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Law & Order シーズン10 - 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『ロー&オーダー』おおよそ140文字全話エピソードガイド&感想、第10シーズン。

あらすじ

妻のため早期退職したカーティス刑事に代わり、エド・グリーン刑事(ジェシー・L・マーティン)が登場、ブリスコー刑事の新たなパートナーとなる。ヴァン・ビューレン警部補とは黒人同士気が合うのか、早々に良い関係を築いていく。一方ブリスコー刑事は内部調査部に目をつけられて哀愁模様。また、スピンオフ・シリーズとして放送が始まった『ロー&オーダー:性犯罪特捜班』の主役である特捜班選任刑事、エリオット・ステイブラーとオリビア・ベンソンとの共同捜査もある。

NY地方検察ではマッコイ検事補とカーマイケル検事補の円熟した法廷が続く。銃犯罪、第二次大戦のユダヤ人差別に絡む大きな犯罪のほか、夫婦や家庭の問題など、身近な事件への取り組みも目立つ。

そして終局、戦争犯罪に真っ正面から挑むマッコイ検事補に、アダム・シフ地方検事のかける温かい言葉。10年の正義をこの大裁判でしめくくり、シフ検事は退任する。

レビューリンク

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エピソードレビュー

10‐1『銃乱射』

銃犯罪に真正面から取り組んだ傑作。マッコイが起訴するのは安易な乱射を促した銃の製造会社。名こそ出ないものの全米ライフル協会も明確に非難される。弾丸の零れ落ちる残酷な音が法廷に響き、そして訪れる衝撃の判決に、見る側も茫然とする。 ★★★★★

10-2『無邪気な悪』

小児犯罪がテーマ。まさに“悪魔の子”のような子役の演技に感心する。野に下ったDr.オリヴェットとDr.スコダとの精神分析対決も見もの。良い論戦だが、物語としては結末にもうひとつ何か欲しかった。★★★

10‐3『エゴイストの愚計』

凶弾に倒れ一生の傷を負った判事。彼女を殺そうとした意外な黒幕を追う捜査編は推理ものとして見ごたえあり。法廷編はDNR(蘇生措置拒否)で死を選ぼうとする判事の愛と絶望が見もの。判事を主役にした意味がうまく物語にでている。 ★★★★

10‐4『合併』

毎シーズン必ずある金持ち犯罪モノ。今回は(も)一家の闇の秘密が暴かれる。権力の介入も法廷での派手な闘争もなく、パンチにかける印象。しかしここんとこスコダ先生は出ずっぱりだな。★★

10‐5『野望に葬られた真実』

かつての極刑判決が冤罪と判り、法の倫理が試される。後戻りのできない極刑という制度と検察組織の狭間で揺れ動く検事たちの心理が、裁判の短い答弁に凝縮されている。ジェイミー・ロスが再登場。最後のマッコイとのやり取りにほろり。★★★★

10-6『疑いの目』

容疑者がひるがえした証言のため、ブリスコー刑事の信頼性が疑われる。久々に身内が疑われる話。老いたブリスコーの哀愁が感じられる。★★★

10‐7『執念の復讐劇』

ありえないと思われていたアリバイで傲慢な男の容疑が覆り、真の犯罪が葬られる。偏見を持ってしまったマッコイの負け戦。必至の抗弁もどこか哀れに見える。ガーネット弁護士役の名脇役ジェームス・レブホーンがマッコイと並ぶと画面が重厚になるね。★★★★

10‐8『悪行の終局』

ユダヤ人差別犯罪かと思いきや、話は戦時中のホロコースト問題に及ぶ。60年前の被害者と加害者はみな老人だが、彼らの語る悲劇と弁明はリアルで、演じる役者の声には鬼気迫るものがある。すべてが一冊の帳簿へと収斂されるラストも見事。★★★★★

10-9『日没後の悪夢』

司法解剖のロジャース医師の趣味が“やり投げ”だったり、バン・ビューレンがPCにキレたり、捜査編は珍しく笑いどころが多い。法廷編は痴呆症患者の犯罪更生施設の劣悪な環境が暴かれるが、あまり裁判内容に響かず盛り上がりに欠けた感あり。★★★

Law&Order 10‐10『親という魔物』

アダム・シフ検事長の強硬な指示でマッコイが無理な裁判に挑むというのは珍しいケース。ただ捜査・裁判とも盛り上がりに欠ける。米国で鎌が 東洋の武器 "kama" として認識されていたのは驚き。シックルとは形状が少し違うのね。★★

10‐11『最後の約束

統合失調症を偽る犯人の偽証を暴く。ラスト、事件に秘められた哀しい秘密が明らかになるのだが、何かが足りない。もう少しカタルシスがほしかった。★★★

10‐12『母乳の温もり』

ショッキングな乳児殺害事件。被告たる母親、検察官、弁護士、裁判官、そして証人の監察医、育児専門家、すべてが女性で演じられ、子を持った母親と、それを取り囲む社会のありかたが質されていく。静かだが強い法廷描写が胸を打つ。★★★★★

10-13『不実の犠牲』

作家を狙った犯罪。そのアドバイザーの“FBIの夫婦”という設定のは少し無理があるかと思うけど、二転三転する容疑と動機、最後まで意外性のある裁判は面白い。作家役ルーシー・ヘンシャルのイギリス訛りは雰囲気あっていいね。★★★★

10-14『疑惑の財閥令嬢(後編)』

スピンオフ『Law & Order 性犯罪特捜班』とのクロスオーバー。後編にあたるこの回は裁判がメイン。せっかくのブリスコーとマンチの掛け合いもほとんど見られず残念。裁判編は長すぎて全貌がいまいちつかめなかった。 ★★★

10‐15『恋の代償』

14話に続いて性犯罪捜査班の刑事が出るが、チョイ役的でもったいない。犯罪は変質者による女性の監禁・暴行・殺害だが、判断を誤り加害者側になってしまった女性の心理が巧く表現されていた。★★★★

10‐16『株価操作の果て』

金銭絡みの犯罪から性犯罪、マフィア絡みと、二転三転する犯罪の真相。法廷も経済犯罪らしい理知的な感じのやりとりで面白い。が、複雑な真相があばかれたときのカタルシスが少なかった。★★★

10‐17『BLACK, WHITE & BLUE』

黒人街に捨て置かれた白人の遺体。人種絡みの犯罪なのか、警察の腐敗なのか、その見極めを求められる刑事と検事たち。警官たちの苦悩を汲みつつも、政治に逆らえず苦悩するマッコイ。いつものパターンと言えばパターン。★★★

10‐18『復讐のための雌伏』

ヘリコプター爆破テロの犯人捜しが、ある裕福な夫婦につながる。大規模な犯罪が、夫婦の問題に収斂されるってのはL&Oに限らず結構あるパターンだよな。裏の裏があったのは楽しかったけど、これも既視感。★★★

10‐19『セラピストの挑戦』

権威的人物が評判を傷つけたくないが為に誰かを殺すパターン。最後の最後で法の穴を突くようなトリッキーな戦術がみられるが、法曹に縁の薄い犯人がなぜそんなことができたのか説明もなく、ちょっと迫力不足。 ★★★

10-20『罪深きアート』

売れない画家の起こした殺人。問題なのは絵なのか、人なのか。犯人役の演技がうまく、法廷での供述は胸に来る。一方、絵が事件の原因とされたら結果的に表現の自由が縛られるという問題提起も。個人的な問題と社会的問題が巧くマッチした良作。★★★★

『中傷と同情』

中国人の人身売買・性奴隷化事件が、ネット中毒裁判に着地するというアクロバティックな展開。非人道的な犯罪だけに捜査編の演技は迫力があったが法廷編はそれほどでも。ラスト、国際化を語る検事達の後ろにアジア人清掃夫がちらりと映るのが巧い。★★★★

10-22『すべては愛のため』

売春・麻薬・ネオナチ・不正取引と、てんこもりの捜査の末に出てきたのは不倫劇。ソープオペラをLaw & Orderでやるとこうなるというお話し。女を諦められない男と、男を利用しようとする女、それぞれの目の演技が巧かった。★★

10‐23『硬直』

金持ちファミリーの秘密シリーズ。今回は金持ち仲間の淫靡な性道楽が暴かれる。疑似屍姦フェチって……。被害者の娘役はいい演技なんだが主犯の男に厚みがないので、物語に迫力を欠く。★★

10‐24『正義の行方』

30年前のチリの内線を指揮した軍人を、殺人の罪で裁く。国家を相手にする明らかに困難な裁判で、マッコイたちが説くのは、人類共通の倫理の本質。最高裁でのマッコイの大演説に、シフの力強い言葉。10年間の犯罪ドラマをしめくくる大裁判。★★★★★

シーズン10まとめ

総ポイント数

82 / 120

(未見エピは★★★と換算)

平均

3.416

感想

Law&Order 全話レビューを開始したのは、このシーズン10から。Law & Orderはもともとのクオリティが非常に高いので、5が連発で3以下がつけられないかなと思っていたが、実際は目が肥えてきたのか、観たときの気分なのか、意外と厳しめのポイントとなってしまった。

10年という節目で、地方検事のアダム・シフもこれにて降板。最終話はよい区切りのエピとなった。しかしこの10年で、警察も検察も、犯罪もたくさん変わったなあ。

最終第24話のロングレビュー&翻訳については、こちらの記事で。

ちょっとしたトリビア

第19話で、鎮痛剤のパーコセットのことをエクスタシーと言ってる。WikipediaではエクスタシーはMDMA以外にも錠剤型麻薬の通称として使われるって書かれてて、「要出典」となってるけど、ヘンなところで裏が取れてしまった。

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