今年の3月のはなし。なんかジャンクなものを食べたくなって、散歩がてらタコスを食べに行くことにした。Google Mapで三軒茶屋周辺を「タコス」で検索すると数件ある。1件は行ったことのあるメキシカンだったので除外して、郵便局の近くにある店に行くことにした。
ここは三茶というより、上馬の商店街なんだろうな。少し寂れた感じがありつつも、コ洒落た若い店も何点か生まれている。一角にブルーに塗られたオープンカフェ風の店がある。そこが『ロス・タコス・アスーレス』
メニューを見ると、タコスの種類が10種類以上。タケノコとかもある、1つ300円台から、高いと1000円程度。この時点では、単品か2個セットで、よくある大きさ、よくある具材にちょっと変わったトッピングを施したものが出るんだろうなと思っていた。
とはいえ1人前のサイズ感も分からないし、お店の人にお勧めを聞くと「初めての方には5個セットをおすすめしています」と。しかしその値段が2,600円で、ここでおやっと思う。さすがにタコスで、いや通常のランチメニューでこの価格は少し高い。
しかしこのときは気が乗っていた。完全にタコスの舌になっているし、ちょっと豪華な休日ランチだ。いっちょ試してみるか。で、待つこと数分。
「一品目、アボカドのタコスです」と言って、トン! とテーブルに置かれたのがこれ。
寿司みたいなタコスが来た。黒いトルティーヤに、アボカドが一切れ乗って、パラっと塩をまぶしてあるだけ。
しかしこれが美味い。びっくり。コーンの香ばしいトルティーヤにはしっかりとしたコクも感じられ、アボカドの青臭さを補いつつもちゃんと引き立てる。ほんと、江戸前寿司みたいなタコスだ。
日本の旬のものを取り入れたタコスも出る。菜の花のタコスは、よく見ると唐辛子も和えられている。これをスッキリした青いサルサをつけて食べる。ジューシーで、苦味と程よい酸味が混ざり合う。
肉詰めされた辛くないチリを揚げたものが、ごろんとのっかったタコス。見ての通りで喰いでがある。ほくほく。うまい。
肉のタコスは大ぶりにカットされ、こちらも十分な食べ応え。おいしいものを求めるときに、“素材の味”という表現を使うのは好きではないのだけれど、今回はほんとうに一品一品、シンプルでユニークな、素材を活かした味を楽しめた。
ファストフード的なタコスとは一線を画す料理だったが、朝から感じていた「タコスを食べたい」という欲求はきちんと満たされたし、そのうえでこんな鮮烈な料理にありつけるとは、なかなかの経験。
パンデミックということで、夜のコース料理は出していないようだ。そのぶん「朝タコス」として、このモーニング兼ランチコースが朝9時から楽しめる。金額的にも、ひとり5千円を上回るような価格帯じゃない。朝からちょっとだけ、良い思いをしたい、そう思ったときにまた来たい。おいしかった。
r.gnavi.co.jp