farsite / 圏外日誌

Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

2017-01-01から1年間の記事一覧

スター・トレック:ディスカバリー - 世界の全肯定が生んだ新しい物語

2017年イチ推しの作品と訊かれれば、『スター・トレック ディスカバリー』を上げるしかない。それは私が長年のスタートレックファンだからで、とても客観的な評価とは言えないのだけれど、このシリーズが表現して見せた世界、宇宙には、心底感動した。ものす…

『ダンケルク』ウンコの呼んだ夢と現実の物語

第二次大戦中に実際に起こった英軍の救出作戦を描いた『ダンケルク』。すごい。本物のスピットファイアすごい。ユンカースの爆撃音すごい。人を満載にしたV級駆逐艦(に装ったシュルクーフ級駆逐艦)の画面いっぱいの巨体、すごいすごいすごい! ああ、プラ…

セルフリッジ 英国百貨店 シーズン3 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った、英国ドラマ『セルフリッジ 英国百貨店』(原題: Mr. Selfridge)おおむね140文字エピソードガイド&感想 シーズン3(全10話)。 あらすじ 第一次大戦終結から間もない1919年、ロンドン。戦時中に進んだ女性の社会真しゆつは復員兵の失業に…

秘密の森 - 海外ドラマレビュー & キャラクターガイド

Twitterを使った韓国tvN制作のドラマ『秘密の森』おおよそ140文字エピソードガイド&感想。 あらすじ 検察官ファン・シモクは、建設会社社長パクから呼び出され彼の家に向かうが、そこには死体となった彼の姿があった。竜山署の刑事ハ・ヨジンと共に犯人を追…

『ライフ』 - 真田広之がとにかくいい映画。

真田広之がとにかくいいわけですよ、この映画。端正な英語演技、記憶に残る存在感、かといって主役を喰うわけでもなく。人種でどうこう言うのは苦手だけど、真田せんせいは過去多く演じてきた「ミステリアスなアジア人」から一歩進んで、ハリウッドトップク…

映画『ウォー・マシーン 戦争は話術だ!』 - 「情けない」おはなし

観終わって、なるほどと感心した。こういう映画はNetflixだからこそできたのかもしれない。ド派手なブロックバスターとも、単館系の物語映画とも、あるいはテレビサイズのドキュメンタリーとも違った、特異な手触りだ。 あらすじ 部下からの信頼も厚いアメリ…

映画『ある決闘 - セントヘレナの掟』 - それは神話か、という話

一癖あると聞いて観に行った西部劇『ある決闘 - セントヘレナの掟』、なるほどちょっと毛色が違った。物語の大枠は連続殺人の潜入捜査、描き出すのは神話の誕生。 あらすじ 19世紀末、南北戦争の混乱が尾を引く米国テキサス州で、リオ・グランデ川に多数のメ…

映画『パトリオット・デイ』 - 真実の物語、偽物は誰だという話。

観終わって調べてみて、びっくりした。これ、M・シャラマンの『シックス・センス』並みの叙述トリック作品じゃないか。ボストンマラソン爆弾テロ事件を、状況も登場人物も現実に極限まで近づけて描いているのに、肝心のあるものだけが、現実じゃない! いや…

映画『ローガン』:殺しすぎではという話。

2000年から続いたX-メンシリーズ*1。その事実上の締めくくりとなる作品が、まさかの外伝だと思ってたこの『ローガン』。とにかく泣けるわけだ。あらゆるシチュエーションが。 あらすじ 時に2024年。21世紀初頭のミュータントの発生はすでに過去のものとなり…

ウエストワールド シーズン1 - 観ていた景色が崩壊するアンドロイド・サスペンス

Huluで配信中の『ウエストワールド』は、1983年に公開されたマイケル・クライトンの同名映画を翻案した作品。いまの時代、人工知能テーマなんてよっぽど巧く描かないと白けるだろうと思うんだけど、本作はサスペンスとしての仕上がりが凄まじくて目が離せな…

食い意地:新宿駅東口あたり『ゴーゴーカレー』の暗黒近未来カレー

月一で新宿東口あたり(ビックロの裏のごちゃっとした界隈)に用事があって、いつも昼過ぎにいくんだけど、そのたびにゴーゴーカレーに入ってしまう。もうほんと、中毒。すごい店ですよここは。 店の中は外から見て不安になるほど暗い。店に入ると正面に券売…

映画『メッセージ』 - 我々自身、何をどう理解したのかというはなし。

テッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』を基に、異星人とのコンタクトとコミュニケーションをこの上なく真摯に描いた『メッセージ』。これはある意味、スルメのような映画だ。見どころは物語のクライマックスで訪れるSF的な衝撃だけじゃない。むしろそ…

ゴースト・イン・ザ・シェル - 必要だったのは美術でなく情報という話

『攻殻機動隊』の映画版。カットカットではすごく「らしい」絵が見られるのに、全体を通して、何でこんなぼんやりとした印象なんだろう。思い至ったのは、美術のディレクションだ。 優秀なアーティストによって過剰なまでに装飾された近未来都市やサイバース…

食い意地:練馬 蕎麦『ふる井』

休日、久々に練馬を散策したので、豊玉の蕎麦『ふる井』で昼から蕎麦飲み。 駅から遠く、自動車で来るようなお店でもなく。小さくとても良質で、近所の人が続々と集まる、たいへん良いお店。 お昼のセットメニューはよいものがそろっているけど、夜メニュー…

『沈黙 -サイレンス- 』 キリスト教の映画としてではなく。

原作を読んだ記憶はあるものの、ぼんやりとしか覚えていない『沈黙』。映画版を観る前に再読しようと思っていたけれど、その前の下敷きとしてWebで勧められていた講談社選書『潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆』を読み始めるとこれが存外に面白く、…

レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー シーズン3: シーズンレビュー&おすすめエピソード

レイ・ドノヴァン 第3シーズン 各エピソードガイドはこちら。 farsite.hatenablog.com レビュー 『レイ・ドノヴァン』はその世界観に強い一貫性を持ったシリーズだけれど、毎シーズンけっこう趣向を変えてくる。今回はフィニーという大きな存在が、非常に大…

レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー シーズン3: 海外ドラマ全話レビュー(ジジイ中心)

Twitterを使った『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』シーズン3、おおよそ140文字全話エピソード・ガイド&感想(全12話)。 本シリーズはジョン・ヴォイト演じるミッキー・ドノヴァンのキャラが最高すぎるので、文章を更に140文字追加して彼の見せ場も書き…

北千住『びあマ』のクラフトビール

実はビールはそれほど得意ではないのだけれど、友人に「一人では飲めないビールがある」と言われて、はるばる北千住まで行ってきた。ときわ通りの歓楽街にある『びあマ』。 角打ちというか、いまはワイン屋さんでもある業態だけど、お店と立ち飲みカウンター…

『マグニフィセント・セブン』ヴィンセント・ドノフリオのきちがい演技!

『荒野の七人』のリメイク作品。当然ながら日本では『七人の侍』とも関連付けられるけど、実のところ『オーシャンズ11』のようにバラエティ豊かな面々が活躍する、よりスタイリッシュで今風の娯楽映画って感じ。 なんせ主人公がデンゼル・ワシントン。黒人カ…

『ガンダム Gのレコンギスタ』 人と人とを引き寄せるビーム

こちらの記事を読んで、『Gのレコンギスタ』の思い出がまた色々とよみがえってきた。 nextsociety.blog102.fc2.com 富野監督は、世界を表現するあまりドラマが描けていなかったとおっしゃるけれど、その世界に入り込んで観るものにとっては、十分なドラマだ…