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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

海外ドラマ: Law&Order 性犯罪特捜班 4-22話『最後の切り札』

FOXの日曜あさの3話連続放送がきょうは無くて(ドクター・ハウスだった)、ちょっぴりがっかりしてたら、夜はFOXプラスで2話連続がやってるのね。FOXプラスは、FOXクライムとかの有料放送が観られないひとのためのお恵みチャネル。HD放送なんで嬉しいんだけど、いまいち観る機会がないんだな。

――4人をレイプした容疑で、平凡な男が逮捕される。無実を主張する容疑者は、彼を信じる女性弁護士と組んで必死の戦術で法廷に挑む。彼は、彼自身が弁護士として法廷に立つことを選んだのだ。検察側の証拠はたったひとつの指紋と、4人のうち1人の面通しでの証言のみ。彼を逮捕した刑事オリビアと起訴する検事アレックス、4人の被害者と、彼女らのカウンセラーの戦いが始まる――

このエピソードでは男性のレギュラーキャラの登場が大幅にカットされ、登場キャラクターの殆どが女性になっている。唯一の男性は、容疑者のみ。ミシェル・ファゼカスとタラ・バターズの女性脚本家コンビは、このエピソードを一人の男性犯罪者に翻弄される、“女性たちの物語”に仕立て上げた。

  • リビア(刑事)……被害者たちの苦悩に共感するあまり、捜査を急ぎ、強引な手法をつかう。それがまた、被害の拡散を招いてしまう。
  • アレクサンドラ(検事)……少ない証拠から有罪を導き出すため戦略を練るが、被害者や刑事たちとの協調関係が築けず、常に苦戦を強いられる。
  • 4人のレイプ被害者たち……立件後も容疑者と対面し続け、またあやふやな証言が冤罪を引き起こし、真犯人を野放しにするのではないかとおびえる。やり場のない怒りをかかえ、自分たちを責め続ける。
  • メリンダ(レイプ・カウンセラー)……レイプ被害者たちの信頼を守り二次被害を防ぐため、法廷に逆らっても被害者たちとの会話を秘匿しようとする。
  • エリン(容疑者の弁護士)……あまりの証拠の少なささから冤罪を確信し、法廷戦術を駆使して検察と争う。
  • プレストン(判事)……容疑者と検察の戦いを、常に一歩引いた立場から観察し、公正な正義を求める。

彼女らは、それぞれの立場でみな戦い続ける。そしてこのなかの一人が、また犠牲者となり、物語は終わる。たったひとりの平凡な男の振りかざす“性”によって、人生を振り回される女たちの辛さと怒り、そして虚しさ。身を裂くような感情が伝わってくる。