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ハウス・オブ・カード 第2話:海外ドラマレビュー

エミー賞での評判も良いNetfrix制作のアメリカ政治ドラマ、第2話は流れるように陰謀が進んでいく。主人公フランクが繰り出す策略はドライブ感があり観ていて快感だ。更にクセのあるキャラたちも、フランクの周辺で動き出す。

エピソードガイド

レビューリンク

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あらすじ

ホワイトハウスへの逆襲を進める下院議員フランク・アンダーウッドは、成功を逸る新聞記者ゾーイ・バーンズを通じ、政府の左派寄りの教育改革原案をリーク。法案作成担当の議員をうまく懐柔し、後任の座を得る。

一方フランクの妻クレアは、自分の保有するNPOにガス企業サンコープ社からの援助がなくなったことを理由に、大胆なリストラを行う。サンコープ社はフランクの大きな献金元だが、彼が国務長官候補から外れたため支援の効果を疑問視し始めていた。

フランクは腹心ダグ・スタンパーと共に、弱みを握っている若手議員ピーター・ルッソを手駒として使い、現在の国務長官候補マイケル・カーンを追い落す。

フランクはバーンズに、自分の息のかかった人物の名前を国務長官候補として報道するよう伝える。ふたりの共謀関係は確実なものとなり、いよいよ歯車が回りだす……。

感想

概要:順調さの裏にうっすらと差しはじめる陰

f:id:debabocho:20131014172521j:plain第1話に続き、フランクの策略が息つく間もなく繰り出される。緊張感のあるBGMが流れ続け、最後までドライブ感が維持される。フランクの言葉やポーズのひとつひとつが相手の心に突き刺さり、思い通りの結果を引き出していくのを見ていると、満たされるような快感でこちらまでニヤニヤしてしまう。

ダークヒーローとして見事な活躍のフランクだが、彼の足元に見え始める不安の種も見逃せない。妻のクレアには彼女自身の野望があるように見えるし、ふたりの資金の鍵となるサンコープ社の存在感も、丈夫の黒人ロビイスト、レミー・デントンの姿を通して印象付けられる。ヤク中のルッソ議員の動きも不安だ。

そして、朝ジョギングをしていないと嘘をつき夜中にジョギングにでるクレア。ふたりの夫婦関係にも、なにかきな臭さを感じる。

みどころ:フランクとゾーイの共謀関係の確立

今回のエピソードで話の流れがバシっと決まるのは、深夜の地下鉄駅のホーム、フランクが3本目のリークをゾーイに渡すシーンだ。どんな効果をもたらすのかゾーイにはわからなかった前の2本のリークと違い、今回のリークは、むしろ明確な結果を作り上げるものとして、彼女に渡され、彼女もそれを理解する。ゾーイが陰謀の主体的なプレイヤーとなり、フランクと並び立つ瞬間だ。

欲望にまみれた謀略と交渉のドラマだが、フランクの視聴者への語り掛けという手法をうまく使い、どこか寓話めいたシーンも挿入される。第1話の無駄な痛みに苦しむ犬がそうだった。今回は誰にも聞かれない叫びを上げ続ける浮浪者が、彼の前に現れる。

そして終局、クレアから健康のために渡されたホームジムのマシンで運動を続けるフランク。マシンのバネは、彼が動くたびに巻き取られ、また伸びる。いつか切れることを予感させながら。

 

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