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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

X-ファイル シーズン4 海外ドラマ全話レビュー

海外ドラマ ジャンル:SF ジャンル:ホラー

Twitterを使った『X-Files』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第4シーズン。

あらすじ

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人々を裏から支配する政府の陰謀がいよいよ明らかになる。しかしそれは異星人と関連があるのか? UFO信仰を利用され政府に操られていたのではないかというモルダー捜査官の疑念は深まる。一方スカリー捜査官も陰謀組織に植え付けられたガンが再発。生命の危機の中で、己の信仰と向き合うことになる。カルト宗教や異常犯罪者、そして超常現象との対峙の中で、何を信じるべきか、そして信じないべきか、ふたりの心は揺らいでいく……。

レビューリンク

| Index | シーズン1 | シーズン2 | シーズン3 | シーズン4 | シーズン5 | シーズン6 | シーズン7 | シーズン8 | シーズン9 | シーズン10 |

 

エピソード・レビュー

4-1『支配者』

手かざしヒーラー完結編。天然痘ワクチンによる国民管理計画、謎の植物に殺人蜂、妹のクローン、国連、万能兵士のすごい能力と、シーズン開始のネタばらまきエピ。さすがに馬鹿なと思える設定でも、普段のエピが粒揃いの馬鹿なのでさほど気にならない。★★★★

4-2『ホーム』

グロテスク系エピ。外界との接触を断った伝統生活をつづけた一族は、近親交配で外見も知能も……という日本じゃとても映像化できない話を、正面切って化け物屋敷ホラーとして描く。番組慣れしてくると、この外したテンポと奇妙な家族愛の描写が微笑ましく感じる。★★★★

4-3『メラニン

黒人の色素が抜けて真っ白に! またもギリギリのラインを攻めるエピ。人種差別や移民が絡む社会問題エピかと思いきや、話はアフリカの部族の精霊話に。よく言えば先が読めない展開、悪く言えばテーマが定まらない。HD化でアルビノ黒人のメイクまでくっきり。★★★

4-4『アンルーヘ』

解離性障害を患う殺人者は、念写能力を持っていた。彼の精神を写真を通して描きだす。意外と初期作に近いスタンダードな作りだが、鍵となるのが曖昧な念写なので、展開に合理性が乏しいのは残念。久々にモルダーのFBIらしい捜査指揮が観られるのは嬉しいが。★★★

4-5『追憶』

お題は前世の記憶。多重人格障害のなかに前世の人格を入れたのは上手い。さらにそれがカルト宗教の集団自殺まで繋がるが、中盤はモルダーの精神宇宙への旅が始まってしまうので、少々もったいない気が。前回に続き神秘主義に傾きすぎな内容で辟易する面も。★★★

4-6『整形』

美容整形病院を舞台にしたスプラッタホラー。何が凄いってこのネタを悪魔に魂を売り渡した暗黒医師対退魔師に仕立てたこと。中盤はエクソシストさながらでSFXに見応えあり。ありがちなオチはむしろ心地よい。大塚芳忠一城みゆ希高島雅羅と声優も妙に豪華。★★★★

4-7『紫煙』

肺がん男ことタバコの男(二つ名になってない)の半生を追うという番外エピ。とんでもない偉人を暗殺し歴史を裏で操って来た彼の趣味は、ヘタな小説書き! 彼の渋いイメージが瓦解し、ラストは爆笑必至のフォレスト・ガンプパロディ! 最低? いや最高でしょ!★★★★★

4-8『ツングースカ 前編』

隕石に見つかった謎の生命ブラックオイルの謎を巡り、NASAからロシアへ飛ぶモルダー。ノリ重視な展開で話の風呂敷が広がって楽しいが、クライチェックの絡み方などけっこう強引な部分も多く気になる。しかしタコ部屋労働でUFO掘りってあんた。★★★

4-9『ツングースカ 後編』

ロシア強制収容所からモルダー必死の大脱走。警備がザルだったりとかいろいろ粗はあるが前半の緊迫感はなかなか。劇的生還を果たしてからの後半はいつものぐたぐたで、もどかしさが募る。だいたいモルダーあなた黒い生物に取りつかれたのでは? ★★★

4-10『ペーパー・ハート』

幼児性愛の異常犯罪者と対峙し妹の真実を求めるモルダーを、不思議の国を彷徨うアリスに照らして描く。超常現象はほぼない濃密な会話劇。陰影深い映像も美しく、ラストの廃バス置き場は見事。犯罪劇、人間ドラマとしてのX-ファイルのひとつの頂点。★★★★★

4-11『カビ』

メキシコ国境の不法移民の村を舞台に語られる愛憎の行方、謎のカビと妖怪、そして社会問題。セリフの大半がスペイン語で、吹替え版はなんと字幕なし、日本人声優がスペイン語を被せるという途方もないお遊びが。物語も中南米のテレビ小説スタイル。割り切って笑え。★★★★

4-12『腫瘍』

ロクな死に方しないキャラとして『ロボコップ』や『ER』で有名なポール・マクレーンが首刎ね、焼死、感電死と都合3回死んでくれる一部マニア垂涎のエピ。王道のフリークショーで、人体欠損・再生のSFX、VFXは心地よいグロさ。思わぬ伏線もあり見逃せない。★★★★

4-13『タトゥー』

お題は入れ墨の魔力。前話の出来事で不安を抱えるスカリー。モルダーに苛立ち、独り捜査で味わう自暴自棄の体験が、更に彼女の心をかき乱していく。スカリーの心理を描いたエピとして屈指のでき。二人の同僚とも恋人とも言えない関係に、明確な楔を打ち込む。★★★★★

4-14『メメント・モリ

癌の発病が明白となり治療に臨むスカリー。その原因は過去の誘拐事件と関連が……。癌という普遍的な病と向き合う人間の心理が巧く織り込まれ、これまでの伏線エピよりシナリオも演技も一段上。モルダーの潜入スリラーもありエンタテイメント性も高い。★★★★

4-15『魂のない肉体』

ユダヤ人コミュニティに対するヘイトクライムと、ユダヤの鉄板怪異ネタ、ゴーレムを織り交ぜ、哀しい愛の物語にまとめ上げる。なかなか剛腕のシナリオだが、スタイルは初期シーズンに近い比較的緩急の少ないもの。テーマに合っているような力不足のような。★★★★

4-16『P.O.W.』

ベトナム戦争の見捨てられた捕虜、その生活で彼は人の盲点に入り込む能力が……。まるで漫画ヒーローの特殊能力だが、これが哀しい復讐の物語になる。軍の陰謀も微妙に絡むのが巧い。最後、スキナー副長官にモルダーが投げかける言葉はずしりと来る。★★★★

4-17『MAX 前編』

久々に直球勝負の異星人陰謀エピ。陰謀といえば飛行機墜落! UFOとの接近遭遇! ワクワクさせるオープニングから見事な墜落現場のオープンセット。プロットの運びは少々強引だけどそれはいつものこと。オチも衝撃のご対面でインパクトたっぷりの前編。★★★★

4-18『MAX 後編』

前編の伏線が一本にまとまり、飛行機事故で何が起こったかが明らかになる。迫真のパニック映像に目が釘付け。そこからのモルダーの行動もまた見事! 真実に一歩近づき、でも触れられないそのもどかしさ。そこに奇妙な安堵が同居するラストは完成度が高い。★★★★★

4-19『凍結』

殺人を予言する老人、凍った遺体、学者の発明。謎の連鎖が行きつく果ては、文字通り驚愕の真実。久々にSF濃度高めで、ダイナミックな理論の飛躍が観られる一編。シナリオ構成や演出はいつものクオリティだが、真面目な顔で大法螺を吹く内容にニコニコしてしまう。★★★★★

4-20『スモール・ポテト』

ある街でしっぽの生えた子供が5人連続で産まれる。父親は誰だ? お題はシェイプシフター。陰謀組織絡みかと思いきや完全に独立したドタバタコメディ。モルダーに変身した男を演じるドゥカヴニーの楽しそうなこと! しかしこれ法定強姦罪だよなあ。★★★

4-21『ゼロ・サム

スカリー不在、スキナー副長官を主役に据えたエピ。焦点は謎の蜂と天然痘ウイルス。セリフのない謎めいた出だしから次第に陰謀が明らかになってくる手の込んだプロット。スキナーの心理描写も巧く緊迫感が続く。連続エピのできも前シーズンから格段に上がった ★★★★

4-22『哀歌』

なんとストレートな幽霊譚。知的障害を持つ男性とその周辺で、次々と人が殺され、その霊が目撃される。霊の表現は突飛過ぎず古典的すぎず、色彩といい造形といい非常に美しい。スカリーの癌とも絡め、なにを信じるかというテーマでまとめたストーリーも巧い。★★★★

4-23『フラッシュバック』

前回の幽霊譚とは対をなすように、今回は超常現象でなく塩酸ケタミン中毒による記憶障害という現代的な問題を描き、モルダーの過去を見つめなおす。地味目なテーマでも飽きずに最後まで見られたが、もうひとつ山なりどんでん返しなりが欲しかった。 ★★★

4-24『ゲッセマネ

タイトルはキリスト教の最後の晩餐の地。過去2話の出来事が実は伏線となり、モルダーの真実に対する認識を揺るがす。が、しかし簡単に揺るがされちゃうものかね、モルダーは。エイリアンの解剖が特撮の見どころだが、HD版で画質が上がるとチープさが……。★★★

 

まとめ

総ポイント数

93 / 120

平均

3.88

感想

いよいよ面白くなってきた! ★の多いエピが増え、高いクオリティが維持されている。なにより良かったのは、前後編の陰謀ストーリーエピで非常に満足度の高いものが見られたこと。17話・18話『MAX』は、飛行機墜落現場のSFXから最後の余韻まで、素晴らしい物語だった。

それ以上に高品位だったのは、モルダーとスカリーの心理に切り込んだエピ。題材はリアルな異常犯罪からまったくの怪奇現象まで幅はあるが、それらをうまくキャラの心理に絡めて、ぐっとくる物語が展開される。

トンデモギャグ系のエピもなかなか充実。これまでずっと謎めいてシリアスな存在だったタバコの男の過去を思いっきりギャグに振った7話わ忘れがたい。SFファンには凍結した死体の原因をめぐり理論の大暴走が見られる17話が通好みで爆笑のエピ。

第4シーズンの『本筋』

X-ファイルの本筋である「異星人と政府の陰謀」という連続ストーリーに属するエピソードは、1話、7話、8話、9話、14話、17話、18話、21話、24話。

メモ

4-17話、飛行機墜落事故現場のセットはすごい。尾翼の実物大模型、ヘリと重機を入れて、無数のエキストラ。映画並みって言葉は嫌いだけど、最近の映画は大規模災害の現場もみんなVFXで作っちゃうもんね……。