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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

海外ドラマ: Law&Order 8-13話 "Castoff"

――ソーシャルワーカーの女性の銃殺死体が発見され、更に女装した中年男性が自室のベッドで発見される。容疑者は被害者の共通のセックスパートナーだった。異常なセックスに溺れた彼は、更なる快楽のためにパートナーを次々と殺してまわっていたのだ。第1級殺人に問う検察の前に立ちはだかったのは、自分の理論を確かめるためあえて殺人鬼を弁護する法学者だった――


Law&Orderでは、エピソードの前半を刑事たちを主人公とした捜査パート、後半を検事たちを主人公とした法廷パートとして、ひとつの事件を描写する。捜査パートでは、他の刑事ドラマに比べ刑事たちの個人問題の描写などが押さえられている分、捜査の手法・技術といった、専門的な部分がよくクローズアップされる。

一時期は検死する医師がレギュラー扱いになってたぐらいで、死体の解剖や弾痕の調査、自動車の傷の調査と、警察の中にあるさまざまなプロフェッショナルとその手法を観ることが出来る。おなじニューヨークの警察署を舞台に指定ながら、『NYPDブルー』の捜査シーンではなかなか観られない描写で興味深い。まあ NYPDブルー はスラム街の貧乏署が舞台で、焦点となる犯罪の質も違うんだけど。

今回のエピソードで出てきたのは、乱交パーティを撮ったビデオのスチルから部屋の位置を割り出す映像専門化。彼は画像解析ソフトと手製の図を使って、窓の外から観えるビルの角度やカメラの位置を計算し、ビルの何階で撮られたかまで推定する。こういった専門的な描写がキチンと描けてるから、ドラマにぐーっとリアリティが出るし、捜査の描写に面白さがでると思う。

後半の裁判パートもバリエーションに富んでいる。今回のエピソードでは、真の動機や真犯人が暴かれたりするわけではない。全く別の問題が提起され、それを使った法廷戦術がドラマとなるのだ。「犯罪とテレビの暴力描写の関連性」という、まあ唐突だが大きな問題である。死刑はほぼ確実の被告に、有名な法学者が弁護を名乗り出て自分の理論を展開する。最終弁論シーンにかなり時間が割かれ、両者の筋のある弁論が展開される、なかなか見ごたえのあるものとなっていた。

捜査+裁判という決まったフォーマットを持つドラマだが、エピソードによってその中身は相当違ってくる。実に奥の深いスタイルだと思う。