farsite / 圏外日誌

Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

ジャンル:アクション

『テネット』 - 2時間半で英雄譚を完成するには、という話

久々に入った映画館で「観劇後の感想がトリビアや謎解きだらけになるのなら、それは物語映画としては失敗じゃないかなあ」なんて不遜なことを考えながら『テネット』を観ていたのだけど、ラスト、ロバート・パティンソンが語るシーンで、隣の席からすすり泣…

映画『ある決闘 - セントヘレナの掟』 - それは神話か、という話

一癖あると聞いて観に行った西部劇『ある決闘 - セントヘレナの掟』、なるほどちょっと毛色が違った。物語の大枠は連続殺人の潜入捜査、描き出すのは神話の誕生。 あらすじ 19世紀末、南北戦争の混乱が尾を引く米国テキサス州で、リオ・グランデ川に多数のメ…

『マグニフィセント・セブン』ヴィンセント・ドノフリオのきちがい演技!

『荒野の七人』のリメイク作品。当然ながら日本では『七人の侍』とも関連付けられるけど、実のところ『オーシャンズ11』のようにバラエティ豊かな面々が活躍する、よりスタイリッシュで今風の娯楽映画って感じ。 なんせ主人公がデンゼル・ワシントン。黒人カ…

デッドプール:ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドが素晴らしかった。

たいへん下品なスーパーヒーロー(ヒーローじゃないか)が要所々々で観客に語り掛けながら愛を貫く良い映画だったんだけれど、観終わって肩がこらなかったスーパーヒーローものって何年ぶりだろう! 21世紀に入ってからこのかた、大作ヒーロー映画を観るたび…

キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー - 救いのない葛藤の映画

ちょっと感情的な話だけど、この映画をみてほんとうに、スーパーヒーローものが厭になってしまった。映画の出来がどうこうじゃなくて、映画の示す価値観に、息が詰まってしまったから。そんな自分が辛い。 正義の戦いのなかで数々の副次的被害を出してきたス…

ガールズ&パンツァー 劇場版 - 映画感想:緻密なハリウッド的アクションの極致

あらすじ 現実とは少し違う世界。第二次大戦後、日本では学園と都市機能を備えた巨大な艦艇が幾隻も建造され、多くの子らがそこで学んでいた。いっぽう戦争の道具であった戦車は、戦後“戦車道”という武芸として世界的に地位を獲得、国土に広がる多数の原野や…

007 スペクター - 映画感想:あかるくたのしいボンド映画

あらすじ スカイフォール事件によって本部の崩壊した英国MI6 秘密情報部は政治的な窮地に追い込まれていた。MI5 保安局との合併、ダブルオーセクションの閉鎖が取りざたされる中、007は先代Mの残した言葉からある犯罪者を追い、ひとりメキシコにいた……。 感…

ジョン・ウィック - ある意味SF的な発想の映画

あらすじ 犬を殺したらとんでもないことに。 感想 この映画を観てなぜか頭に浮かんだのは、『ヘルボーイ2』だった。あの映画は現代に生きる悪魔や神秘的存在が描かれているけれど、その中でニューヨークのどこかに“妖精の街”があることが描かれる。それを思…

キングスマン:格差社会の怨嗟を込めたからこその傑作

ある意味すっごくしんどい映画だった。傑作であることは間違いなくて、とってもフザけた内容で、スタイリッシュに描かれたスパイアクションだ。だけど、その毒に満ちたファンタジーは、劇中挿入される現実のイギリス下層社会に鬱積している感情の発露だ。イ…

ジュラシック・ワールド: 戸田奈津子氏は誤訳をしたのか?

なんだかもやもやしている。たいへん面白かった映画『ジュラシック・ワールド』で、字幕翻訳の戸田奈津子氏が「また誤訳をした!」というツイートが、何件かRTされてきた。言われているのはクライマックスの「歯が足りない」という字幕だ。 これ、誤訳なんだ…

マッドマックス 怒りのデスロード:一度でも精神を患ったことがあるなら、もう一度見るべき映画

『マッドマックス 怒りのデスロード』はいろいろ驚きのある映画だったけれど、一番驚いたのは、女性の解放という物語の骨格でなく、主人公マックスのキャラクターだった。メル・ギブソン版マックスのマッドは「怒りでなにをしでかすかわからない」ぐらいの意…

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』映画感想: なぜ寝たか

すっごいイイ映画だったけど、寝てしまった。 制作者の方々にちくっと心が痛みつつも、まあ1,800円払ったら寝るのも権利のうちと堂々としてはいる。で、問題はあの映画、あの内容で、なぜ寝てしまったのか。 あらすじ 銀河のかなた。子供のころ異星人の盗賊…

『オンリー・ゴッド』 映画感想 - レフン&ゴスリンクのやりたい放題!

ライアン・ゴスリンク主演。タイを舞台にしたクライム・アクションなんだけど……ヘンな映画! 極端な色の画面、なりっぱなしの重低音、蝋人形みたいな役者たち。この極端な美意識が、現実と妄想が入り混じるあやふやなプロットに一貫性を与えている。

『キャプテン・フィリップス』映画感想 - ストイックなミリタリー・スリラー

ヒューマンドラマと思いきや、物凄くリアルでストイックなアクション・スリラー。だからこそトム・ハンクスの演技が活きる! ミリタリーファン、『スター・トレック』や『パシフィック・リム』のSFメカ好きにもおすすめ。

映画感想『パシフィック・リム』 誰もが夢見たのに、誰も観たことのなかった絵

『パシフィック・リム』は、太平洋から次々と現れ沿岸を襲う100mはあろうかという巨大怪獣(Kaiju)と、人類文明の破滅を防ぐため開発された巨大ロボットの闘いの物語だ。 とても面白くなるとは思えないと、思ったんだけど 正直、気に入らなかったのだ。だっ…

『ロックアウト』映画感想 - リュック・ベッソン堂々のダメSFっぷり!

リュック・ベッソンの、宇宙刑務所からの脱出を描くSFアクション。いやーダメ映画だった! いくらユル系アクションったって限度があるわよ。 なにが Based on Luc Besson's Idea だ! いや、ちょっと面白いかな、と思ったんですよ予告編観て。2079年という近…

ドリームワークス対円谷プロ

ことし、全米は宇宙侵略ブーム! で、6月から始まるテレビシリーズ "Falling Skies" も期待大なんだけど、キービジュアルにどこか見覚えがあると思ったら……。 『ウルトラマン タロウ』のZAT基地だ。

『アンストッパブル』 映画感想 - 極上のシンプルさ

あらすじ:列車が暴走したので止めることにした。以上。 これがムチャクチャ面白い。冒頭いきなり暴走が始まり、あとはずっと止めるだけ。ありがちなロマンスやちょとしたミステリーなんかは無く、明確な悪役も出てこない。ウィットの利いた(その実中身のな…

『イングロリアス・バスターズ』 映画感想

タランティーノの映画って、別に作家性がわかるほど見てなくて、ネットじゃあれほどウケのよかったキル・ビルも観てない。タランティーノ経験値が不足しているせいか、観終わって、どうも釈然としない映画だった。 ユダヤ人の溜飲を心底下げさせるようなナチ…

『2012』 映画感想

久々にデカい映画だ。エメリッヒの『インディペンデンス・デイ』は素晴らしい映画だと思っているので、あれを超えるエメリッヒ映画は二度とあるまいと思いつつも、数年に一度、彼のあの映像と“モラル”が見られるかと思うと、うきうきと足を運んでしまう。以…

『チェイサー』 映画感想

かなり前、『スター・トレック』の前あたりに観た韓国映画。事件に巻き込まれ失踪した売春女性を追いかける風俗店オーナーの話。今年のベスト1かも知れない。 これは愛の映画だ。主人公は、女という“商品”を回収し自己の利益を守るために、その女を追いかけ…

海外ドラマ: LOST 第27話『漂流』

いましがたチャンネル回しててちらっと、このエピソードのラストシーンが写ったんだが、ジンスの韓国語が、吹き替え版にもかかわらずかなりサマになってて驚いた。というか、韓国語から日本語に移ると、なんか韓国語訛りの日本語みたいに聞こえる! これはび…

海外ドラマ: 『ターミネーター: サラ・コナー クロニクルズ』観る前から残念感あふれる状況に

遅いフォローだけど、『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』はどうも現状シーズン2で打ち切りっぽい。まあ次シーズン製作にGOが出るまで間がある事もけっこうあるみたいなんで、まだ可能性がないわけじゃないけど、放送中からけっこう評判わるかっ…

海外ドラマ: ロボコップ:プライム・ディレクティブ

2000年に作成されたミニシリーズ。“ダーク ジャスティス”,“メルトダウン”,“リザレクション”,“クラッシュ&バーン”の4話構成。 ――ロボコップ開発から10年が経った。開発元の総合企業オムニ社(OCP)は、人工知能による行政サービスの完全自動化ソリューシ…