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farsite / 圏外日誌

Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

X-ファイル シーズン6 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『X-ファイル』おおよそ140文字エピソードガイド&感想、第6シーズン。 

あらすじ

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南極で巨大なUFOの内部にしたモルダー&スカリー。しかしその報告はFBI上層部に受け入れられるはずもなかった。X-ファイルから完全に切り離され、閑職に回されるふたり。ところがモルダーはどこからか奇妙な事件の臭いを嗅ぎつけ、プライベートの時間まで費やして勝手気ままに捜査に首を突っ込むのだった。それに嫌々付き合わされるスカリー。タイムトラベルに精神交換、幽霊、悪魔、幻覚キノコ。二人は様々な奇怪・珍妙な現象に巻き込まれていく。

いっぽう、政府の陰謀組織の活動は転機を迎えつつあった。宇宙からやってきた「植民者」と、それに反逆する者たちの対立という図式が鮮明になり、そのパワーバランスは大きく変わっていく。そしてモルダーとスカリーは、アフリカで見つかった別のUFOから、人類史にかかわる大きな秘密を知るのだった。

レビューリンク

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エピソード・レビュー

6-1『ビギニング』

映画版の続編。ハチに仕込まれたウィルスで人がミュータント化、X-ファイルを解任されたモルダー&スカリーがそれを追う。テレパス少年ギブソンを軸とした盛りだくさんの内容。エイリアンと地球人の遺伝子が共通というのは新たな設定だが、幾分込み入りすぎ。★★★★

6-2『迷走』

X-ファイル版スピード! 何らかの原因で車が止まると脳みそが爆発する人が発生(ばかみたい)。ところが内容はゲストのブライアン・クランストンの演技も相まって良い会話劇、良いサスペンス。虚無感あふれる結末は二人の捜査官との境遇とも重なり満足度は高い。★★★★

6-3『トライアングル』

バミューダ海域でモルダーがタイムスリップ。戦時中の客船のサスペンスとスカリーによる救出劇が、なんとワンカット撮影で繰り広げられる。キャストも総出演。クラリネット・ジャズに合わせた画面分割アクションは最高!テレビ史に残る実験作にして傑作。★★★★★

6-4『ドリームランド 前編』

反重力実験の不可解な事故で、米軍エージェントと心が入れ替わったモルダー。エリア51が絡むシリアスな陰謀エピだが、名コメディ俳優マイケル・マッキーンが偽モルダーを演じやりたい放題。鏡の前のパントマイムにスカリーの尻タッチ! ひどい!★★★★

6-5『ドリームランド 後編』

引き続き姿が入れ替わったモルダーとモリスのドタバタが存分に楽しめる。皆とてもキュートで愛おしい。問題は物語をけん引する根本的状況が何の理由もなく終わってしまうこと。それもSF的といえばそうだが、物語としては低評価にせざるを得ない。★★

6-6『クリスマス・イブの過ごし方』

イブの夜、古びた洋館でモルダーとスカリーが遭ったのは、正真正銘のおしゃべりな幽霊! 完全にギャグ回。幽霊に精神診断される二人のリアクションがたっぷり楽しめる。そしてその分析がキャラに深みを与え、良質な会話劇が見られる。佳作。★★★★

6-7『愛児』

角のある胎児を母親から奪ったのは、悪魔!? もはや科学関係なし。子供のほしいドジな悪魔のドタバタ劇。いやいやまさか悪魔なはずないだろ特殊な遺伝の一族が何かやってるんだろうと思わせて、どんでん返しでやっぱ悪魔だったわアイツ、というのは最高のオチ。★★★

6-8『レイン・キング』

街を干ばつにしているのは誰だ? ついに天候にまで捜査のメスを入れるモルダー&スカリー。内容はなんと恋愛劇。「天候で気分が変わるなら、気分で天候が変わる可能性もある」の一言で、恋愛指南で天候を操り事件を解決する。最高にアホで素晴らしい。★★★★

6-9『S.R.819』

スキナー副長官死亡! その24時間前から始まるサスペンス。スキナーに仕込まれた毒の謎を、モルダー&スカリーがそれぞれの手法で追う。テンポよい展開で緊迫感が心地よい。終盤明らかになったナノマシン開発という大ネタは、陰謀説とどう絡むのか? ★★★★

6-10『ティトノス』

不死の老人が死にゆく人々を写真に収める。彼は死神なのか? UFO捜査にカメラを持たないことで有名なモルダー&スカリーが、カメラと対峙する。ただし今回はモルダーがサポート役。不死の苦しみを描くしっとりとした怪奇譚で、老人の表情が素晴らしい。★★★★

6-11『ファイト・ザ・フューチャー 前編』

タバコの男が独白する、異星人と秘密組織、彼の妻との関係。それは地球を救うためなのか? 王道の陰謀論エピで様々な過去の複線が見事にまとまるが、何分複線が多すぎて妙に感動がない。スペンサーとクライチェックのペアは面白い画。★★★★

6-12『ファイト・ザ・フューチャー 後編』

異星人入植者(コロニスト)と協調するタバコの男らの組織と、離反した顔のない男たちの集団。その対立に決着がつき、大きな転換点となる。後編は物語を決着するためのシナリオで、いまひとつ盛り上がらない。マリタの登場は少々唐突。★★★

6-13 『アグラ・マラ』

一発ゲスト怪物エピ。今週は海底からきた触手モンスター。ハリケーンで水浸しの家屋を舞台にした典型的な密室パニックホラーで、ホラー的な驚きはあるが、それ以上のものはない予定調和的なエピ。X-ファイルの創始者がずいぶん軽い感じで再登場。★★

6-14『月曜日』

同じ日を繰り返す女性をモルダー&スカリーは救うことができるか? SFでおなじみ時間ループもの。ユーモラス&ミステリアスな展開は目を引くが、解決策が”意志の力”というのは弱い。「モルダーあなた若いころ相当アルコールを飲んだんじゃない?」は強烈。★★★

6-15『スイート・ホーム』

高級住宅街で続く失踪事件。その地下には何が? お題はチベットの具現化霊体トゥルパ。モルダーとスカリーがノリノリの夫婦役になって潜入捜査。脂の乗り切ったふたりのコンビ芸を観るためのエピソードで、ニコニコ楽しく観れるが一見様お断りの感も。★★★★

6-16『絶滅種』

中国から密輸された原始犬には、知性と超能力が……。犬1匹追うのに微妙な恋愛話持ち出したりして、ぐだぐだ度の高い展開。だが最後の最後、モルダーの部屋に貼られたポスターで、物語がシリーズ全体のテーマにすとんと落とし込まれる。ちょっとずるいオチ。★★★

6-17『電界』

今週の怪人は分子間力を操作する物質透過能力者。「雷で能力を得た彼は絶縁体は透過できない!」という少年ジャンプみたいな理論が楽しい。透過の際に全裸になる描写が異常さを盛り上げ、印象的なカットもある。取ってつけたようなテーマも逆にホラー作品らしい。★★★

6-18『ミラグロ』

小説家の書いた猟奇殺人は現実を予言するのか、それとも現実が小説を書かせているのか? X-ファイル特有のしっとりした演出・音楽を存分に活かした逸品。官能的な撮影がスカリーの唇を捉え、美を際立たせる。シナリオは退屈とも言えるが、美術のための物語。★★★★

6-19『アンナチュラル』

40年代、差別の時代に活躍した一人の黒人野球選手。彼の正体は……。陰謀物語の中でも超例外、とびきり奇妙でおかしな一篇。野球を楽しむ異星人、KKKの異星人! ところが最後には、マイノリティの生を描いた大きな感動に包まれる。怪作にして傑作。★★★★★

6-20『荒野の三人』

ラスベガスの兵器展に潜り込んだスリーガンメンの前に現れたのは……。5-3話の続編でバイヤーズの恋を絡めたサスペンス。3人のキャラで十分楽しめる物語だが、実はシナリオにはこれといった特徴がない。酔っ払いスカリーが見もの。モルダーは出演なし。★★★

6-21『トリップ』

フィールドトリップで精神トリップ! 巨大な菌に喰われ幻覚世界に落ちたモルダーとスカリー。トンデモネタだが、その実理性と探求心、互いへの信頼をテーマとした骨太エピ。演出も至ってシリアスで逆に感心する。泥まみれスライムまみれの二人の画は面白いが。★★★★

6-22『創世記』

謎の碑文の破片には、聖書の一節と人間の塩基配列が……。陰謀説は異星人と人類起源の関連がメインとなり、どんどん風呂敷が広がってきた。スカリーの顔のアップを敢えて歪ませ異常さと不安感を煽る撮影は巧い。物語としては煽るだけ煽ったので次回どう落とすか。★★★★

 

まとめ

総ポイント数

80 / 110

平均

3.64

感想

相変わらずアブラが乗りきっているが、いくつか低めの点数のエピもあったため平均点はさほど高くならなかった。このシーズンはシリーズ最高とも言ってよいバカSFの極致、第3話『トライアングル』がある。CGIもふんだんに使って作られた長回し撮影、それを画面2分割でシンクロさせながらやるという、実験手法の極みでありながら、高いレベルでエンタメになっている。シリーズが好調でふんだんな予算が使えるため、こんなクオリティ高い劇が作れる。

また、陰謀ストーリーもなかなかのクオリティ。そのなかにあって『アンナチュラル」 は例外中の例外というエピソードだが、これも凄まじいクオリティ。最終話もスケールが大きく、異星人の謎めいた存在感が一層大きくなった。

シーズン6の『本筋』

X-ファイルの本筋である「異星人と政府の陰謀」という連続ストーリー(アーク)に属するエピソードは1話、4話、5話、11話、12話、19話、22話。