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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

X-ファイル シーズン5 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『X-ファイル』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第5シーズン。 

あらすじ

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いよいよ国家規模の大陰謀が明らかになる。モルダーはこれまでのUFO神話が、すべて国家の秘密組織に偽装され、でっち上げられたものだと知り、ショックを受ける。一旦はそれすらも陰謀だと見抜いた彼だが、政府の思惑で踊らされているという事実は彼を縛り、モルダーはUFO信者ではなく、UFO否定派になってしまう。

一方スカリーは、政府によって植え付けられた人工的な癌、そして人工的な子供から、逆に科学では証明できないなにかを、受け入れるようになる。それは奇跡とか運命と呼ばれるものなのかもしれない。彼女は自分の目を信じ、UFOの存在を信じ始める。

何が信じられるのか? 何を信じるべきではないのか? モルダーとスカリーが遭遇する数々の超常現象が、二人の心をかき乱す。妄想疾患、テレパシー、天使と悪魔。それらはみな、二人に選択を迫る。目にしたものは、真実なのか?

レビューリンク

| Index | シーズン1 | シーズン2 | シーズン3 | シーズン4 | シーズン5 | シーズン6 | シーズン7 | シーズン8 | シーズン9 | シーズン10 |

 

エピソード・レビュー

 5-1『帰還 Part1』

自殺と報じられたモルダーはひそかに国防総省で証拠あさりに。スカリーは謎の細胞と自分の癌の関係を暴きに。巨大な陰謀が存在することが明白となり、それぞれが真実を追い求める過程を描く。展開はテンポも、両主役の表情も良い。シリーズは円熟の極み。★★★★

5-2『帰還 Part2』

癌の悪化するスカリー。モルダーはせっかく偽った自分の死をあっさりバラし、治療薬を彼女に託し査問に向かう。非常に静的で、悪く言えば下り坂を流れるだけのシナリオ。オチも予定調和的だし、モルダーの妹の登場は唐突すぎてまたも無駄遣いの感あり。★★★

5-3『アンユージュアル・サスペクツ

1989年、ボルチモア。ローンガンメンの3人とモルダーの出会い、政府陰謀への最初の接触の物語。ギークたちの正義感と探求心、そして淡い恋心が描かれ、安定感のある展開。『ホミサイド』『Law&Order』のマンチ刑事登場!★★★★

5-4『迂回』

フロリダへ研修に出かけたFBI捜査官たち、ばったりモスマンに出くわすの巻き。キモはモルダー&スカリーの心のちょっとした寄り道。微笑ましい。森に住む赤い目の野人を、若返えりの泉を見つけたポンセ・デ・レオン伝説と掛け合わせて説明する強引さも微笑ましい。★★★

5-5『プロメテウス』

フランケンシュタインの怪物を下敷きにしたポストモダン寓話。HD画質でより鮮明になった美しい白黒映像、シャレに満ちた登場人物、そしてシェールの歌声! そこから浮かび上がるのは、人の外見と内面にまつわる普遍的なテーマ。ハッピーになれる傑作。 ★★★★★

5-6『クリスマス・キャロル

スカリー一家のクリスマスを描く。死んだ姉の言霊に導かれ少女と出会うスカリー。彼女の姉との記憶が幻想的な映像で再現される。聖夜の不思議な物語かと思いきや、最後の最後で驚愕の謎が。まさかの後編に続く! なおモルダーの出番は一言だけ。★★★

5-7『エミリー』

スカリーの遺伝子から造られた少女エミリー。彼女の病を治す方法を探すスカリーと、その背後にある巨大な陰謀に近づくモルダー。前編の静謐な雰囲気を引継ぎながらも、ミステリーとサスペンスは色濃く、切れも良い。謎の老人若返り治療はどう展開するのか? ★★★★

5-8『狐狩り』

3-17話で逮捕された暗示能力者ボーマンが脱走、モルダーに復讐を挑むかに見えたが……? 以前のエピはそれほど感心しなかったので、再登場とは意外。暗示で惑わされるモルダーたちは演技に面白みはあるが、さほど盛り上がらず。真相も取ってつけた感。 ★★★

5-9『分裂』

統合失調症精神分裂病の極端なケースを、正統派ホラーテイストで描く。単なる怪奇モノとして観るとあまりに支離滅裂だが、最後のモルダーの語りどおり親の虐待が子の精神に何を残すかという現実的なテーマを見据えれば、脚本や映像に込められた比喩表現は実に的確。★★★★

5-10『ドール』

一人旅のスカリー、たまたま呪いの人形に出会うの巻。これまたクラシックなホラーネタをコミカルに味付け。スカリーが科学的にまったく説明のつかない現象をひょうひょうと受け流していくのが楽しい。モルダー「スカリー結婚してくれ」は爆笑。★★★★

5-11『キル・スイッチ』

自我を持つAIがネタ。シーズン1にもあったが、時代の変化を反映して今回はインターネットが舞台。ゲストキャラの造形もよく、「アップロード」の概念も取り入れちゃんとSFしてる。キッチュな電脳空間描写に久々豪華な爆破シーンで特撮的にも眼福。★★★★

5-12『吸血』

もしの吸血鬼の一族が存在していたら、現代で彼らはどのように暮らしているのだろうか? 彼らの街に入り込んだモルダー&スカリーを、それぞれの視点で描く。完全にコメディ。観ていて幸せな気分になれる。マッサージ付きベッドにならぶ二人の楽しそうなこと! ★★★★

5-13『ペイシェントX』

久々登場クライチェック、お題はUFO集団目撃に係る骨太の陰謀譚。UFOを信じる心を失ったモルダーと、逆に信じ始めたスカリーと、一味違うキャラ構成でぐいぐい物語を推し進める。直近の2エピソードが2人の心境の変化の理由になっている点も巧い。★★★★

5-14『赤と黒』

UFOを目撃し襲われたスカリー。UFO信仰をやめたモルダーは、再び信念を揺るがされる。「入植者」という単語を軸に陰謀の内側がどんどん明らかになる。ただ全てが「わからなくなった」結末はすこし虚しい。見どころは唐突なクライチェックのキス! ★★★★

 5-15『旅人』

1990年のモルダーが元FBI捜査官を訪れ、1950年代のX-ファイルについて聴く。お題は赤狩りの裏で行われる生体実験。モルダーの父親の関与など陰謀説のアークに属する展開もあるし、よい俳優も出るけど、いかんせん退屈。インターミッション的なエピ。★★

5-16『マインド・アイ』

テレパスの盲人の話だが、何が見えているのかが鍵になる良いミステリー。似たネタは過去にもあったが、抒情的な演出、よい役者が心に残る。終幕、消灯された檻の中に佇みながらも幸福そうな彼女の姿は、幾重もの比喩をまとい美しい。ホロリとくる良作。★★★★★

5-17『万霊節』

雷に打たれ祈るように死んだ少女の謎。完全なオカルトもので、例によってスカリーとモルダーの立場が逆転する。クラシックなホラーテイストの映像は美しく、科学的な解剖から少女の神秘的な正体が浮かび上がるのはゾクゾクする。オチにもう少し納得感があれば。★★★★

5-18『アンダーカバー』

モルダー「UFOコンベンションで陰謀説唱えたらテロリストの仲間にされたでござる」そりゃそうだ。中身は超常現象の絡まない、バイオテロ組織の潜入捜査アクション。謎と策謀、裏切りの連続。最後に見えるのは揺るがぬ「真実とは何か」というテーマ。 ★★★★

5-19『幻妖』

原題 "Folie a Deux"は「二人狂い」つまり感染する狂気。冴えない男の見た昆虫型の悪魔は妄想性疾患の産物なのか、それとも……? 人が精神を病み狂っていく様子を、ホラーテイストでつぶさに描く。最後まで終わらない恐怖は王道で心地よい。★★★★

5-20『ジ・エンド』

読心能力のある子供が陰謀組織に狙われる。スカリーはモルダーの元カノと子供を守ることに。波乱がありそうでそうでもない平坦な展開。映画編を前に一区切りだが、物語的にはスペンダー、タバコの男と重要人物が揃ったのみで、まったく進展も終息もしない。★★★

 

まとめ

総ポイント数

75 / 100

平均

3.75

感想

★5点が少なかったので平均点はシーズン4よりずいぶん低くなってしまったが、全体的な完成度・満足度はシーズン4に勝るとも劣らない。円熟の物語を安定して観続けられる。呪いの人形や吸血鬼など、ストレートな怪談話をうまーく料理したエピソードが増えたのも特徴。特に『プロメテウス』は、その映像センス、テーマ、そして皆がハッピーな気分になれるエンディングと、ユニークですばらしい物語だった。モルダーとスカリーの関係は安定、まったりして、コミカルな会話や状況が最高に楽しい。

第5シーズンの『本筋』

X-ファイルの本筋である「異星人と政府の陰謀」という連続ストーリー(アーク)に属するエピソードは1話、2話、3話、6話、7話、13話、14話、15話、20話。