あーちくしょう。買いなおしてしまった『グリーンマーズ 下巻』。1000円以上すんねんであれ。今週はもうテレビブロス買うのも無しじゃ! てなわけで某ターミナル駅の巨大書店でいまだ平積みされているグリーンマーズ上感3冊の隣りがぽっかり開いているのを見かけたら、その最後の1冊を買ったのは私です。つうか他に2人も下巻だけ買ったヒトいるわけ?
ちなみに同時読みだった『エンディミオン』はとっくに読んでしまった。あれはなんというか、美しい物語の方程式を読んでいるようだった。キャラが適度かつ適切にステレオタイプで、特に「宇宙船」の宇宙船としか言いようの無い性格と“リアクションのされ方”は、データ少佐とか大好きな人間にとっては布団の中で奇声を上げながら足をバタバタ、軽く170回はできる(←この布団内足バタバタ or 体ゴロゴロ回数は、このテの現象の単位として使えるような気が)。
作品のおもしろさのウェイトが、アイディアよりもキャラクターとストーリーテリングに大きくに傾いてるわけで、そういう尺度では純粋にSFというよりもファンタジーのおもしろさに近いかもしれない。しかしながら、作中のSFガジェットもさる事ながら各所で語られる、ヴァチカン教会、テイヤール思想等、いま我々読者のいる世界・地球のものが未来に向かって“繋がっている”感触、或いはその繋がっているモノの変化のダイナミズムは、まさにSF独特の面白さだと思う。
しかしまあ、上下2巻のこの文庫、読んでるさなかから「薄い!」と思えてしかたがなかった。無論物語の真のオチは次作『エンディミオンの覚醒』でつくんだけど、今回一直線のクエスト物語なわけで、もっと色んなテラフォーミング崩壊後の殖民惑星を回って、色んな冒険を見てみたかった。もっとキャラクターたちと一緒にいたかった。ヴァチカンだけでなく色んな“繋がってるモノ”を見たかった。シモンズはかくも引力のある世界を作りあげたものよ。