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『アンストッパブル』 映画感想 - 極上のシンプルさ

あらすじ:列車が暴走したので止めることにした。以上。

これがムチャクチャ面白い。冒頭いきなり暴走が始まり、あとはずっと止めるだけ。ありがちなロマンスやちょとしたミステリーなんかは無く、明確な悪役も出てこない。ウィットの利いた(その実中身のない)セリフの掛け合いも排除され、むしろ思い切った説明ゼリフばかり。その間映像は、複雑なシステムの上で動く巨大な重機を、みっしりと濃い密度で映し出す。蒸気を纏った機関車の凶悪な存在感が、3D映画よりもよほど立体的に伝わってくる。

そんな説明セリフと地に足のついた絵作りが、パニックシーンになると俄然効いてくる。考えてみりゃこの列車、ほとんどCGで描かれてるのだ。ヘリからの飛び移りや障害物を弾き飛ばすシーン、カーブで片輪走行になって貨物を落とすシーンなど、みんなCGI。でも従前のリアル描写ですっかり絵に引き込まれてるから、まったく違和感なく没入できる。予告編でたっぷり見て、オチだって分ってるハズなのに、まったく飽きずにずーっとハラハラしっぱなし。無駄の削ぎ落された見事なパニック映画だった。

余談。CG以上に驚異的だったのが、デンゼルとクリスパインの歯の白さ。どんなに薄汚れた格好でも歯は輝く。ふたりあわせて3万カンデラはあったんではないだろうか。夜なら前方100mを照らせるレベルである。

 

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