いた女性の「実物」がやってくる。ぶっちゃけラフォージ圧倒的にヤバい。犯されたと言われても仕方ない。逆ギレもむなしく聞こえただただ苦笑。宇宙生物のネタは映像も良くできてる。★★★

4-17『謎めいた狂気』

時空断層に囚われたエンタープライズで、幻覚と狂気が始まる。ホラーめいた状況を合理的な推理で解明していくのはSFの醍醐味。メンバーの憔悴した顔の作り方もうまく、影響を受けないデータ少佐との対比が楽しい。事態が解決したときの爽快感はなかなか。★★★★

4-18『アイデンティティー・クライシス』

失踪者を追いある惑星に降りた調査隊が、5年後一斉に失踪を始める。良質なSFミステリにジョーディの淡い恋を絡めた良作。ホロデッキを使った謎解きはロジカルで驚きがあり、プロットの構成も安定。観終わって充足感が得られる。★★★★

4-19『謎の頭脳改革』

いわば明るい『アルジャーノンに花束を』。バークレイの知能がぐんぐん伸びて、フォールドジャンプで銀河の核へ! この展開のドライブ感はまさにSFの醍醐味。ストンと落とす結末も見事。コンピューターと一体化した彼の声や姿もツボ。充実した物語。★★★★★

4-20『QPID』

再会したピカードとヴァッシュにQが絡んでてんやわんや。中身はロビンフッドのコスプレ劇なんだが、メタフィクション的でセリフも展開もいちいち楽しく、キャラが活き活きしている。髭面のピカードもセクシー。コメディエピとしてはシリーズ最高の出来。★★★★★

 4-21『疑惑』

「連邦には敵がいる」その一言で看過される連邦第7憲章。テロ疑惑は24世紀においても魔女狩り裁判を生み、かつての敵の血を引く士官が現在の敵の血を引く下士官を取り締まる。正義はどこで守られるべきか? 示唆に富む台詞に満ちた9.11前の問題作。★★★★★

4-22『訣別の儀式』

恋多き女王ラクサナ、彼女のであった科学者には、太陽を救う使命と、ある宿命があった。死にゆく太陽と科学者の運命が二重写しになるシナリオ。興奮や驚きはないが、文化に根差した人の感情がじっくりと描かれる。ル・グインの作品を思わせる静かなSF。★★★★

4-23『愛の化身オダン』

人を愛すると言うとき、その「人」とは何を指すのか? 知的寄生生物トリル族登場。宿主によって性別すら変わる彼に、ビバリーの愛は葛藤を迫られる。愛とは何かに対するSF的なアプローチが興味深い。同性の手首へのキスが当時の表現の限界か。★★★★

4-24『裏切りの序曲』

久々にクリンゴンとの外交交渉モノ。洗脳されたジョーディを止めることができるか? サスペンスフルで、データ少佐の謎解きのフェーズも彼らしく見応えがある。ただクリンゴン植民地の独立戦争など、広がりのある描写に欠けるのは惜しい。★★★★

4‐25『恋のセオリー』

データ少佐、恋愛に挑戦のまき。データ人気を当て込んだエピだが、彼の恋愛プログラムに乗っ取った行動と女性の反応から、「心」とは、「意識」とは何かが逆説的に理解できる……とは穿った観かたか。サブシナリオともうまく融合せず、オチが弱い。★★★

4-26『クリンゴン帝国の危機 前編』

濃密な交渉劇。暴力的なクリンゴンの政変を描くシナリオは、とても知的に進んでいく。クリンゴンという種族が何に価値を置きどう考えるのか、宇宙艦隊=人間の論理はそれにどう関わるのか。結末に待つ孤独な王は、理詰めのシナリオの極致。★★★★

まとめ

総ポイント数

103 / 130

平均

3.96

感想

豊穣の第4シーズン。単にスタートレックシリーズとしてでなく、宇宙を舞台としたSFとして、最高峰といってよいレベルを誇る。『恐怖のワープ・バブル』や『アイデンティティー・クライシス』『謎の頭脳改革』など、SF的な「もしも」をネタにぐいぐいひっぱる物語は、第3シーズンにつづき今回も豊富だが、キャラクターが完成されているため、総合的な完成度が一段と高く感じられる。「宇宙ひも」のような理論上の天文現象がさらっとガジェット的に扱われるのもニクい。また、『ファースト・コンタクト』はスタートレック、いやSFの永遠のテーマである「未知との接触・理解」というテーマを逆転の発想で描いており、本質的な意味で、同名の映画版よりスタートレックらしいと言える。

一方で、SF的な興奮の少ないエピソードのクオリティも凄い。後半21話~23話はアイディアはシンプルで派手なアクションもなく一見すると退屈にも感じられるが、いずれも現代の倫理問題をスタートレックの世界に仮託して、じっくりと描き出している大人の劇だ。設定、演技、セリフに込められた想いが伝わり、涙を誘う。

最後に、オリジナルシリーズでは「粗暴な異星人」だったクリンゴン人を、文明レベルで深掘りして骨格を与え、濃密な劇を作り出したのも本シーズン。実に見ごたえがある。

メモ

4‐2話、ラストはピカードの甥が憧れの星空を見上げる印象的なシーン。その星空に描かれた大きなオリオン座の、ベルトの三連星の右の星、ミンタカに、実はピカードは訪れてる(ちょうど1年前の3-2話)。そこに気づくとスタートレックの宇宙の巨大さと豊饒さが感じられるシーン。

4-5話、宇宙基地を出港するエンタープライズの発信シークエンスで、「アンビリカル・ディスコネクト」というセリフがある。外部電源切断ぐらいの意味だけど、ロケット用語からきてるんだろう。船舶用語の転用が多いスタートレックでは珍しい。