Twitterを使ったロー&オーダー シーズン2 おおよそ140文字エピソードガイド&感想。
あらすじ
シーズン1レギュラー、グリービー刑事(ジョージ・ズンザ)の突然の殺害でシーズン2は幕を上げる。彼の殺人を操作するイタリア系のフィル・セレッタ上級刑事(ポール・ソルヴィノ)が、そのままスライドして27分署に着任。相棒のローガン刑事もパートナーの喪失を乗り越え、力強い捜査で犯人を追い込む。
シフ検事下のストーン検事補・ロビネット検事補チームは健在。宗教絡みの犯罪や、さまざまな手段で女性を虐げる性犯罪に立ち向かう。法を知り尽くした検事と弁護士の高度な戦いのほか、被害者の記憶を巡るミステリーや、検察・警察の協力したおとり捜査など、バラエティもゆたか。
レビューリンク
Index | シーズン1 | シーズン2 | シーズン3 | シーズン4 | シーズン5 | シーズン6 | シーズン7 | シーズン8 | シーズン9 | シーズン10 | シーズン11 | シーズン12 | シーズン13 | シーズン14 | シーズン15 | シーズン16 | シーズン17 | シーズン18 | シーズン19 | シーズン20 | 傑作選
エピソード レビュー
2-1『自白の行方』
主役の一人ローガン刑事の殺害から始まる異色の幕開け。相棒ローガンの自白強要で混乱する現場から、新任のラセッタや検事たちが丁寧な調査で犯人を追い詰めていくプロセスは見応えあり。ローガンの喪失感に焦点をあてたエンディングの余韻が印象的。★★★★
2-2『愛の代価』
夫を若い情婦に盗られた妻の殺人。薄弱な証拠と論拠、同情をひきやすい女性の立場を前に、検察は正義を妥協すべきなのだろうか? 丁々発止の裁判進行で見せる。が、どうも展開も画面の調子も単調で見どころに欠ける印象。 ★★
2-3『悲しみのアリア』
演劇を学ぶ学生をアダルトビデオに追い込んだものは何か? 母親の愛情の最もおぞましい部分が、不気味な母親の笑顔、そしてストーン検事補の一言に集約される。90年代後半の人気女優モーラ・ティアニーとリサ・二コル・カーソンの出演も見もの。★★★★
2-4『犯罪者の聖域』
家を持たず精神状態も常に不安定なホームレス。彼らの犯罪をどう扱うか。公園のダンボールハウスは令状が必要な「家」と認めるか、修正4条をめぐる議論は知的好奇心をそそられる。演出面でも気のふれた浮浪者にクローズアップを多用した画面が印象的。★★★★
2-5『祈り』
エホバの証人の輸血拒否問題を思わせる、医療拒否による子殺しのエピ。法で信仰心をどう定義すべきかを巡る議論が展開される。最高裁判断まで持ち出し悩み続ける判事、そして親たち。最後に気づかされる子供の自由意志という観点に、はっとさせられる。★★★★★
2-6『ねじ曲げられた真実』
中絶問題の核心となる、胎児はいつから人と認められるのかという議論が、違った観点から問題になる。胎児殺しは刑法上24週から罪になることを利用した手の込んだ殺人事件はテクニカルで面白いシナリオだが、心に残るものが少し足りない。★★★
2-7『記憶の中に』
骨に発掘から始まる30年前の犯罪捜査。捜査編は「赤と青」という奇妙なキーワードを巡るミステリーらしい捜査で心が引っ張られる。後半は幼少期のトラウマを巡えい、証人が自分の人生を取り戻していく力強い展開。★★★★
2-8『裏切り』
殺人ではなく性犯罪を裁く。大学サークルのパーティでのレイプ。学生の性への欲求、仲間意識、飲酒、未熟な判断、すべてが事件を曖昧にし、女性の立場を脆弱にしていく。全編通して若者への啓蒙・道徳的な演出が見えるが、納得感がある展開とは感じられない。★★★
2-9『断たれた想い』
借金まみれの夫から逃げたい妻と、その妻と一夜を過ごし愛してしまった思春期の男。何が起こるかというと、童貞を捨てた故の殺人事件。ある意味リアルな話で、男の哀れさ、女のしたたかさが、なんというかまあ、楽しめる。★★★
2-10『虚構の楽園』
南米系クラブの放火殺人の責任を問う。犠牲となった50以上の命の重さを感じる迫真の捜査、事件の背後の更に奥にある犯罪の告発、そして法廷に響く犠牲者たちの名。大量殺人のエピは今後も何度か出てくるが、その原型が本作で作られたといっても良い。★★★★★
2-11『舞台を降りる時』
悪女モノ。冷凍された遺体の謎を追って行くのだが、事件が5年前に起きたという設定のせいか動機や手法が解明されても、いまいち驚きに欠ける。役者もみな冷静すぎるんじゃないかってほど落ち着いた演技でそうも感情移入できず。★★
2-12『ボイス』
原題は "Star Struck"。頭に響く声に従って女優を襲ったというファンの男。襲われた女優の喉はつぶされ、全てを失ってしまう。原題、邦題とも巧いダブルミーニング。精神鑑定の攻防が見どころとなるが、なにぶんこのテのエピは多くて……。★★★
2-13『知略の攻防』
裁判とは最も高等で真剣なゲームである。そう認識できる一本。証拠の採用や裁判地の選定など、勝つために法廷の外で行われる攻防がみっちり描かれる。そっちに集中して観ていたら、そもそもの殺人の動機が何だったのか忘れちゃった。★★★★
2-14『血は水よりも濃し』
金持ち一家の秘密エピ。社会問題云々という側面がないぶん、犯人がほぼ見えている状況から決定的な証拠を見つけ出しアリバイを崩す正統派の推理エプロットが楽しめる。逆に言えば、よくあるエピ。★★★
2-15『信頼』
少年犯罪、銃の氾濫、親の虐待の三本柱で描かれるエピソード。ストーン検事補が少年の証言に間髪を入れず問い詰めていくシーンには、後のマッコイとは違う、冷徹といってもいい鋭い正義感が感じられる。★★★★
2-16『目には目を』
連続殺人犯の捜査から結審までの道のり、絡み合う様々な要素を描く。じっとりと描かれる尋問でのジェームズ・レブホーンの細かな演技が見事。州検察同士の犯罪者の綱引きに関する倫理的葛藤、犯人の妻の想いなど、罪に対する議論や思想がよく描かれる。★★★★
2-17『いたわりの心』
修道院の女児保護施設を舞台に、善意を傘に行われる子供らへの性的虐待。ストリートチルドレンの「行く場所がない」という恐怖が繰り返し表現され、大人たちの埋もれた悪意を印象付ける。後のスピンオフ『性犯罪特捜班』の原型が見える。★★★★
2-18『死のゆりかご』
“欲”はどこから殺人になるのか。凍える部屋が幼児の命を奪う、その要因を一つづつ探り出しし、住宅をめぐ人々の小さな欲望の責任を追求する。珍しいおとり捜査が楽しめ、あえて判決を絵で見せず、静かだが力強い冒頭陳述で終わらせた構成も良い。★★★★★
2-19『罪深きもの』
宝石商やダイアモンド絡みの犯罪はのちのシーズンでも意外と多い。やはり富と欲の象徴だからか。物語は憎悪犯罪を軸に進むが、後半少々安易なやり方でそれまでのプロットがほぼリセットされてしまう。こういう構成は少々興ざめ。★★
2-20『ゆがんだ愛情』
お受験殺人事件。台頭する中国系移民に対する差別を絡めつつ指摘するのは、子を思う親の非常識な行動。物語の展開はよいが、オチがまともに付かずに終わり辟易する。事件単体ではなく社会風潮そのものを諌める為の演出? にしてもしまりが悪い。 ★★
2-21『沈黙』
ゲイであることの公表は、社会的な不利益や、嫌悪による生命の危機まで引き起こすことがある。沈黙を選ぶのか、選ばざるを得ないのか。ある同性愛者の殺害と、周辺に広がる様々な沈黙の環を描き出す。なんかいかにもゲイっぽい役者揃えたのは逆にあざといな。★★★★
2-22『虐げられる人々』
企業買収絡みの犯罪をから、暴走する金融ビジネスの陰で苦しむ古き良きアメリカ労働者の姿を描く。労働者の容疑者に刑事も検事も珍しく同情的で、素直に悪を憎む物語になっている。シフ検事に見せ場を作るための物語で多少アンバランスな感じも。★★★★
まとめ
総ポイント数
78 / 110
平均
3.55
感想
初期シーズンでも既にゲイ差別問題など、踏み込んだ内容が満載。というか中期以降のシーズンを先に見ているので、20年にわたるネタの循環がしみじみと感じられる。
演出は後期シーズンに比べ、初期はクライマックスでも非常に淡々とした、ハードボイルドな印象を受け、意外とテイストが違うなと思うことが多かった。
レビューリンク
Index | シーズン1 | シーズン2 | シーズン3 | シーズン4 | シーズン5 | シーズン6 | シーズン7 | シーズン8 | シーズン9 | シーズン10 | シーズン11 | シーズン12 | シーズン13 | シーズン14 | シーズン15 | シーズン16 | シーズン17 | シーズン18 | シーズン19 | シーズン20 | 傑作選