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Gaaoline's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

『スポットライト - 世紀のスクープ』 - 有能な上司がすべてを変えるというビジネス映画

カトリック教会の小児性愛スキャンダルを暴いた、2002年のボストン・グローブ誌の取材チームの活躍を描く映画『スポットライト』。事件がどれだけ酷いものかは語りつくされていると思うんで、「物語」としての感想を書くと、びっくりしたのは、編集局長マーティー・バロンを演じるリーヴ・シュレイバーの存在感! 主役を張るマイケル・キートン(調査記事チームデスク ロビー)やマーク・ラファロ(同記者 マイク)の活躍より、彼のインパクトに目を奪われた。

報道だけでなくビジネス全般に共通する物語 

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この映画、新聞業界を舞台にしてはいるけれど、その骨格は業界にとらわれない、いわゆるサラリーワーカーのビジネスストーリーになってる。とあるビジネスユニットのリーダーとスタッフたちが、ある案件をどうやってモノにし、育て、華々しい成果を上げるに至るかを描いてるわけ。

そのユニットの上長として、彼らに案件とモチベーションを与え、方向性を示し、最後にその成果を認めるのが、リーヴ・シュレイバー=マーティーの役どころ。要所々々で彼の見せる「上司の格」はすごい。

理想の上司の見せどころ

ロビーたちの新聞社の親会社からやってきた編集局長マーティーは、寡黙でとっつきづらい人物でありながら、そうそうに部下たちの仕事、現場の文化を把握していく。

その過程で、記者たちの目の前にありながら誰も気づかなかった大きな案件があることを見つけ、ロビーのチームに取り組むよう指示するマーティー。そのプロセスは緻密で的確だ。ロビーたちはその中身の凄さにすぐ気づき、どんどんモチベーションを上げていく。

映画の中盤では、マーティーは案件の進捗をレビューする。デスク(係長)であるロビーを信頼し、より効果を高める方法を提案すると、スタッフはその合理性を理解し、改めて走り出す。ここはなんとも気持ちいい!

そして最後の締めのパート。チームの仕事がいよいよ発表の段となると、マーティーは彼らの仕事をまとめる。これまでシビアな現実を写実的に描いてきた映画だけれど、ここにきて彼はひとこと、テーマに触れる詩的なセリフを言うのだ。「報道とは、闇の中を歩き続けるようなものだ」と(うろ覚えだけど)。そのひとことがストンと胸に落ちて、チームの活躍は終わり、エピローグ=仕事の成果の発表が始まる。

彼が作りだした物語

映画のきっかけを作り出し、肝心なところで舵を取り、そして終わらせる。映画の構造的には、マーティー=シュレイバーは狂言回しというか、主人公を見えない手で助け、葛藤を乗り越えさせるエンジェルの役割を負っている。彼の理想的なボスというキャラは、そのために設定されたものだ。ただその魅力は、シュレイバーの俳優としての演技力、存在感のおかげで増幅し、こちらの心をがっちりととらえられてしまった。

戦略をわきまえ、部下を信頼し、肝心なところで手綱を握る。あんな風に指示を出せる上司が欲しいし、あんな指示が出せる人物になりたい。そう思える映画だった。

余談

リーヴ・シュレイバーは傑作TVシリーズ『レイ・ドノヴァン』よろしくマッチョなイメージがあるんだけど、『完全なるチェックメイト』ではロシアのチェスプレイヤー、本作では寡黙なインテリと、映画ごとにがらっとイメージを変えてくる。舞台出身だけあってほんとうに巧い。

イメージといえばスタンリー・トゥッチも凄かった。セクシーなボウズがトレードマークなだけに、まさかあんな姿で登場するとは思わず、そこだけギャグになっていた。

もう1点、この映画は3枚のリストを、ほとんど読み取れない速さで表示して終わる。それは、このスキャンダルが影響を及ぼした全世界の教区の一覧だ。この読み切れないほどの文字の量で、主人公たちがなした報道のインパクトを表現してみせている。この演出もすごい。

 

ELPA クリップライト 40W ショート ブラック SPOT-CR40(BK)

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