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Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』 映画感想

今年の年貢を納めてきた。『ゴジラビオランテ』以来、なんだかんだで毎年のように納めている怪獣人生。毎年まいとしダメ映画だとわかっているのに、どうしても観てしまう。どんな怪獣映画にも、必ず一片の怪獣への想いがあり、観るべき絵、観るべきSF性があるからだ。

『大怪獣バトル』という、民放BSで放送されたテレビシリーズは、なんやしらん子供向けゲームの販促のために『ウルトラファイト』を現代によみがえらせた恐ろしくチープなシリーズだったけれど、これが何をやってたかというと実は『ウルトラ版スタートレック』だった(すっごい好意的に捉えて!)。

はるか遠未来、人類は自らの宇宙船で星々を旅するに至った。主人公の宇宙輸送部隊は、惑星で怪獣や異星人と出会い、戦う。面白いのがこの異星人の扱いで、旧作では圧倒的な侵略者であった様々な星人が、対等に戦える、そして交渉できる相手として登場する。ここにほのかなスタートレック臭がする。これまでの価値観が変化し、惑星間外交という概念が子供番組ながら成立した。この一点だけで、このシリーズは意味があった。

そしてこの映画が何をやるかというと、ウルトラ版『スター・ウォーズ』(すっごいすっごい好意的に捉えて!)。

『大怪獣バトル』の世界観で、人類はついにウルトラマンの母星にまで到達する。過去のシリーズでは“神に等しい存在”だったウルトラマンが、この世界観で初めて、独自の文明をもち、また弱さももった、ひとつの文明として描かれることになる。そして、ついに人類が“ウルトラ文明を救うために”戦うことになる。これは物凄い視点の転換だ。このためだけに、やる価値があった。

ただ、じゃあ映画として他のウルトラ映画に比べても面白かったかっつうと、まあそんなことはない。オールスターで大冒険を繰り広げるのだが、複数プロットの処理はヘタだし、似たような格闘アクションばかりでダレる。アクションの処理も未熟(特にウルトラマンが飛行するとき)。いつもと違う映画だったけど、やっぱり面白くはなかった。

でも、そんな不器用な映画の根底には、上記の驚くべきSF的視点の転換があるし、いくつかの目を見張るビジュアルがある。だから年貢を納め続ける。

 

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