farsite / 圏外日誌

Gaao Line's Web Journal: Writing about US/UK TVs, cinemas, and foods I love.

映画:コンクリート・ユートピア - 崩壊後のソウルに、なぜ日本語が聞こえたのか

『コンクリート・ユートピア』は、ソウルを舞台にしたディザスター映画、より正確には「ディザスター後」を描く映画だ。この映画は、『マッドマックス:怒りのデスロード』の前日譚ではないか? 映画を観ながらそんなことを思っていた。 ディストピアへの道 …

なぜ彼らはこうも明るいのか - スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド 1-1話

彼らは明るい。『スター・トレック:ストレンンジ・ニュー・ワールド』のプレミアエピソードを観ての第一印象だ。新生エンタープライズの乗組員たち――設定的には、初代『宇宙大作戦』のエンタープライズの前任クルー――は、みな明るく、笑顔を絶やさない。も…

『ゴジラ -1.0』 - 最後の国産大衆映画 その課題

観終わって最初に思い浮かんだのは、意外とコンパクトに収まったな、という妙な腹落ち感だった。『ゴジラ -1.0』はそのタイトルが示唆するように、戦後の荒野を背景として人々を更に徹底的に叩きのめす、深く昏い怪獣映画になるのではなかろうかと、ほんの少…

アニメ版『PLUTO』 - この映像化のどこに迷ったのか

『PLUTO』の放送がネットフリックスで始まるというニュースを見て、おっと思ったのが、1話約1時間、全8話という構成だった。ケーブル/配信系の海外ドラマでおなじみのミニシリーズ(リミテッドシリーズ)フォーマットじゃん。 思い返してみると、浦沢直樹作…

自分がChat GPTでやってることが何かなんとなく分かったという話

仕事でBlog書いたり、取引先向けの資料やメールをまとめたりするときにChat GPTを使うことが多くなった。最初は毛嫌いしていたのだけれど、やはり「ラクして仕事したい」という欲には逆らえない。特に英文メールを編集するときには必須だけれど、日本語での…

真夏の東京観光:高尾山は悪くない選択だった

灼熱地獄と化した2023年日本の夏。7月17日の海の記念日に高尾山に登ってきたが、これが意外と良かった。自分でも驚いた。ちなみにこの日は東京の最高気温36度だった。 高尾山中腹からの光景 意外と涼しい 毎日のように気温が35度を超え「命にかかわる」と報…

怪獣プロレスに初めて理屈がついた! - ウルトラマンブレイザー

固定資産税の時期が過ぎると、怪獣税のシーズンだ。ことしもウルトラマンの新シリーズが始まる。いちど怪獣特撮を好きになってしまった以上、どんなにチープだろうと、どんなに過去作品の再利用が甚だしかろうと、観て買ってカネを落とさねばならんのだ。 し…

テーマを台詞で語る映画は良い映画! - ダンジョンズ&ドラゴンズ:アウトローたちの誇り

スタンダードな三幕構成で、きっちりオチのある楽しい作品が観たい! 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』はそんな期待に見事に応えてくれた。なにしろ幕構成がカッチリ嵌ってるだけじゃない。第二幕の終わりで、主人公クリス・パインが映画のテーマを、長尺とって…

防災リュックサックを、100円ショップ中心のアイテムで作る

市販で4千円台で売ってる防災リュックセット、これをコーナンの1000円リュックとダイソーグッズだけで再現すると、高くなるのか安くなるのか、という話。

ファインダーを覗かないプロのフォトグラファーの出現

フォトグラファーの友人が遭遇した、ファインダーを覗かないプロのフォトグラファー。デジタルネイティブのプロの誕生か、それとも単に仕事を分かっていない人間なのか?

ウディ・アレン風ロマコメとしての『ガンダム:閃光のハサウェイ』

富野由悠季の90年代の小説を映像化した機動戦士ガンダム:閃光のハサウェイは、ウディ・アレンのロマンティック・コメディを思い出させる恋愛映画だった。男目線での”女”を通じたニュータイプの再解釈と、ロボットアニメで再現される、こっぱずかしいあの感…

『ペリフェラル』第1話 - 我々はいつまでクロエ・モレッツのアレな姿を見続けるのか

クロエ・グレース・モレッツ主演のAmazon製作TVシリーズ『ペリフェラル』で、彼女はどんな演技を求められたのか? 彼女の子役としてのキャリアを振り返りつつ、彼女の立ち位置を考える。

続けることってすごい - 劇場版ガンダム Gのレコンギスタ IV

半世紀も前から、富野由悠季はロボットアニメを作り続けてきている。10年と間を置かず、何かしら自分の作品を創造し、演出を続けている。手を変え品を変え、所詮アニメ、所詮ロボットと自嘲しながらも、その時々の思想を込めて、その時々でできる技法を盛り…

Apple TV+の『ファウンデーション』は結構凄いことやってるのよという話。

アップル嫌いの自分が我を殺してでもApple TV+に契約せざるを得なかったのはマイケル・ムーアのドラマ『フォー・オール・マンカインド』のおかげだけれど、それを上回るネームバリューで始まったのが、21年秋の『ファウンデーション』だった。言わずと知れた…

寿司屋みたいなタコス屋に行った話。

朝からジャンクな味が欲しくて何気なく入った三軒茶屋のタコス店、ロス・タコス・アスーレス。しかし出てきたのはジャンクとは程遠い、美しいタコスだった。朝からこれを食べるのは楽しい。

あの夢の世界が、真実であれば。

夜、いくぶんか涼しくなった東京で自転車を走らせていたら、突然に今朝見た夢を思い出した。ずいぶん前に亡くなった人との夢だった。 夢の中で、彼女は私と一緒に仕事をしていた。20~30代の頃働いていた大きなオフィスのような環境でだった。比較的女性の多…

我々はロボコップみたいな時代を生きている

ロボコップの劇中劇、というか劇中ニュース番組である『メディアブレイク』が、いまも大好きだ。 それは虚無と皮肉と俗悪な犬儒で彩られたロボコップの、煮凝りのような報道パロディだった。レーザー衛星で誤射される元大統領とかアマゾンの原発事故とか、当…

ゴジラSPは傑作だったか、或いはあと5分尺があればという話。

いや傑作だったと思いたいのよ。しかし、しかし! あの最終回である。あれを、作品としてどう消化すべきか。なんというか、『Gのレコンギスタ』のTVシリーズ最終回に似た隔靴掻痒の感がある。あと5分でも、あの状況を腑に落とすための台詞に充てる尺があれば…

『逆襲のシャア』はクェス・パラヤの物語だ。

4月のあたまの休日。昼から銀座で外せない用事があったので、ちょっと無理して銀座ピカデリーで『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(ドルビーシネマ版)』を観てきた。久々の銀座はまるで別の街だった。地下街はリノベーションが完了し、マリオン周辺も再開発…

『テネット』 - 2時間半で英雄譚を完成するには、という話

久々に入った映画館で「観劇後の感想がトリビアや謎解きだらけになるのなら、それは物語映画としては失敗じゃないかなあ」なんて不遜なことを考えながら『テネット』を観ていたのだけど、ラスト、ロバート・パティンソンが語るシーンで、隣の席からすすり泣…

フォー・オール・マンカインド シーズン1: 海外ドラマ全話レビュー

Twitterを使った『フォー・オール・マンカインド』シーズン1、おおよそ140文字全話エピソード・ガイド&感想(全10話)。 あらすじ 1969年。すべてが変わった。ソビエト連邦が人類初の月面有人探査を果たし、NASAとアメリカ合衆国の宇宙開発は更なる開発と競…

ロケットと公民権

土曜日の朝。観る番組もないからとHuluライブでCNNをつけると、全米各地でデモが始まろうとしていた。 ミネアポリスでの警官によるジョージ・フロイド氏の不当な拘束・殺害により、昨日、ミネアポリスでは大きなデモと暴動が起きた。そして2日目の夜が来よう…

世田谷界隈おいしかったテイクアウトフード

パンデミックによる非常事態宣言から2か月。世田谷界隈のお店がやっているテイクアウト/テイクアウェイメニューも、だいぶ食べることができた。おいしかったメニューを残しておく。なお、ここでいう「世田谷」とは世田谷区の中の世田谷、世田谷線世田谷駅界…

もしもスター・ウォーズ 最終三部作をゼータガンダム時代の富野由悠季が作ったら?

新型ウイルスのパンデミック対応で、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のレンタル配信が国内でも早々と始まった。たいへん苦労したのだろうと思しき脚本のツボを理解しようと、自分で梗概を書きつつ観ていたのだけれど(趣味なんです、梗概書…

『永遠のソール・ライター』展 雑感

ソール・ライター展の冒頭解説にもある「シュルレアリズム的」という評価と、「見たもんを撮ってる」という本人の言葉、どう両立するのだろうと思っていたのだけれど、ははあなるほど、鏡とガラスか。 シュルレアリズム”的”、キュビズム”的”という評は、そも…

初代ガンダムにおける「戦争」は何の比喩だったのかという思いつきのひとつ

端的にいうと、あのテレビシリーズで描かれた戦場には、富野由悠季という作家の経験したアニメの「仕事」が、そのまま落とし込まれているように思えてならない。 いちばんさいしょの『機動戦士ガンダム』(1979年)は、ロボットアニメという枠で人間同士の戦…

ヨガ雑感

いま日曜の13時。ヨガをやってきた。コギャルと即身仏のあいの子みたいな先生なんだあれむっちゃハードだな。前回と同じ初歩コースなのにお説教少なめなぶんバッキバキにストレッチされたわ。 しかし前回、つまりこのヨガスクールに入って第1回目のほうは、…

映画『ウィンストン・チャーチル』見せたいものは何だったのかというはなし。

2018年度作品賞ノミネートの1作『ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男』。観終わってみれば、なんともちぐはぐだったなあ、という思いが残る。あの演説で、すごく感動したかったのに、うまく感動できなかった。なんでだろう? 原題 Darke…

スター・トレック:ディスカバリー - 世界の全肯定が生んだ新しい物語

2017年イチ推しの作品と訊かれれば、『スター・トレック ディスカバリー』を上げるしかない。それは私が長年のスタートレックファンだからで、とても客観的な評価とは言えないのだけれど、このシリーズが表現して見せた世界、宇宙には、心底感動した。ものす…

『ダンケルク』ウンコの呼んだ夢と現実の物語

第二次大戦中に実際に起こった英軍の救出作戦を描いた『ダンケルク』。すごい。本物のスピットファイアすごい。ユンカースの爆撃音すごい。人を満載にしたV級駆逐艦(に装ったシュルクーフ級駆逐艦)の画面いっぱいの巨体、すごいすごいすごい! ああ、プラ…